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22歳♂ 何故か女の体に転生しました。  作者: BrokenWing
第二章
94/99

覚醒

       覚醒



「う! 私は?! ここは?!」


 ミレアは生き返った!

 やはり思った通りだ!

 スコットの時は何が足りなかったのか分からないが、今回は成功だ!

 だが、俺の時と同様、別人の魂が入っている可能性がある。


「ミレア! 俺だ! アラタだ! 分かるか?!」

「え? アラタさん・・・。ここは何処ですか? あ、あの魔物は?!」

「大丈夫だ! ミレア! お前は生きている!」

「あ~、ミレア! ミレア! アラタさん! やりましたのね!」


 クレアが、泣きじゃくりながらミレアに抱き着く!


 俺達はすぐに屋敷に飛んだ。

 ミレアを念の為に、彼女の部屋に運んで寝かせる。

 ミレアも疲れていたのか、そのまま寝入ってしまった。

 うん、大丈夫だ。息をしている。



 現在、俺はリビングで、ソファーに座って考えている。

 他の連中は、まだ全員ミレアの部屋だ。


 マリンがお茶を淹れてくれる。

 晩飯はどうするかと聞かれたが、今の俺には食欲が無く、まだいいと断ったが、一応用意はしてくるそうだ。


 あの後、全員のステータスを確かめたところ、やはりミレア以外は、【即死耐性中】というのが付いていた。

 勿論、俺にもついている。

 つまり、あの呪文、【オールデス】は即死攻撃だったのは間違いない。


 気になるのは、普通の魔法なら、【反射】の盾の効果で、効かないはずだ。

 あの時、ミレアもちゃんと装備していた。


 ならば、その前の呪文、確か【ピアス】と言ったか?

 あれが鍵だろう。

 あの呪文の後、階層主の身体が灰色に明滅したことを考えると、なんらかの効果を自分に与えたと思われる。


「そうか! 【ピアス】は自分の魔法を相手に貫通させることが出来る効果。と考えれば、納得が行く! 俺の武器についている効果の、魔法版だ!」


 気が付くと、俺は叫んでしまっていた!

 テーブルで食事の用意をしてくれていたマリンが、びっくりして、こちらを向く。


「あ、すまん、流してくれ。」

「承知したざます。」


 俺は更に考える。

 何故あの階層主は死んだのか?

 自分の魔法で死ぬなんて、アホだろ?

 もっとも、自分の唱えた魔法が貫通効果で自分に効いてしまったと考えれば、説明はつくが。


 もう一つある。

 確か、あの階層主は『最後の試練を任されている筈のわらわ』とか、『この階層ってだけでも許せない』とか、『試練の時』とか言っていた。

 あの意味をどう取る?

 う~ん、謎だ。


 もう一度会えれば、教えてくれるだろうか?

 ふむ、次は、逃げなければ教えてくれるかもしれんな。


 謎と言えば、まだまだある。


 何故、ミレアだけが死んだのか?

 彼女の魔法防御は、リムの次に高い。

 そして、最も低いカレンには効かなかった。

 たまたま耐性がつかなかっただけだろうか?


 そして、最大の謎はこの俺だ。

 あのミレア復活の後、俺にはニュースキル、【光魔法5】がついていた!

 闇魔法を使う俺が、光魔法を覚えられるだけでも異常なのに、それがいきなりレベル5だ! 


 そして、これはサラと同じ現象と考えていいはずだ。

 サラは、以前、【火魔法3】なのに、レベルが5必要と思われる魔法を行使し、その後、一気に【火魔法5】になっていた。


 俺の場合と併せて考える。

 おそらく、あの復活の魔法には、【光魔法5】が必要だったのだろう。


 ふむ、逆に考えればどうだ?

 魔法レベルが5だから使えるのではなく、その魔法が使えたから魔法レベルが5になったと考えればどうだ?

 うん、これなら辻褄が合う。


 ん? と、言う事は・・・。

 俺の頭の中で何かが弾けた!

 俺はサラの言葉を思い出す!


『出来ると思ったら、出来るのですにゃ!』


 そう、俺はミレアの時、絶対に成功すると思っていた!

 そして、スコットの時は、そこまでの自信は無かった!


