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22歳♂ 何故か女の体に転生しました。  作者: BrokenWing
第二章
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新戦略

        新戦略



 翌日、83階層、【シースルー】で確認した結果、やはり新顔が2種類追加されている。


「降りてすぐの小部屋、真っ青な、象のような奴だ。かなりでかい! 高さだけでも3mくらいある! しかも、足が棘だらけだ! 鼻と尻尾の先には、クレアが使っていたチェーンフレイルの鉄球みたいなのがついている! そした、ナインティードラゴン2体が一緒だ。これは厄介だぞ。」


 体形は、確かに象に似ているが、その姿はかなり凶悪だ。

 目も四つあるし、もし、動物園に入れたら、目的の違う施設になってしまうであろう。


「ゾウってなんですにゃ?」

「う~ん、こっちの世界には居ないのか。長い鼻とでっかい耳を持った、巨大な豚だと思ってくれ。ただ、あいつの場合、全身が武器みたいなもんだけどな。」

「良く分らないですが、とにかく、迂闊に近寄れない敵なのは間違いなさそうですね。」

「そうだな、ミレア。しかし、あの図体だ。必ず隙があるはずだ。」


 とは言ったものの、俺の運動性を持ってしても、あの棘だらけの足を掻い潜って攻撃を加えるのは至難の業だろう。


「この位置なら、まだ気づかれていないはずだし、今、対策を練るべきね。」

「勿論だ、リム。あの巨体の攻撃を喰らったら、カレンと言えどもヤバそうだ。俺でもどうかってところだな。」

「では、いつも通り、囮を先に突入させるっすか?」

「そうだな~、残っているのは、玄武が一体と、後は雑魚ばかりだしな~。突っ込ませても、瞬殺されそうだ。ん? 待てよ。」


 俺は考えた。

 さっきの階層での経験を活かすべきだろう。


「ふむ、俺に考えがある。リム、スワレントラップの魔核、まだあるか?」

「ええ、丁度2つ余っているわ。合成する?」

「うん、頼む。合成したら、この、ファイアウルフの靴に付与してくれ。」

「ちょっと待ってね。」


 前の層で試した結果、【認識阻害大】の効果のついた、【認識阻害の帽子】を着けると、ナインティードラゴンは、同じ小部屋に入るまで、気付けなかったのだ。

 俺に至っては、目の前に居ても攻撃されなかった。


 しかし、着けると、仲間がお互いの気配を感じられなくなって、連携に支障をきたす。

 リムですら、俺が着けたら、目の前に居て、何とか分かると言うレベルだ。

 皆、見えてはいるはずなのだが、見えている事を拒否している、といった状態と思われる。

 俺からは全員分かるのだが、同士討ちのリスクが高すぎる。


 しかも、魔物に気付かれないとは言っても、こっちから攻撃をしようとすると、すぐに気付かれるようで、正確にこちらを攻撃してくる。

 どうも、敵意のようなものに反応するようだ。

 つまり、魔物とやり合う場合、効果としては微妙なところなのだ。


 だが、偵察限定ならどうだろう?

 こっちから仕掛けなければ、相手も気付かない可能性が高い。

 眼が四つもあるから、効かないかもしれないが、試す価値はあるだろう。


「できたわ! 名前はどうする?」

「そうだな。【忍び足の靴】でいいだろう。今から履いて、俺が先に小部屋に入るから、全員、小部屋の中がぎりぎり見える位置で待機。お前達も、【認識阻害の帽子】に付け替えておいてくれ。お互い、ぶつからないように注意しろ。手を繋いで行くといい。後の指示はテレフォンで伝える。あと、【サラの剣山】を貸してくれ。何か一つでも効けばラッキーだ。」

「「「「「はい!」」」」ですにゃ!」



 俺は、【素早さ20%アップ】のついた、【俊足の足袋】を履いていたが、それを、今できたばかりの、【認識阻害大】をつけた、【忍び足の靴】に履き替える。

 相手に見つからないのなら、運動性を捨ててもお釣りが来るはずだ。


「じゃあ、行くぞ。」


 俺は、【サラの剣山】を握り、慎重に降りて行く。


 ふむ、部屋に入っても、襲われない。

 しかし、近づくと、ナインティードラゴンは、地面に立ったままだが、きょろきょろしだした。

 こいつには気付かれたか?

 だが、象の化物の方は、俺が目の前に居ても、微動だにしない。


 うん、これはチャンスだ。

 俺は、【サラの剣山】を、纏めて巨象に突き刺した!


