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22歳♂ 何故か女の体に転生しました。  作者: BrokenWing
第二章
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マリンの意見

      マリンの意見



 屋敷に戻り、二人を応接室に通し、全員を集め、事の顛末を説明する。


「後、言い忘れていたが、現在、俺の仲間は全員俺の許婚者だ。なので、居心地は保証できない。まあ、全員かなりの美人だから、目の保養にはなるかもしれんが。」

「僕のパーティー内でも、出来ている奴は居たんで、そんなのは気にしません。僕だって、こう見えても付き合っている娘は居ます。自慢の彼女です。」

「私もそうです。ポロックの言った、出来ている奴とは、私のことですし。もっとも、彼女は冒険者を引退しましたが。」


 ふむ、こういうのは当たり前なのか。

 しかし、想い人を置いて、ダンジョンに潜る。

 冒険者って、遠洋漁業とまではいかないが、船乗りみたいなものか?



「それでは、お前達の意見を聞きたい。遠慮は無しだぞ。命に関わるからな。」

「クレア姉様、お二人はどういった印象だった?」


 まずはリムが食いついたようだ。


「そうですわね。ポランドさんは、落ち着いた、知的な感じでしたわ。それで、カーン(ポロック)さんは、情熱的なイメージですわね。」


 うん、これは俺も同意見だ。


「まあ、あたいの経験じゃ、同じパーティーで一緒に飯食っているような奴に、甲乙はつけられないっす。そして、どちらを入れても、最初はお互い大変っす。でも、自然に慣れるもんっす。」


 確かにカレンの言う通りなのだろう。

 最初はぎくしゃくしても、大抵は時間が解決してくれる。

 この二人を見ている限り、致命的な問題は無さそうだ。


「他には無いか?」


「スコットさんのようなことは、もう御免です。お二人共、アラタさんの指示に絶対に従えますか? 前回の戦闘では、アラタさんと階層主、一対一でした。ですが、指示を聞かずに、私達が階層主に手を出していたら、多分、無傷では済まなかったはずです。アラタさんを信頼していたから、従えたのです。」


 ミレアの言った事は、俺も感じていた。

 あそこで、あいつに全員でかかっていったら、多分、あいつは弱そうな奴から仕留めにかかっただろう。

 そうなっていれば、俺も守り切れなかった可能性が高い。

 俺を信じて、お引きに行ってくれたことに、感謝している。


「80階まで行かれた方に、私が口を出す事など、ありえません。」

「愚問ですね。リーダーの指示に従わないようなパーティー、生き残れませんよ。」


 う~ん、これじゃ決められないな。

 どちらも申し分無い反応だ。


「じゃあ、アラタ、あたし達に試させて。魔核も素材もまだまだ欲しいわ。なので、40階層、できれば50階層の主も狩りに行きたいわ。アラタ抜きならいいハンデよ。」


 なるほど、ここは彼女達の判断に任せるのがいいのかもしれない。

 俺は男同士なので、女の気持ちにはなれないしな。

 前回、俺抜きの時はミツルが居たが、今の仲間全員、当時のミツルより上だ。

 それに、俺が居ると、彼らの実力が発揮できないだろう。


「うん、皆もそれでいいか?」


 女性陣全員が頷く。


「じゃあ、ポランドさんも、カーンさんも、それでいい? 言っておくが、どのような結果になっても、恨まないで欲しい。」

「私に異存はありません。試験で40階層に行けるなんて。願ってもないです。」

「僕も問題ありません。むしろ、金を払いたいくらいですよ。当然、どんな結果になっても構いません。」

「では、リムがリーダーだ。ただ、俺の仲間は全員奴隷なので、パーティーの編成作業は二人に頼む。」

「「分かりました。」」



 その後、リムに二人を冒険者ギルドまで送らせる、というか飛ばさせる。

 彼等には、今日明日は工房に籠りたかったので、明後日の朝、ここに来て貰うことにした。


 そして、その日の午後と、次の日を丸々、新装備の開発に費やす。

 その甲斐あって、遂にできた!


