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帰宅で!未知との遭遇!



勧誘を明日に控え、部室に俺達5人はメイド服やらロリータやら何やらと謎な格好で討論続けていたが、薄暗くなって来たので制服に着替えた。



もちろん俺が今度は先に着替えて外で顔を洗ったり屈伸運動をしたりと、それなりに普通に待っていた。

メイク落ちたのかこれ?

初めてやったからわからんけど、あんちゃんにそれとなくこっそり聞いたら、落ちてるよって、はにかみながら答えてくれた。可愛い。



「じゃあ、今日はこれで終わりにしよう。明日はちゃんと10時には部室にいること!以上!解散!」


「「「「「ありがとうございました!お疲れ様です!!」」」」」


これが演劇部のシメの挨拶だ。


いつもこの後で部長が部室の鍵を顧問の志田先生に渡しに行って、みんなは帰っていく。


因みに顧問の先生は演劇とか全くわからない人だ。

そのせいかなんだか知らんけど、活動中はあまり顔を出さない。



「あんちゃ~ん、帰ろ~」


「うん!しょうちゃん、ちょっと待って!ねぇ、優歩ちゃんも帰ろー」


「あ!杏瑠ちゃん流石!私の視線感じたでしょ?

このままだと幸信と二人で帰るところだったよー!助かった!ありがとーっ!!」


ひは

コイツめ・・・!本人目の前にしてそんな嫌がるか普通?


「あはははっ、視線感じた感じた!じゃあ帰ろ帰ろー!」


杏瑠が適当に流して歩きだした。それに合わせてしょうちゃんも歩きだした。



「今日は馬鹿がいるから帰りが盛り上がりそうね~」


相変わらずのしょうちゃんの暴言に神村が口を尖らせる。


「翔子ー!なんか私の扱い酷くない!?」



うん。それは俺も思う。なんでだろうな?

やっぱり馬鹿だからだろうか。


杏瑠達が帰ってから俺も帰路についた。


え、なんで杏瑠達と帰らないのかって?



それはだな。

俺は徒歩で学校に通っているけど、あいつらは自転車だからだ。


部活がない日はいつもは同じクラスの軽音部の連中と帰っているのだが、今日は部活があるため一人で帰宅。


音楽プレーヤーから流れる最近流行りの音楽を聞きながら帰路についた。


学校から出ると5分くらい長閑のどかな田園風景が続く。


薄暗いとは言え、この時間はまだ運動部は部活中、帰宅してるのは俺くらいだ。


そして車もこの細い道には滅多に入って来ない。

・・・、・・・・・・・・・。


そういえば、俺なんで、あんな一歩間違えたら大怪我、もしくは殺しかねない行動なんかしたんだろう?


俺はいつの間にか今日のあの出来事を思い出していた。


それにアレ・・・?

あの声って・・・っ?!!


急に気が遠くなるような気がした。


その時だった。



「・・・っ!・・・・・・やく!」



突然、所々途切れて聞こえる大声とともに背後から物凄い力で押し飛ばされた!



「痛っ!・・・な、何だよいきなり?!」



荒々しく俺は耳からイヤホンを引き抜き、俺を突き飛ばした人物を見るために振り向くと、そこには制服を着た中学生の女の子がいた。



「説明してる、暇ない!あなた、今狙われてる!

だから、逃げる!!」



まるで外国から来てまだ日本語をあまり話せない人の様に語り出した。

しかし、一見して純日本人の様に見受ける少女がいた。


いきなり現れて俺を押し飛ばし、狙われてるから逃げろとか言っている・・・。



「は、はぁ?」



俺がわけもわからずに困惑していると、少女、おそらく俺と同い年くらいだろうか、いや少し年齢は低いか?

その子が俺の手を引っ張り、無理矢理立たせて走り出した!



「話は後!今は、逃げる!」



この少女の・・・いったいどこからこんな力が出て来るのだろう!

ありえないくらいの力で俺の手を引っ張り走っている!


痛っ!?つ、強くね?

千切れるかと思った!!!


しかもこれが、目茶苦茶だろっ!て程に速い!!気を抜くと足がもつれそうになる!


「待て待て待て、待て!!ちょっと待て!なんじゃこりゃ!!待てって!おい!!おいおいおーいこら!!!」


俺の悲鳴にも似た叫び声は少女の耳には届かないらしく、そのまま走り続けた。


そんな調子で2分近く走っただろうか?


田園風景に民家がちらほら現れ、突如として車通りの多い道に出た。

周りにはコーヒーショップやスーパーマーケット等、様々な店がたくさんあり賑わっている。



「ここまで来れば安心」


そう言うと安堵の吐息をもらして少女は走るのを止め、それから俺の方に振り向いた。



さっきはいきなりのことに気にしてる暇なんかなかったが、この少女の顔立ちは整っているが愛想のない表情・・・


誰が見てもたいてい美少女と答えそうなルックス・・・


なんかどっかで見たことがある。

それも・・・極最近・・・



・・・!!確か今日の朝見たぞ!?