「何だ。単純なことじゃないか! これこそが魔法の本質だ! 今まで俺が考えていたことも間違いでは無かった! だが、真の本質は、あの一言だ! これこそが、『この世界の真実』なのかもしれない!」


 俺はまたしても叫んでしまう。

 今度はマリンも見て見ぬふりだ。


 流石にこの世界のまでは大袈裟かもしれないが、俺は確信する。



 そう、一番大切なのは、【自信】だ!

 自分を信じる強さだ!



 うん、合点が行く!

 あの時、ミレア以外が死ななかったのは、彼女達には、『死なない』という自信があったのだ!

 その結果が【即死耐性中】だ!


 そして、ミレアには、きっとそれが足りなかった。

 彼女は、俺の仲間の中では、最も冷静で、理論派だ。

 全く根拠の無い、『死なない』なんてのは、考えられなかったのだろう。


 階層主とか、まだ謎は残っているが、俺は一気にすっきりして、立ち上がる!


「マリン、ありがとう! サラちゃんが居なければ、気付けなかった! サラちゃんを俺に託してくれた、マリンのおかげだ!」


 俺は興奮して思わず、お茶の器を下げに来たマリンに抱きついてしまった!

 マリンは顔を真っ赤にして俯き、小声で喋った。


「え、そんな。でも、嬉しいです。私もまだ30です。まだ産めます。」


 げ!

 しかも、言葉遣いが完全に変わっている!

 これはヤバい!


 更に、運の悪いことに、全員入って来た!

 どうやら、ミレアが目覚めたようだ。


「アラタ! あなた、遂にマリンちゃんにまで!」

「なんか寝起きで良く分りませんが、非常事態なのは分かります。」

「あらあら、アラタさん、守備範囲が広いのですわね。」

「これは負けられないっす! 若さで勝負っす!」

「マリンちゃん、良かったですにゃ!」


 うん、ドツボだ。



 実の所、俺の理論は、まだ証明されていないのだが、ミレアも起きたし、食欲も出たので、皆で晩飯にする。


 当然、食事中は、新理論どころではない!

 弁解に必死だ!

 リムとミレアの蔑んだ目線が痛い!

 しかも、マリンが思わせぶりに、俺の顔を見ながらもじもじしやがる!


 結局、誤解は解けたようなのだが、何を食べたかすら覚えていない。

 スワレントラップ、恐るべし!



