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22歳♂ 何故か女の体に転生しました。  作者: BrokenWing
第二章
93/99

試練の時




        試練の時



 あれから三日後、俺達は遂に90階層の扉の前に居る。

 外では、そろそろ日が暮れ始めているだろう。



 途中、あぶないぞうが団体で出て来た時は苦しかった。

 しかし、奴には魔法が効くので、カレンが【無敵】で敵の真ん中に躍り出たところを、残り全員の範囲魔法で仕留めるという力押しで何とか凌いだ。

 ナインティードラゴンに関しては、例の鉄板戦法、近寄ってきたところを通路で凹るで、楽勝。

 百人前とスワレントラップは、パターンさえわかれば、敵ではない。



「では、くれぐれも言っておくが、扉越しに確認するだけだからな! 決して、開けるなよ!」


 あれ以来、俺はかなり慎重になっている。

 今回は階層主の顔だけを【シースルー】で拝んで、後は89階層で休むつもりだ。

 そして、少しでも対策を立ててから、明日挑もうという訳である。


「それで、どんな感じですの?」

「うん、既にレーダーで確認している通り、見えるのは4体。階層主らしいのと、いつものお引きが各一種。スワレントラップも居るはずなのだが、例によって見えないな。で、階層主らしいのは、巨大な美少女だ。ゴスロリ着ている、3mくらいある銀髪美少女。」


 リムとはタイプが違って、かなり幼さが残る。

 でかくなければ、人間だと勘違いしているところだ。

 サイズさえまともなら、その手の店に行けば、指名の嵐だろう。


 しかし、残念ながら、3mは厳しい。

 それでも、指名する変態は居そうだが。

 まあ、それくらいの美少女ではある。


 時空魔法が使える、ミレア、リム、サラも、確認しているようだ。

 【シースルー】は気力の消費が激しいので、普段使うのは俺だけだが、今からドンパチすつもりが無いので、問題は無い。


「あれは、多分魔法タイプね。【反射】の盾は欠かせないわ。」

「どうやらそのようですね。でも、他にも特殊な攻撃があるかもしれません。油断は禁物です。」

「あいつ、やばそうですにゃ! でも、胸は勝ってますにゃ。」


 サラ、お前の注目ポイントはそこかい!

 よく見ると、ミレアもにやついていやがる!

 確かに、こいつらに胸で負ける女性は少ないな。

 まあ、サラはこれからだが。


「よし、今日はこれでいいだろう。引き返すぞ。」

「はいっす。え? 二体、扉に向かって来るっす!」


 俺も慌てて確認し直すと、ナインティードラゴンと、巨大美少女がこっちに向かって来る。

 ナインティードラゴンは感知能力が高いので、扉越しにでも反応したのだろうが、階層主が、こちらから扉を開ける前に反応するのは初めてだ。

 でも、こちらから開けない限りは大丈夫だろう。


 しかし、連中がどうするのか気になるので、扉越しに監視し続ける。

 他の二体、あぶないぞうと百人前は、相変わらず部屋の奥でじっとしている。

 だが、階層主とナインティードラゴンは、扉のすぐ前まで来た!


「ふむ、なんかやばそうだ。急いで引き返すぞ!」

「「「「「はい!」」」」ですにゃ!」


 俺達が踵を返すと同時に扉が開かれた!

 馬鹿な! 前例が無い!

 階層主自ら扉を開けるなんて!


 更に、俺達が上の階に戻ろうと走ると、後ろから声が聞こえる!


「ここまで来て、わらわに会わずに帰ろうとするなんて、いい度胸なの! わらわ、ぷんぷんなの!」


 こいつは一体何なんだ?

 まあ、喋るのは予測していたが。

 しかし、幼女口調で『わらわ』って。


「最後の試練を任されている筈のわらわが、この階層ってだけでも許せないのに、無視? 無視なの?! 絶対許さないの! 縮地!」


 巨大美少女は、そう言うと、上への通路の真ん前に瞬間移動する!

 ヤバい!

 このままじゃ挟み撃ちだ!


「俺は主に行く! 他はドラゴン頼む! リフレクトシールド忘れるな! 縮地!」

「「「「「はい!」」」」」


 俺も、反射の盾を翳しながら、仲間を追い越し、階層主との間合いを一気に詰める!


 こうなってはやるしかない!

 幸い、全員、それ程気力は消耗していないし、体力も満タンの筈だ。

 俺も、気力はまだ700以上ある。

 いざとなれば、お引きから吸える筈だ。


 しかし、巨大美少女は、何やら意味深なことを言っていたので、こいつも知性がありそうだ。

 なので、俺も冷静になって、訊いてみる。


「いや、『わらわ』さん、無視している訳じゃなく、今はやるつもりが無いだけなんですが。あの、そう言う事なんで、そこ、通して貰いたいんですけど。」

「ダメ! わらわ、ずっと待っていたの! これ以上は無理なの! わらわの試練を受けるの! さあ、そうするの! で、その変な盾、嫌いなの! ピアス!」


 巨大美少女がそう叫ぶと、彼女の身体が灰色に明滅する!

 これは、何か分からないがヤバそうだ!

 しかし、俺の身体に異常は無い。

 リフレクトシールドも光らなかった。


「じゃあ、行くのっ! 試練の時なの! 心弱き者、纏めてぜ~んぶ死ぬのっ! オールデス!」


 ん? 何だ? この呪文は?

 意味からすると、かなりヤバそうだ!

 しかし、俺の身体に変化は無い。

 慌ててステータスを確認するが、何処も異常は無い。


 そして、再び俺が階層主に目を向けると、そのでかい図体が崩れ落ちる!