「ま、まさか、お前・・・、セリナか?!」



俺の言葉に、目の前の美少女は目を細めて微笑した。

その笑顔には男心をくすぐる何かがあった・・・・・・ってそんなのはどうでもいいわ!


俺の錯覚、妄想じゃなかったのか?!



「セリナがなんでここにいるの!?しかもまた成長してるし!!制服だし!つか逃げろって何!?

あとその他いろいろ意味わからん!説明しろ!」


俺が質問攻めをするとセリナはこれは困った・・・、という顔をしたが、


「家に帰りながら、話します。スーパーマーケットにお父様がいる」


セリナが指を指す方にここら辺では誰もが利用する大型スーパーマーケットがあった。


歩いて行くと、見覚えのあるシルバーの車があったナンバーも見知ったもの。

俺の家の車だ。



セリナは無言で車の扉を開けて入っていった。俺も入ると真っ先に猫が目に入った。昨日セリナと一緒に着た、確か名前はダマ。


・・・でもなんだか毛色が昨日と違う。

全身真っ黒の黒猫なのだ。



「父さん、この猫真っ黒だね。

昨日まではセリナと同じでブラウンじゃなかった??」


俺の問いに、車のエンジンをかけてゆっくり発進させながら答えた。


「生え変わったみたいだぞ」


いきなり色が変わったことなんか全く気にしていなかった。


な、なんと適当な・・・


スーパーマーケットの駐車場から車道に車が出たところでセリナが、毛色がブラウンの元の犬に戻っていることに気がついた。


「セリナ、そういえばなんで制服なんか着てたんだ?」


セリナを抱き上げると昨日とは違ってしっぽを振ってなんだか嬉しそうだ。


主人だと認めて貰えたのか?



「わんっ!」


・・・か、可愛い奴だな!



「どうでもいいが幸信。セリナちゃん変化したら今のままだと真っ裸だぞ!」


・・・確かにその通りだ!


俺はセリナにくしゃくしゃになった制服を無理矢理前足を通していつ変化しても大丈夫なようにした。


「・・・で、なんで制服?」


「な、なあに、母さんが昔着てたのを引っ張り出してきたんだ」


いかにももっともらしい答えのように聞こえるが、何かおかしい。



「わざわざ制服引っ張り出してくる必要あったのか?別に多少大きいかもしれないけど俺のいらなくなった服でも良かったろうし、父さんのでも構わなかったはずなのに何故にこの制服を選んだの?」



ちょっとした俺の詰問に一瞬の沈黙・・・。

その間に俺はあることに気がつく。



この制服・・・真新しい気がする。

母さんが三年間使ったにしては、確実に綺麗過ぎるし、古臭い匂いやよれた感じもしない!



「か、母さんの物を整理してる時だったんだ!」



嘘だ!そもそも結婚してから新居に昔の思い出として制服持って来るのか!?

そんなに高校に思い出でのあるような親たちじゃないし。


つまり、これの真の答えは・・・



「父さん、こういう趣味があったのか、知らなかった。」



ということだろう。なんと残念な親父様だ。



「ちょっと待て息子よ!いろいろ大人の世界の事情があるんだ!」



そんな事情は知らん!

でも大人な親父様を少しは顔を立ててあげよう・・・



「まぁ事情はいいや。制服って良いよね。萌えがあると思う」


威張れることじゃないが、実際俺は制服萌えだ!ちょっとくらいなら語れるぜ!


そのとき、少しだけ車の速度が上がった気がした。


「そうなんだよ!萌えがあるんだ!!特にセーラー服っていうのは極上だ!あの、白ベースの生地に赤や青のスカーフ・・・芸術とも言えるほどのコントラスト、人類の美しさを引き出す奇跡のアイテム!言っておくが、白生地以外のセーラー服には特に萌えないからな!・・・そしてスカートは短過ぎても長過ぎでもセーラーの長所を最大限に生かせない!髪はサラサラロングのストレートならよく映える!ボブでもショートでも、セミロングだって綺麗に!」


「おう!だからセリナはセーラー服なのか!って、いやいやいやいやいやいやいやいや!!!そろそろ待とうか!・・・マジかよマイファーザー!究極的に変態じゃないか!驚愕なんですが」


饒舌!

ここまで調子乗ってくるとは思わなかった!恐るべき父だ!!



「それはそうと、幸信、セリナちゃんから事の詳細は聞いたか?」



「物凄い意味わからない切り返し!?