 食後の恒例の一家団欒入浴タイムで、ミレアに体調を確認する。

 本当は、食事中に確認したかったのだが、それどころでは無かったしな。

 それに、ミレアも普段通りだったから、飽くまでも確認だ。


「それで、気分はどうだ? 何か変わったところはないか?」

「いえ、特にありません。気分もいいです。」


 聞くと、彼女は、死んでいた間の事は全く覚えていないらしい。

 気が付いたら、目の前に俺達が血相変えて集まっていたという認識だ。

 実際、彼女が死んでから、蘇生が成功するまでの時間は、5分もかかっていない。


「そうか、なら良かった。ふむ、魂の移転とは違って、そんな大層な術ではないのかもな。」

「いえ、アラタさん、私、一度死んだと聞きましたが。それが本当なら、大層な術どころではないはずですが?」


 確かに、死人がほいほい生き返るような術は、ある意味限界を超えている。

 だが、俺の中では、もはや筋が通っているのである。

 今まで誰も成功しなかったのも当然だ。

 気力が500以上ある奴なんて、そうそう居ないはずだ。

 もっとも、神殿の水晶を使えば、可能なのかもしれないが。


「とにかくミレアが助かって良かった。今はそれだけだ。」

「本当に良かったですわ。それでアラタさん、あの階層主が使った攻撃は何だったのですの? 何も触れずに人が死ぬなんてありえませんわ!」

「う~ん、クレア、俺の世界のゲームでは、よくあった魔法なんで、俺はそういうものだと、納得してしまっているが。あの石化効果だって、それに近いしな。」

「ふにゃ~。私には出来そうもないですにゃ。」


 ふむ、流石のサラでも、出来る気がしないか。

 俺の場合は、出来るとは思うが、使う気は全く無い。

 チートな俺が言うのもなんだが、あんなもん、反則だ。


「後、この件に関しては、絶対に口外禁止だ。ばれたら、それこそ俺は神様扱いされてしまう。マリンにも言ってあるが、宜しく頼む。」

「「「「「はい。」」」」ですにゃ。」


 ただ、マリンの場合は、一応カサードの直属なので、微妙である。

 詳しくは何も話していないが、ミレアに何かあったことくらいは、馬鹿でも分かる。

 報告するかは、彼女次第だろう。


「ところで、アラタ、何でミレア姉様だけだったの? あの主の言い方では、全員にかけた魔法よね?」

「それは、リム、お前達のステータスが証明している。【即死耐性】を獲得できたからだ。残念ながら、ミレアはたまたま獲得出来なかった。それだけだろう。」


 俺はさっきの考えはあえて言わない。

 あれを言うと、彼女は落ち込むだろう。

 確証も無いしな。


 ただ、魔法の本質に関しては、いつか実践して証明するつもりだ。

 しかし、その証明方法が分からない。

 できると思っているかどうかなんて、本人でも分からないかもしれない。

 また、もし出来ると確信していても、他の条件、例えば、気力の込め方や、イメージの造成に成功していなければ、当然無理だろう。

 客観的に証明するのは難しそうだ。



 風呂から上がった後、俺は全員を呼んで、スコットの墓の前に居る。

 俺は、あの時、確信を持てなかったことを悔やみながら、黙祷を捧げる。

 勿論、この身体をくれたことへの感謝も忘れない。


「よし、俺の気は済んだ。じゃあ、少し実験だ。カレン、【リフレクトシールド】を持って、そこに立ってくれ。」

「はいっす!」

「まずは普通に。ファイアショット!」


 俺の腕から、直径50cmくらいの火球が出現し、カレン目掛けて飛んでいく!

 これでも、大分出力を絞ってある。


 【リフレクトシールド】が一瞬光り、火球はUターンして俺にぶち当たる!

 【火無効】の効果で、ダメージは無いが、これなら周りも分かり易いだろう。


「当然の結果よね。それで、アラタは何がしたいの?」

「リム、焦るな。まあ、黙って見ていろ。と、言っても、成功する保証はないんだがな。」


 しかし、俺は確信していた。

 あの明滅具合、あの色は時空系統だろう。

 闇ならもう少し色が濃いと思う。

 まあ、もはや系統なんて、俺にとっては無意味なのだが。


 俺はイメージを固め、気力を内側に込める。


「ピアス!」


 俺の身体が灰色に明滅しだした!

 うん、成功だ!


「え? これって、あの階層主の? 真似できたのですか?」

「ミレア、驚くのはまだ早い。まずはファイアショット!」


 先程同様の火球がカレン目掛けて飛ぶ!

 今度は盾が光らない!

 火球はカレンに当たって消えた。

 彼女も【火無効】の装備をしているから、ダメージはないはずだ。


 皆が驚いて立ち竦む中、俺は次の魔法の準備をする。

 クレアが使っているの見ただけだが、あれ位なら、俺にもできそうだ。


「アクアダーツ!」


 俺の目の前から、長さ2m程の、透明な3本の矢が出現し、カレン目掛けて飛んで行く!

 ん? ちとでかすぎたか?

 カレンは慌てて盾を構える!

 しかし、矢は盾をすり抜け、全弾カレンに突き刺さる!


「きゃん! 痛いっす! え? でも、それって・・・?」

「済まん! 初めてなんで、威力の調整が出来なかった! ヒール!」


 今度はカレンの身体が、一瞬、薄緑色に光る。

 これは、ヒールが効いている証拠だ。

 相変わらず【リフレクトシールド】は無反応だ。


 ここで俺の身体の明滅が終わった。

 ふむ、やはり効果は30秒くらいだな。


「アラタ! 説明して欲しいわ! 今のは水魔法、【アクアダーツ】よね! 火魔法が使えるアラタが使えるはずないわ!」

「そうです! サラちゃんじゃあるまいし、不可能なはずです!」


 思った通り、うちの魔法職はお冠だ。


「サラちゃんが使えて、俺が使えないのは不公平だろう。」

「いえいえ、アラタさんは存在そのものが不公平です。」


 確かにミレアの言う通りかもしれんな。


「これじゃ、説明になっていなかったな。簡単なことだ。魔法の系統なんて、ただの分類みたいなものだったんだよ。前も言ったが、魔法は、イメージをして、気力を込め、それを具現化する作業だ。」

