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裏Resort  作者: まさぐりまさお
最終章
102/108

軽井沢編13 夏の事件簿(借金編)

私が入社したころから、プリンスランドの別荘地の方に一軒の居酒屋があった。




そこは「とまり木」と言って、ほんの小さな一軒家の1階が居酒屋となっており、5-6人入ると満席になるような店だ。




とまり木は遊園地から結構離れていて、車で複雑な道を行くこと約15分




小さな小さな看板が出ている。




そこのマスターはぶっきらぼうな人で、遊園地のⅯとは古くからの付き合いで、子供同士も同じ保育園に行っているという。






新入社員の頃


初めて店に行った時




「ビールお願いします」


というと




「そこの冷蔵庫から取れよ」




と言われビックリした思い出がある。




このマスターは料理のことをとにかく語っていて、昔気質な雰囲気を出していた。




なれればいい人で、良くこの居酒屋には飲みに行った。




小さい子供がいて、子供が玄関を開けて迎い入れてくれるようなアットホームな店だった。






ある日




店主の油の不始末で火事になった。


家ごと燃えてしまい全焼であった。


幸い奥さんと子供達は出かけていた為か無事であった。




この家族は、同じ別荘地帯でなんとか家を借り、マスターは再起を図り今度は蕎麦屋を出した。




ただ、こだわりが強いのか、考えがまとまっていないというか・・・




たまに大きな肉を仕入れてステーキを出したりして、何か迷走している感があった。




そんな中、Ⅿの古くからの知り合いという事もあってか、遊園地の中に蕎麦屋を出すことになった。


勿論Ⅿの口利きで、審査は大甘で通り、初期投資はタダ同然で出店した。




夏季限定出店という事だったが、遊園地の集客効果もあってか連日盛況だった。






夏が終わり


全て「後払い」になっていた、店舗改装費、施設使用料及びロイヤリティーなどを含めた金額が提示された。


その額約300万




店主はこの支払いを1円もしないまま飛んだ。




住んでいるところは判明している。






何故か、ここで僕の出番になった。




このマスターから借金を取り立てることだ。




Ⅿの方も会社に報告出来ないまま困って、なんとか支払いを先延ばしにして説得を試みたかったのだ。




なので、正確に言うと取り立てではなく、説得なのだが。




Ⅿ本人は裏切りに合っていて冷静ではいられないという事で、一番関係のなさそうな、僕が選ばれたのだ。


今考えると、もうすぐ解雇になる人間だからだったと思う。




このマスターの家に行くのが正直心苦しかった。




小さい坊やが何も知らない笑顔でいつも通り玄関に出てくる。




「おとうさん今日はいるのかな?」




とか声を掛ける。






嫌な仕事だった




毎日通ったせいもあってか、マスターはやつれた姿でやっと交渉の場に現れた。


そこから詳しくは知らないが、周りから相当詰められ、借金返済を余儀なくされたらしいが、また一家で夜逃げしたとも聞いている。




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