始まり
専門用語が多く登場します。
できるだけ、あとがきにかみ砕いた解説な単語の意味は載せます。
※完全なフィクションにつき、実在の組織及び団体、個人とは一切関係がありません。
ピピッ
スマートフォンの通知音が聞こえる。この音はおそらくEメールだろう。スマートフォンを開くと、メッセージが一通きていた。
【選考結果のご連絡】
慎重に検討を重ねさせて頂きましたが、誠に遺憾ながらご希望に沿えない結果となりました。
末筆ながら、今後の迫田様のご健闘をお祈り申し上げます。 以上
私はスマートフォンをベッドへポイッと放り投げた。何度見たことかわからない、そのメールを見ても怒りすらも湧いてこなくなった。怒りよりは、情けなさや申し訳なさが先行してしまう。
名の知れた商社やメーカーへは、リクルートサイトを通じて、何社エントリーしたかはもう自分でもわからなくなっている。
そのとき、一階から母の声が響いた。
「一。ご飯できましたよ」
「すぐ行きます」
私は一階のリビングへ降りていく。母が夕飯を作り終えたところだった。
「就職活動はどう?」
私はばつが悪そうに答える。
「あまり………… 上手くいっていません。でも頑張るので、もう少し待ってください」
母は頷きながら、テーブルへ料理を並べていく。私は気を使わせていることがわかっており、居た堪れなくなる。
私はその後、無言で夕飯を掻き込み、自室へ戻った。
二時間ほど経った頃だろうか、父が帰宅したようだ。
「ただいま」
その声を聴き、私はベッドに潜り、寝たフリをした。大学まで行かせて貰った恩に報わねばならない。しかし、現状のあまりにも不甲斐無い自分を曝け出したくはなかった。
そう、私の本当の両親ではないのだから……