 背後で、かすかに聞き覚えのある音がした気がする。


 何だ? こいつは?

 俺が近寄っても、無反応だ。

 蹴飛ばしてみたが、やはり反応は無い。

 どうやら、死んでいるようだ。


 試練の時?

 お前が死んでどうする?

 聞きたいことは山盛りだ!


 その時、背後でクレアが絶叫した!


「ミレア! ミレア! しっかりしなさい!」


 俺が振り返ると、カレンとリムとサラが、呆気に取られた顔をしている。

 ドラゴンは、地面に落ちていて、動かない。

 他のお引きに至っては、まだこちらに気付いていないようだ。


 しかし、クレアが蹲って、ミレアを抱きかかえている!


「ミレア!どうした?!」


 俺もすぐに駆け寄る!

 ミレアのステータスをチェックする!

 全く外傷は無いが、何か、状態異常を受けたに違いない!


「何だ! これは! どうなっている!」


氏名:リムリア 年齢:16歳  性別:女

職業:奴隷〈アラタ・コノエ:死後開放〉

レベル:94

体力:0/433

気力:351/467


 ヤバい! 体力が0だ!

 スコットの時と同じだ!


 だが、閻魔は言っていた。


『あれは結構いい線行ってたんだよ~。』


 そう、まだ望みはあるはずだ! 

 これは、完全に死ぬ前の、一歩手前の段階だと、俺は勝手に解釈している。


「クレア! まだ望みはある! と言うか、俺が死なせない! 貸せ!」


 俺はミレアを奪い取り、アイテムボックスに放り込む!


人間:ミレア の死体


 やはりスコットの時と同じだ!

 名前がまだ表示されている!


「リム! あの時の! スコットの時の! あの魔結晶は?!」

「え、ええ、あるわよ。」


 全員、俺に完全に気圧されしているようで、何も言って来ない。

 もっとも、ミレアが死んだことを理解したからでもあるだろう。

 生きているものは、何であれ、アイテムボックスには入らない。


 リムが黙って俺に、スコットの作ってくれた、特大魔結晶を手渡す。

 これ一個で気力が200くらい増えるのだが、俺がスコットに乗り移る時に使用した物だ。


 俺は、どれくらい減っているかを確かめる。

 全く減っていない!

 俺が持つと、気力が200程増えた。


 あの時の俺の気力は700くらいだったはずだ。

 流石に神殿の水晶の残量までは分からないが、あの時、気力が足りなかったのなら、この魔結晶が先に減っているはずだろう。


 現在、最大気力は軽く1000を超えているが、現状は素で700くらい。

 だが、魔結晶を持った今は、900以上だ。

 つまり、あの時よりも気力は多くある。

 なら、条件は前回よりいいはずだ!


「うん、ミレアは俺が必ず生き返らせる! しかし、この状態では流石に集中できないな。どこか安全な場所に移動しよう。 リム! そこの階層主を頼む。お前ならアイテムボックスに入るだろう。」

「え、ええ。分かったわ。」

「「「「はい!」」」」


 全員、かなり緊張しているようだ。

 サラの語尾も普通になっている。



 扉は開いたまま。

 ドラゴンはやはり死んでいた。

 全く反応しない。


 部屋の中に入ると、何と奥の扉が開いていた!

 ふむ、どうやら、試練とやらはクリアしたらしい。

 後はお引きだけだ。

 残った2体が近寄って来る!


「そこ! スワレントラップがいる! 注意しろ! 今はあいつらの相手をする気は無い! 一気に突っ切るぞ! クレア! カレン! こっちに来い! リムはサラを頼む!」

「「「「はい!」」」」


 俺は両腕にクレアとカレンを抱きかかえる。


「縮地!」


 そして、一気に部屋を抜ける!


「縮地!」


 リムも、サラを抱えて、ちゃんとついて来た。


「よし、追っては来ないな。まずは登録を済ませよう。」


 俺達はワープの小部屋で、5個浮き出た魔法陣に触れる。


 クレアがやっと我に返ったようだ。


「アラタさん! ミレアは? ミレアはどうなりますの?!」

「クレア、心配は要らない。さっき言っただろ。俺が必ず生き返らせると。サラちゃん、どうだ? 俺に出来そうか?」

「はいですにゃ! 出来そうですにゃ!」


 サラは完全に元に戻っている。

 そして、俺はこの言葉が欲しかったのだ!


 彼女は、その一言で何でも出来てしまう。

 勿論、出来ない事も沢山あるが、今はこれで充分だ!


「ふむ、多分だが、神殿じゃなくても可能なはずだ。流石にこれからやることは見られたくない。この世界の理を変えてしまいそうだからな。」

「アラタ、やるのね!」

「当然だ! 今の俺なら出来るはずだ!」


 リムは落ち着きを取り戻したようだ。

 リムだけでなく、クレアもカレンも顔を上げて、俺を見ている。


 俺は思った。

 一撃で、手も触れずに相手の命を奪う術があるのだ。

 逆が出来ない訳が無い!



 俺はアイテムボックスからミレアを取り出し、部屋の中央の魔法陣から、少し外れた場所に置く。

 うん、さっきと同じ状態だ。


「じゃあ、前回と同じだ。全員、俺に触れてくれ。そして、ただひたすら願ってくれ。ミレアの復活を!」

「「「「はい!」」」」

「行くぞ! 生き返れ! ミレア!」


 そう、呪文は何でもいいはずだ!

 俺は、ミレアの魂がこの身体に戻って来るイメージを固めて、気力を込める!


「サラちゃん、作者はチョコレートを貰えると思うか?」

「無理ですにゃ!」


 この子猫、いつか作中で殺す!



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