秋 3作
【月】
太陽は私には強すぎる
君は月
夜闇に浮かぶ冷たい光
決して手の届かない
永遠に優しい人
【金木犀の香る季節に】
雨に洗われた空気に金木犀が微かに香る
また同じ季節が来た
大丈夫
今はもう痛みはしない
私よりも泣きそうになっていた君は
金木犀のように優しくて強い唯一の想い出
【私を忘れないで】
風に落ちた花
明日にはない私を忘れないでと
雨に溶かして強烈に香り立つ
背中を追えずにあなたと別れた霧雨の朝の
季節がまた過ぎて逝く
「またね」なんて口約束も
残り香の1つさえも置いて行ってはくれなかったあなたに
「私を忘れないで」
願うこともできない願望を
空に還す嵐を待ってる