「バォ~ッ!」


 流石に奴は気付いたようだ!

 俺に向かって突進してくる!

 ドラゴンの方も気付いて、俺にブレスを吐こうと身構える!


「チッ! どれも効果は効かないようだ! お前達はそこで待機! 返事はするな!」


 流石にこの状態でテレフォンを使う余裕は無く、俺は大声で指示を出す!

 返事を拒否したのは、当然、仲間を敵に気付かせない為だ。


 現状、俺達は【火無効】なので、ドラゴンのブレスは俺達には効かない。

 奴の攻撃はブレスが主体だ。

 なので、ドラゴンだけなら楽勝なのだが、この未知の巨象が鬱陶しい。

 

 ふむ、どちらかだけならいけるな。

 巨象の方も、鉄球を振り回しながら、突進してくるだけで、特殊な攻撃は無さそうだ。

 もっとも、間合いに入るのは大変そうだが。


「ハイスタン!」


 俺は、反射の盾を翳しながら唱える!

 実はその時、俺に、ドラゴンのブレスが直撃しているのだが、全く効かないので、軽く無視している。


 奴の動きが止まる!

 ふむ、効いているようだ。

 なら、この隙に体制を立て直すか。


「縮地!」


 俺は、一瞬で部屋を飛び出す。

 目の前にカレンが居るのだが、当然彼女は気付いていない。


 うん、やはり追って来ないな。

 これだけ距離を取れば大丈夫のようだ。

 仕切り直し成功だ。


 俺はテレフォンで皆に伝える。


「全員、上の階まで撤退だ。慌てず、手を繋いだままでな。声も立てるなよ。」

「「「「「はい!」」」」」


 全員がそろそろと移動していく。

 俺は全員が昇り切るのを見届けた後、続く。


「よし、もう大丈夫だろう。帽子をいつものに変えろ。」

「「「「「はい!」」」」」


 俺も、靴を【俊足の足袋】に履き替える。

 彼女達は、お互いを完全に認識できるようになって、ほっとしたようだ。


「それで、アラタさん、どうするつもりっすか?」

「焦るな、カレン。先ずは状況の説明からだ。あのでかぶつの反応から、あいつには、ドラゴン程の認識能力は無さそうだ。そして、魔法も、【ハイスタン】が効いた。」

「はい、あたいらが見ていても、そんな感じだったっすね。でも、三体同時はきつそうっす。」


「問題はそこだ。ドラゴンだけなら?」

「今のあたいらなら、何とでもなるっす。」

「そう、要は、一緒にいるから面倒なだけだ。あのでかぶつだけなら、俺とサラの、【ハイスタン】をかましている間に皆で凹ればいけそうだろ?」

「そうっす・・・、あ、分かったっす! ドラゴンだけを先に狩るんすね!」


 皆も、理解してくれたようで、笑顔になる。


「うん、【認識阻害の帽子】を着けずに、普通に降りていけば、ドラゴンは俺達に気付いて追って来るだろう。しかし、でかぶつの方は部屋に入るまで気づかない。つまり、狭い通路でドラゴンを先に仕留めてから、でかぶつをやろうという作戦だ。」

「いい作戦です。狭い通路なら、ドラゴンも上手く飛べないですし、私達に有利です。」

「その通りだ、ミレア。俺も、飛び乗らなくても済みそうだ。」


 ドラゴンを小部屋で狩る時は、まず地面に叩き落すことが重要だ。

 今までは、俺が飛び乗って翼をへし折るか、サラの魔法の矢で翼の付け根を狙撃していた。

 しかし、通路ならクレアの槍も、カレンの剣も届くし、津波の魔法も躱せない。


「じゃあ、通路に出て来た所を、カレンが挑発して、リムが【大津波】、後は皆で凹る。これでいいな?」

「「「「「はい!」」」」ですにゃ!」


 俺達は再び通路を降りて行く。

 降り切ったところで待っていると、予想通り、ナインティードラゴン二体が、窮屈そうに通路を飛んで来る。


「挑発!」


 うん、挑発が効くのは実証済みだ。

 ドラゴン二体は、カレン目掛けてブレスを吐いて来た!


