軽井沢編-11
2週間経ったころ
石川さんの部下にハリオという奴が入ってきた。
長崎県出身の21歳
見た目は石川さんと同じ体形だけど、なんか小汚い。というより汚い
こいつとは最後まで因縁がある。
けど、この頃は仲良くなった。
*
グリーンプラザのおもちゃ王国部門を当時一任されていた、GⅯ(ゼネラルマネージャー)尾原さんとずぶずぶの関係で仲の良かった人物がいた。
それが、㈱トータルプランニング通称TPの大咲さん。
このTPは渋谷に本社がある業態不明の謎会社。
今考えると、パラサイト会社だとおもう。
派遣という名目で、遊園地に人間を送り込み、好待遇で迎え、色々な手薄な部門に入り込み、なんでも仕事にしてしまう。
そういう会社が当時はあった。
この大咲の送り込んできた社員が3人
田中
鎌田
石川
そうです。作業員をしていた2人はTPの社員。
この二人の上司が田中
でも、3人とも真面目に仕事をする人物だった。
が、実は会社にとてもこき使われていて、寝る時間も惜しむように働かされていたことを後で知った。
そのTPのアルバイトで入ってきたハリオ
長崎から出てきて、東京でねずみ講に騙され、高額な布団を買わされ、挙句の果てには、キャバクラにハマり、気が付いた時には借金まみれになって山へ逃亡してきたという典型的なダメ人間。
そんなダメ人間が、最初は初めての後輩ということもあり、会社間の事情も知らない僕は可愛がった。
石川さんと僕とハリオと鈴木で石川さんの車で有料道路沿いの「とんぼ」という、和食やで呑むことが多かった。
そのあと、森の中にあるスナックでカラオケをするというコースだった。
僕は気を使った。
鈴木と石川さんの中を持たなくてはいけない・・・
でも、ある日
石川さんはこのTP本社勤務の女子社員と付き合っている事が判明
その社員がたまに軽井沢に仕事で来るときに、口裏を合わせるように言われていた。
これが社会か・・
たいへんだなぁ・・・
と思った。
複雑な心境になってきた。
男として、先輩として石川さんの為になりたい
しかし
福島から出てきて、美容室を1か月でくびになってたどり着いた先が僕と同じところで、毎日一緒に居る鈴木をだますのが可哀そう。
いっそのこと、俺が付き合っちゃおうかとも思ったが、これだけお世話になった先輩を裏切れない・・・
だからいつも部屋飲みするときに、酔っぱらったふりをして、鈴木だけ置いて帰るというだけで精一杯だった。
でもある日、鈴木がキレた。