「はい。それで、私も【アラタさんへの愛】が成功しましたわ。」

「クレア、そのネーミングは何とかして欲しいところだが、まあいい。だが、それだけじゃ足りなかったんだ。いや、逆かな? 大前提として、それが『出来る!』『成功する!』って、自信が必要なんだよ。今の俺に言わせれば、魔法レベルなんて、ただの飾りだ。」


 全員、きょとんとしている。

 ただ、サラだけは違った。

 彼女は、やはり既に何か掴んでいるようだ。

 大きく頷いた。


 俺はそこで、自分のステータスを見る。

 水魔法を取得しているはずなので、それを確認したかったのだ。


「ん? なんじゃこりゃ~!」


 皆が驚いて俺を取り囲む。


「ちょっと、見てくれ。」


 俺は腕を前に出し、皆にステータスを見せる。


「もう、アラタさんのステには驚かないっす。しかし、なんすか? この、攻撃力1110って。でもって、あれ? これは? 初めて見るっす。」

「え? え? アラタさん、またチートに輪をかけましたね。しかし、これは一体?」

「アラタ! あたしも初めて見るわ! 【魔法の極意】って? こんなの、エルフでも居ないはずよ!」

「そうですにゃ! おばあちゃんも、そんな話はしなかったですにゃ! 今度聞きに行きますにゃ!」


 そう、俺の魔法スキルと思われるものは全部消え、今や、【魔法の極意】だけになっている。


「う~ん、サラちゃん、それと皆も、この事はあまり広めて欲しくは無いのだが。なんか、厄介事が増えそうな気がするんで。」


 祭祀長のイーライなんかにばれたら最悪だ。

 質問攻めに遭うのは間違いない。


「仕方無いですにゃ。誰にも言わないですにゃ。」

「うん、助かる。ただ、サラちゃんが自分で獲得した場合は、サラちゃんの判断に任せる。その時は良く考えてくれ。」

「はいですにゃ。」


 うん、仲間の中では、このスキルを獲得できるとすれば、サラが最も早いはずだ。



 その後、俺はいつものように、マリンのお茶をご馳走になっている。

 しかし、他の仲間は全員、リムに連れられてダンジョンに飛んだ。

 早速試してみたいのだろう。

 俺の考えが正しいなら、カレンでも魔法は使えるはずだ。

 ただ、彼女は、気力の込め方を習得できていないようなので、ハードルは高そうだが。


 小一時間程して、全員戻ってきた。

 顔色から察するに、誰も進展が無かったようだ。

 俺は、ひょっとしたらサラくらいはと期待していたのだが。



 その晩はミレアを俺の部屋に呼ぶ。

 勿論、目的はいたすことでは無く、彼女の気持ちを確かめる為だ。


「それで、お前はどうしたい?」

「はい。あの階層をクリアできていないのは私だけのようですね。なので、再挑戦させて欲しいです。」

「だが、また死ぬかもしれんぞ。俺も、何度も成功するかは保証できない。」

「構いません。いえ、勿論死ぬ気はありません。と言うか、あんな事が出来るアラタさんの側に居る私が死ぬなんて、思えなくなってきました。」


 ふむ、これなら大丈夫だろう。


「ああ、俺がお前を死なせない! うん、分かった。でも、明日は丸一日休憩だ。俺も確かめたいことがあるしな。」


 すると、クレアが入って来た。


「アラタさん、今回のミレアの事、本当に感謝しますわ。ミレアは、血こそ繋がっていませんが、私の唯一の肉親ですわ。」


 なるほど、やはりか。

 この姉妹、あまりにも似ていないとは思っていた。


「だが、今回の事もそもそもは俺が原因だ。当たり前の事をしただけ、いや、出来てしまったと言うべきか。そして、クレア、俺達はもう家族だ。ミレアだけじゃなく、他の奴にもそう想ってやって欲しい。」

「勿論ですわ! ミレア、カレン、リムちゃん、サラちゃん、そしてマリンちゃん。全員、私の一番ですわ! 最後にアラタさん、愛していますわ。」

「私もです! もう我慢できません!」


 ミレアが俺の顔に手をかけ、唇を重ねる。

 そして、そのまま押し倒される。

 当然、その後は肉弾戦になってしまった。



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