「よし! 俺とクレアは、この隙にドラゴンの背後に回り込む! リムは、確認したら唱えろ!」

「「はい!」」


 リムの【大津波】の威力だと、ドラゴンが小部屋まで押し流される可能性が高い。

 なので、途中で少しでも削ろうという算段だ。

 今までの経験だと、リムの【大津波】3発なら確実だった。

 しかし、それでは燃費が悪い。

 大魔法なだけに、消費が高く、リムでも5発が限度だからだ。


 もっとも、俺が【サイコギフト】で俺の気力をやれば済む話なのだが。

 俺の気力は、【サイコドレイン】で魔物から回収するだけだし。


「大津波!」


 俺とクレアが回り込んだ瞬間、激しい濁流がドラゴンを呑み込んで、こっちに来た!


「喰らえ! コンボラッシュ!」


 俺は、ドラゴンの顔面目掛けて、左右のワンツー、膝蹴り、更にワンツー、そして最後に飛び蹴りの、連続攻撃を決める!

 相手は、濁流の中で無防備だが、こっちには影響が無いので、やりたい放題だ!

 俺の拳には、【防御半減】もついているので、この攻撃で、あっさりと息絶えたようだ。

 頭の原型は既にない。


 実はこの攻撃、今みたいに完全に決まれば、これだけでナインティードラゴンを葬れる。

 なので、俺が偵察に入った時、その気になれば、一体くらいは仕留めることもできたのだが、あの時は巨象にばかり気が行っていて、完全に忘れていた。

 まあ、横槍が入れば成功しないしな。


「こっちも行きますわ! 五点連穿!」


 クレアも、もう一体に連続攻撃を決めている!

 クレアの槍にも、【防御半減】効果がついているのだが、これだけでは無理だったようだ。

 ドラゴンの眼にはまだ光が宿っていて、必死に反撃しようともがく!


「止めですにゃ! 精密三連!」


 サラの弓矢が、正確に、頭、首、胸に突き刺さる!

 轟音と共に、ドラゴンの身体から、赤い靄が漂う!

 矢が当たった場所の血が爆発させられている!


「荒れ狂う・・・、あ、必要無いですね。」


 完全に動かなくなって、小部屋まで押し流されて行くドラゴンを見て、ミレアが残念そうに洩らした。



「よし、ドラゴンは片付いたな。リム、他のはどうだ?」

「ええ、他の部屋の奴はまだ気づいていないようよ。今のうちにあの化物を仕留めないと!」

「そうだな。カレンは挑発! サラちゃんは、俺と交互に【ハイスタン】だ! 後は臨機応変に!」

「「「「「はい!」」」」ですにゃ!」


 俺達は、カレンを先頭に、小部屋に飛び込む!

 巨象は、すぐに俺達を認識し、突進してきた!


「挑発! こっちっす!」


 チッ! 

 奴はカレンの挑発には目もくれず、横から走り込む俺に照準を合わせたようだ。

 だが、問題は無い!


「ハイスタン!」


 まずは俺が唱える!

 巨象は、完全に硬直する!


「隙ありですわ! 三点昇天突き!」


 クレアが巨象の足元に潜り込み、喉元に槍を連続で突き立てる!


「荒れ狂うお姉様!」


 ミレアも追撃する!

 巨大な竜巻が巨象を呑み込む!

 だが、まだ、奴の眼には力が残っているようだ。

 ここで硬直が切れ、あの棘だらけの足で、クレアを蹴飛ばそうとする!


「ハイスタン! ですにゃ。」


 またしても、巨象の動きが止まる!


「喰らいなさい! 落雷!」


 リムが叫ぶと、巨象の真上から、凄い太さの雷線が走る!

 そして、巨象の頭に直撃する!


「構ってくれないから、こっちから行くっす! 四星陣!」


 カレンがジャンプし、巨象の4つの眼、全てに剣を突き入れて行く!

 隙が多そうな技だが、今の状態なら大丈夫だ。

 これで決まらなければ、俺がもう一度唱えるだけだしな。


 流石に、4人の大技が連続で決まったのだから堪らない。

 俺が準備していた次の詠唱の前に、巨象は崩れ落ちた。



「ふむ、こいつは名前が無いな。今度は誰がつける?」


 俺は回収した魔核を鑑定しながら、皆に訊く。


「では、私が。アラタさんの・・・」

「却下だ! ミレア!」


 俺はミレアが言い終わる前に遮る!

 これは、変な意味で使われないとしても却下だ!


「この魔物、アラタさんの世界の『ぞう』という生物に似ているのですわね?」

「そうだな、クレア。外国では、エレファントとか、マンモスとか言う。俺の国では古代、『きさ』とも呼んだそうだ。」


命名:あぶないぞう


 もういい、好きにしてくれ。

 なんか、時間が経つと共に、皆の命名センスが無くなっていく気がする。

 一体、誰の影響なのだろうか?


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