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22歳♂ 何故か女の体に転生しました。  作者: BrokenWing
第二章
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志願者

        志願者



「冒険者ギルドから、依頼完了の報告が入っているざます。」


 ふむ、そう言えば忘れていたな。

 以前、20階層と30階層の主の魔核と素材を依頼していたのだった。


 早速、ギルドへ飛ぶ。

 すぐに帰るつもりだったのだが、一応、用心の為にクレアも連れて行く。

 もし何かあっても大丈夫なようにと、勇者会談の時と同じ人選だ。


 冒険者ギルドに入ると、何やらいつもよりも人が多い。


「あの、勇者、近衛様でしょうか?」


 いつもの受付嬢の居るカウンターへと歩いて行くと、見知らぬ男に声をかけられた。

 茶髪でがっしりとした体格。

 聖銀製の重装甲を纏っているが、兵隊には見えない。

 おそらく、冒険者。

 それも前衛で、且つ熟練者の可能性が高い。

 駆け出し冒険者には、聖銀は高くて買えないからだ。


「そうだけど。貴方は?」

「私はセバン・ボランドと申します。冒険者を生業にしています。失礼ながら、勇者様のパーティーには、まだ空きがあるとお聞きしました。私は、剣術とガードのスキルには自信があります。誠にぶしつけではありますが、是非、私を加えては頂けないでしょうか? 私のパーティーは先日、解散してしまったので、路頭に迷っているのです。」


 う~ん、これはこっちも迷う。

 確かに戦力は欲しい。

 空きがある以上、今のままで完全とはとても言えない。

 前衛、しかも盾職がもう一枚加わるなら、カレンの負担も減らせる。

 これから深層階を進むのなら、是非とも強化しておきたい。


 しかし、現状、俺のパーティーは、仲間というよりは家族だ。

 そこに他人を入れるのには抵抗がある。


 俺がクレアに振り返ると、彼女も俺と同じ考えのようで、迷っているようだ。。


「私からは何も言えませんわ。」


 すると、もう一人の冒険者風の男が、また声をかけてきた。

 背中に弓を背負っている。

 こいつも茶髪で、顔立ちは、割と若そうに見える。

 高身長で、筋肉質というよりは、バランスの取れた体格と言ったところか。


「す、すみません。セバンの話を聞いてしまいました。そういうことなら、僕も立候補させて下さい! 僕はポロック・カーンと言います。元々、セバンと同じパーティーで、弓には自信があります! 実は、先日のクエストでリーダーを失ってしまい、それでパーティーが解散してしまいました。セバン、悪いが、僕も冒険者を続けたいんだ。できれば、ハイレベルな人達とね。」


「え? 先日のクエストって、もしや、30階層の主の魔核と素材って奴か?」


 俺は、思わず聞いてしまう。

 もし俺の発注した依頼で仲間を失ったのなら、と考えたからだ。

 ちなみに、依頼を受けるのは冒険者の自己責任だ。

 例え全滅しようと、発注者に非は全く無い。


 セバンが答えた。


「はい。そのクエストです。私とポロックと後4人で、依頼そのものは達成したのですが。」


 う~ん、これは本当に困った。

 確かに俺に責任は無いのだが、何かやるせない。

 できれば二人共、と行きたいところだが、空きは一人だ。


 以前、スコットの弓にはかなりお世話になった。

 弓職も捨てがたい。


「正直に言おう。そのクエストを発注したのは俺だ。貴方達と、亡くなられたリーダーにはお悔やみ申し上げるが、俺は何ら責任を感じていない。そんな奴のパーティーでもいいのか?」


 そう言って、俺がクレアを見ると、彼女は俯いてしまった。

 あ~、やっちまったようだ。

 ここは余計な事を言わずに、断っておけば良かったのだ。

 戦力が欲しいなら、それこそ募集をかければいい。

 俺の知名度なら引く手数多だろう。


 ただ、あのクエストを受けることのできるパーティーなら、相当な実力があったのは確かだろう。

 俺の知っている手練れでは、カレンとヤットン達だが、やはり30階くらいだ。


「僕達は、危険を承知で引き受けたのですから、近衛様にはなんら責任はありませんし、恨んでもいません。」

「私もポロックの言う通りだと思います。そんな事は全く気にしません。それで、私と、ポロック、どうでしょうか?」


 うん、どつぼだ。

 しかし、この二人、相当な信頼関係のようだ。

 普通なら、後から来たポロックに、セバンが文句の一つでも言いそうなところなのに。

 ここは少し脅してみるか。


「貴方達は知らないと思うが、俺のパーティーは全員俺の奴隷だ。まあ、色々あって、それが最善と考えている。なので、俺のパーティーに加わるなら、俺の奴隷になって貰わないと困るのだが。」


 クレアやミレアは、俺とパーティーを組むのが使命だったので、信用を得る為に、自ら奴隷になった。

 カレンは元々奴隷だし、リムは、奴隷の能力上昇値がいいことを知ったからだ。

 その事を知らない奴は、普通、奴隷なんか断るだろう。


「僕は、パーティーの解散時に、開放して下さるという条件なら、全く構いません。」

「私もそうです。近衛様のお噂は伺っております。奴隷を盾にしない話は、もはや有名です。私とポロック、どちらがふさわしいか、ステータスを確認してください。」


 益々もって、困った。

 ステータスとかを確認させて貰うと、いよいよ断れなくなる。


「う~ん、参ったな。確かに戦力は欲しいが、今俺達が挑んでいるのは、80階層より下だ。普通の冒険者だと、足手纏いになる可能性が高い。俺も貴方達を守れる自信は無い。」

「「80階層・・・。」」


 二人共、絶句した。

 うん、これは効いたようだな。


「僕はそれでもいいです! 足手纏いになるようなら、遠慮無く切って下さい! セバン、僕はこういうのがやりたかったんだよ! 報酬だって要りません! そして、例え死んでも後悔はしない!」

「ふむ、ポランド(セバン)さんは?」

「私も望むところです! ポロックに負けたく無い!」


 あら、油を注いでしまったか?


「分かった。だが、俺の一存では無理だ。仲間全員と相談したい。それでいいかな?」


 二人共、黙って頷く。

 クレアもほっとしたようで、顔を上げている。

 屋敷に帰れば、交渉事の鬼、リムも居る。

 どう転んでも、悪い事にはならないだろう。


 俺達は、ギルドのカウンターで、依頼した品を受け取り、屋敷に飛ぶ。


 テレポートの石を使わずに転移したことに、二人共かなり驚いていたようだが、それくらいでびびって貰っては困るな。

 現在の俺達は、そこらの冒険者とは異次元のレベルに居るはずだ。


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