ま、まぁいいや、・・・全然聞いてないよ。父さんから聞けって話だった」



後部座席にいる俺には父さんの後姿しか見えないが、何か悩んでいるように見えた。



「口下手だから、説明とか苦手なんだよな。どこから話したものか・・・」



確かに口数は、今まで一緒に生活してきたがかなり少ないほうだ。さっきの趣味暴露の時はかなり驚いたが、その次にぺらぺらと喋ったことに驚いた。



車はさっき人通りの多いところを抜けて、なぜか山道を走っていた。



「・・・父さん、どこ向かってるの?帰るのにこんな山登る必要ないよね?」



俺は、ずっと考え込んでいた父さんに疑問を投げかけた。



「あぁ今日はちょっと寄り道だ、母さんの研究所に」



「へぇ、母さんの研究所にか。・・・って、研究所!?今まで場所わかんないとか言って、行った事なかったのに何で突然!?」



「すまん、嘘ついていた。場所は知ってたが、危険だから行かなかったんだ」


たしかに、母さんは危険人物だ。

研究所内部にトラップしかけるのが趣味とか、前に家に帰ってきたときに言ってたのを思い出した。


他の研究員が引っかかるのを見るのが面白いんだろうか?と思った記憶がある。



「なんとなくは納得したけど、何で今日に限って行くなんて・・・?」



「そうだな・・・じゃあ、とりあえず断片断片で話すぞ。今日、母さんから電話があってな。・・・なんだったか・・・・・・、なんちゃらほにゃらら反応とかいう強い反応が約10年ぶり現れてしまい、・・・お前に危機が迫っているようだ」



「マジか・・・」



なんつーか、・・・これは父さんの説明能力の無さ故か?それとも俺の理解能力の無さ故か?理由はわからないが危機迫ってることしかわからなかった!



「わかったか?」



・・・わかったかと言われたらそりゃもう。



「ごめん、全くわからない」



俺の言葉に若干意気消沈している父を見ていると、いつの間にか視界の端、つまり俺の隣に誰かいることに気が付いた。



「ちょ、あんた誰?!」



勢いよく振り向くと、そこにいたのは20代前半くらいの若い男だ。

テレビで見たホストクラブにでも出てきそうな少し強気な感じの、なかなかに美男子。


こんな奴がしかも全裸で隣にいきなり現れたら誰でもビビるだろ!



「デビット・アリエル・モレイアル・アリスと申します。以後お見知りおきを」


「え!?デビット・ありえ・・・・アリスさん??」


全裸だけど、めちゃくちゃ礼儀正しい感じを受けたぞ!

日本人にしか見えないから偽名っぽいけど!ってか全裸だけど!!



「こらダマ!勝手に俺がつけた名前を変えるな!」



・・・あぁコイツ・・・ダマか。

納得したとたんにこの美男子のことが別に全裸だろうと全く気にならなくなった。



「だってお父さん!ダマってなんか人間の時には不自然過ぎるよ!」



確かにそのとおりだ!

でも父さんはダマという名前から変更する気はないらしい。


猫の時はぴったりと言っても過言じゃないくらいだったのに。

人間だとこうも似合わないのか。



「服を着ろ、ダマ!」



「いや、だからダマはやめようよ!」



「全裸はまずいから、とりあえず服着ようよ、ダマ」


流石にずっと全裸を横に置いておきたくないよ。



「だからダマって呼ぶなぁあぁぁぁぁ!!」


全裸で叫ぶ男、変態以外の何者でもないな・・・


うわー、一緒の車に乗ってたくねぇー。



+++



一段落ついて、ダマは俺の予想通りのホストっぽいスーツを着た。セリナは再び変化して、例のセーラー服を着た。


そして、俺達は目的地に着いたのだった。


「あそこが母さんの研究所・・・?」


俺は目の前にある山には不似合いな建物を指さした。


場所は人里離れた山奥、木々に囲まれていて朝でも暗いんじゃないだろうかと思わせる雰囲気だ。

子供の頃に夜に来ていたら軽くちびってたかもしれん。



「そうだ。駐車場がないらしいからここに停めておくぞ。ほら、みんな降りろ。」


促されるままに俺達が外に出ると、少し気持ちの悪い風が吹いた。


昔話で聞いた化け物でも出てきそうな感じだ・・・



・・・ふと、そのとき何かがおかしいことに気が付いた。



こんな場所に大きな現代的な施設があることに対してまずおかしいとも感じるけど・・・


一番おかしいのは、山には不似合いな大きい門がある・・・それが、人が数人同時に入れるくらいに半開きになっている。



「父さんなんか変じゃない?」



父さんも気付いたらしい。



「・・・」



「ちょっと、二人ともどうしたの?早く行こうよ!久しぶりの研究所だってのに、こんなところで足止め!?そりゃないよ!!」



ダマは生まれ故郷の研究所に早く入りたくてしょうがないらしい。バタバタと地団駄を踏んでいる。



「ダマ、様子がおかしい。私たちがここにいた数日間と、何か違う」



セリナは冷静にカタコトの言葉を発した。


ダマ以外は何かを察知した。ということは、


ここから先に、未知の何かがある・・・??


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