超合金のダガー:攻撃力+40 特殊効果 ?? ??

超合金の槍:攻撃力+70 特殊効果 ?? ??

超合金の小剣:攻撃力+60 特殊効果 ?? ??

超合金の杖:攻撃力+35 特殊効果 ?? ??

超合金の鎧:防御+80 特殊効果 ?? ??

超合金の盾:防御+70 特殊効果 ?? ??


 以前の成功の結果を踏まえて、鉄を混ぜたのが良かった。

 素材である玄武の甲羅、単品で作るよりも、若干基本性能は落ちたが、それでもこの数値。

 そして、特殊効果の空きが増えた結果、総合値では大幅に上回るだろう。

 俺の小手は後回しにした結果、ここで時間切れとなったが、今の性能で満足しているので必要無いし、魔核も無い。


金猪のナイフ:攻撃+5 命中+50 特殊効果  ?? ??

金猪の腕輪:命中+50 特殊効果  ?? ??


 ついでに、こんなのも出来た。

 ストレイトピッグの牙を素材にしたところ、最初から命中補正がついており、更に空きが2つという優れものだ。

 これにも鉄を混ぜて欲張ろうとしたが、相性が悪いらしく、失敗に終わる。

 だが、この性能だけでも、充分すぎる。


 ちなみに、命名したのは俺だ。

 あいつらにつけさせると、とんでもない名前を平気でつける。

 個人仕様なら構わないが、せめて、魔核付与前のベースくらいは、まともな名前にしたい。


 後、今回の件の引き金となった以来の品、レッドウィッチの魔核と素材も加工済みだ。

 ただ、他につける効果を悩んでおり、現在はこの状態だ。


???:防御+70 特殊効果【反射】?? 

???:特殊効果【状態異常無効】 ?? ??


 盾の方はなにがしかの防御系統でいいだろう。


 問題は、レッドウィッチの首輪の方だ。

 調子に乗って、スピードスターの魔核を試したら、とんでもない効果がついてしまった。

 確かに、俺の【弱体化の拳】の効果、【防御半減】と【素早さ半減】も効いていなかったようなので、ある程度予測はしていたのだが。

 これ、他の効果が必要ないくらいの価値だろう?



 その晩、食事中に皆に話す。


「とにかく、無茶はするなよ。彼らのステータスの確認はまだしていないが、恐らく、昔のカレンくらいだと思う。なので、戦闘の指揮はリムだが、戦う魔物の選別と、彼らの道中のサポートとかは、カレンに任せたい。それでどうだろう?」


「異存ありませんわ。カレン、リムちゃん、宜しくですわ。」

「はい、リムちゃんの指揮なら、何度か経験していますので、問題無いです。私も冒険者の事は詳しくないですので、そういった事はカレンさんが適任ですね。」

「あたしが言い出したのだから、そのつもりだったわ。お姉様方、宜しくお願いします。」

「了解っす! 冒険者の事なら任せろっす!」



 その後、恒例の一家団欒の風呂の後の、マリンのティータイム。

 普段は無口なマリンが話しかけてきた。


「あの、冒険者の方達、お仲間にするつもりざますか?」

「まだ決めかねている。しかし、俺の依頼のせいで、彼らのパーティーが解散させられた。なので、何かしてやりたいというのが本音だよ。」

「相変わらず、お優しすぎるざます。そうなった結果は、あの方達の責任ざます。私は、ダンジョンは専門外ざます。でも、だからこそ見える事もあるざます。」

「ん? 言ってくれ。」


「では、僭越ながら。アラタ様のパーティーは普通ではないざます。今は、アラタ様を中心とした完全なハーレムざます。なので、そこに女性ならともかく、男性を入れるのは良く無いと思うざます。」

