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裏Resort  作者: まさぐりまさお
最終章
101/108

軽井沢編12 -夏の事件(自殺編)ー

この夏は良いことも楽しいことも沢山あった分、悪いことも沢山あった。




自殺




酔っ払い




借金




幽霊




どれもリゾートで働く者の宿命ともいうべき事件だ。


これぞ裏なのだ。


皆の笑顔の裏側でとんでもない事件が次々起きる。




だから、ここで言いたいのは




人が集まって楽しい事が大きくなるほど、その裏の事件の沢山起きるのだ。


そこで苦労して解決しているスタッフもいれば、命を失う者も出てくる。


そんな事があったことを伝えたい。




前回までの、「昔は遊んだなー」とはちょっと違ったストーリーになることをここで言っておきたい。




先ずは「自殺」からお話します。






そもそもリゾートで働く者たちは閉鎖された空間で仕事もプライベートも混同しており、どうしても人間関係が難しくなるし、視野がものすごく狭くなり、周りが見えなくなる。


山を下りてしまえば、「あれは何だったんだ?」と皆がなる病気みたいなものだ。




よく言う、恋愛の山病みたいに、その時は可愛く見えて好きになったが、一旦、東京へ帰ってしまうと夢から覚めるがごとく別れるカップルが続出する。


僕らはデッカイ「あいのり」だと思っていた。


現代風に言うと「テラスハウス」なのだが。




また、恋愛だけじゃなく、人間関係そのものも同じ現象が起きる。


一種の洗脳状態になる人が続出する。


というのは、何回も書いているが借金などで都会にいられなくなって住み込みで働いている人間が多い事にも大きく関係している。






前置きが長くなったがある日の事件をお話します。






ある夏の暑い日


遊園地もホテルも最盛期。


駐車場が満車になり、僕もその時はパーキング係としてヘルプに入っていた。




パーキング係は一人一台の無線を持っており、広大な敷地を走り回りながら車を誘導する。




時にその無線を傍受する奴が現れる。


何者かは解らないが、おそらく無線マニアで僕らの会話を聞いて邪魔をしてくることがある。




こういういたずらはしょっちゅう起きていた。


その都度周波数を変えるなどの対策をしていたが、あまり効果はなかった。




そんな時、別荘地の奥の仮設のパーキングのスタッフから無線が入った。




「た、大変です!!」




焦った声だったが、またいたずらかと思って、誰も反応しなかった。




しかし、確かに聞き覚えのある声だった為、僕は


「どうした?」




と聞き返すと




「とにかく来てください」




との事。




別荘地の奥は草が覆い茂っている場所で、動物でも出たかと思った。


怖かったので、もう一人スタッフを連れて、現場に行った。


すると


パーキングの奥に小川が流れていてそこに架かっている橋に人がぶら下がっている。




皆で恐る恐る近づいてみると、橋にシーツが巻き付けられていて、そこに首を吊った状態の人間がいる。


足は川に接地していて、ぶら下がっている。




一瞬で


「まだ死んでいない」


と思い、事務所に無線を飛ばそうと思ったが、ここは電話にしておいた。


電話でマネージャーを呼び、次に110番した。






その後はどうすることも出来なかった。


ただ、わりかし早く救急隊員と警察が到着して、ぶら下がっている男を引き上げた。


顔色は青白く精気が抜け落ちているようだったが、誰かが必死にほっぺたをたたき呼びかけていた。






自殺を図ったのはホテルで働く男性アルバイト


人間関係のもつれと聞いた。


彼は、病院で意識を取り戻したらしい。


発見が早かったから良かったのか、首を吊る方法が甘かったのかは判らなかったが、助かって良かったと思った。

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