「う~ん、マリンからはそう見えるのか。だが、これからは魔物の攻撃も激しくなるはずだ。一人でも戦力を増やしたいのは分かるだろう。」


「それなら、サラちゃんがいいざます。クレアちゃんもミレアちゃんも、元々は侍女ざます。確かに多少の経験はあったようざますが、アラタ様と一緒に成長したと聞いているざます。私だって、10年若ければ・・・あ、これは何でもないざます。」


「おいおい、マリン、サラちゃんをダンジョンに連れて行くのは反対だ。経験も無いし、何よりまだ子供だ。」

「この世界では、子供をダンジョンで鍛える貴族は多いざます。勿論、安全には充分に配慮するざますが。サラちゃんも、アラタ様の許婚者となった以上、覚悟しているざます。」


 こういう時のマリンは絶対に退かない。

 これは相手が皇帝でも一緒だ。


 だが、流石にサラは無い。

 確かに、彼女は亜人なので、鍛えれば、間違いなくいい戦士になるだろう。

 亜人の特徴は、魔法系のステータスの伸びが悪い反面、攻撃系の成長がいい。

 なので、攻撃系だけに限って言えば、カレンは俺よりも伸びがいいくらいだ。

 そして、サラは洞察力に優れ、器量がいい。


 それでも、彼女だけは無い。

 自分の子を戦争に参加させないどこぞの政治家、と言って貰っても構わない。

 本当なら、今いる全員、ダンジョンになど潜らせたくは無いのだ。


「マリンの話は分かった。ありがとう。参考にさせて貰うよ。だが、サラちゃんだけは連れて行かない。これは絶対だ。」

「そうざますか。それでも、覚えておいて欲しいざます。これは親の欲目かもざますが、もし、お仲間を増やすおつもりなら、アラタ様のパーティーには、サラちゃんが最適ざます。」


 マリンとの話はそれで終わり、マリンは部屋を出て行った。

 俺は、マリンの言った意味を考えながら茶を啜る。


 単に親の願望とは思えない。

 誰だって、自分の子供を危険なダンジョンには潜らせたくはないはずだ。


 それでもサラを推してくる。

 俺と一緒なら、危険は無いと思っているのだろうか?

 そこまで俺を信頼してくれているなら嬉しいが、俺は一人失っている。

 そのことは彼女も知っている。


 そこへクレアとミレアが入って来た。

 カレンとリムは、工房へ行ったようだ。


「明日のこと、考えておられますの?」

「まあ、そんなところだ。だが、お前達の心配はしていない。以前、俺抜きでもちゃんと帰って来てくれたからな。」

「はい、確かに心配は要りませんね。今回の冒険者さんは、かなりの手練れと聞いています。以前のミツルさんと違って、足を引っ張るようなことはないでしょう。」


 ミツルの場合は、状況が目に浮かぶ。

 奴の場合、『俺について来い!』って感じで、猪突猛進したのだろう。

 勇者のチート能力を活かす意味では、仲間の信頼が得られている場合に限り、それもありかもしれないな。

 実際、前回の戦闘では、俺も似たようなものだ。


「うん、だから、心配なのは、彼等のほうだ。明日、彼等には、これを渡してやってくれ。」


 俺はアイテムボックスから、ダークウルフの帽子を2つと、俊足の足袋を2足取り出し、クレアに渡す。

 【火耐性中】と【素早さ20%アップ】がついているので、かなり有効なはずだ。


「武器と鎧は、カレンに任せればいいだろう。今回は、それ程深くないし、新製品の超合金グッズはまだお預けだ。帰ってくるまでに、俺が魔核を付与しておくよ。」

「かしこまりましたわ。それで、その・・・。」

「ん? 何だ?」

「あの・・・、最近、構って貰っていません!」


 あ~、そう言えば、ダンジョン内では結界石が効かなかったこともあり、その気になれず、昨日も、装備の制作で疲れ切ってしまっていた。


 俺は二人の手を引いて、寝室に向かった。


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