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22歳♂ 何故か女の体に転生しました。  作者: BrokenWing
第二章
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金色の魔物

       金色の魔物



「やっぱり、ミニ工房じゃこれが限界っすね。」

「う~ん、あと少しって感じなんだがな~。」

「アラタ、クレア姉様、ここは一旦諦めて、屋敷の工房で再挑戦よ!」


 俺達は72階層の魔物を狩り尽くした後、新しい素材の加工を試している。

 玄武の甲羅は、カレンの睨んだ通り、素晴らしい素材だった。


玄武のダガー:攻撃力+50 ??


 一般的な鉄製のダガーだと、攻撃力が+5、聖銀製でも+10なので、とんでもない性能だ。

 しかも、特殊効果の空きまである。

 この素材でちゃんとした武器や防具を作りたかったのだが、ミニ工房では火力不足の為、これ以上の装備が作れないのだ。


 現状、俺達のステータスは、俺でほぼ900以上。

 クレアとミレアが、平均で約360、リムが500弱。

 カレンは少し特殊で、体力や攻撃力だけなら、俺以上の伸びなので、400を超えている。


 なので、俺に限って言えば、装備の基本性能はあまり重要ではなく、特殊効果のみ重視だ。

 だが、仲間はそこまでではないので、少しでも上げるに越した事はない。


「しかし、結界石が使えないこの層だと、一度引き返したら最後、戻るのが、結構面倒だぞ。」

「そうっすね。できれば80階まで行きたいところっす。」

「まあ、今日はもう寝て、明日どうするか皆で決めよう。」

「「はい。」」


 俺達は念の為に、魅了化した玄武を隣の小部屋に配置しておく。

 これで何かあっても、時間稼ぎにはなるだろう。

 ピンクドラゴンは、耐性でもあるのか、魅了化できなかった。


 その晩は、流石に少し緊張していたこともあり、ミレアが求めてきたのだが、何もせずに休む。



 翌朝、全員で相談した結果、このまま進むことになった。

 73階層へ降りて行く。


 例によって、俺は【シースルー】と【ファーサイト】で、この階層全てを見渡す。


「また新顔が出て来たな。今度は人型、それも子供だ。羽がついていて、金色に光って、空中を漂っている。もう一種類は猪見たいな奴だ。牙が6本、こいつも金色に輝いている。」


 人型の方は、まさに童話に出てくる天使そっくりだった。

 猪の方は、いかにも攻撃力重視といった様相だ。


「その、子供の人型は特殊スキルを持っていそうですね。」

「同感だ、ミレア。次の小部屋には、そいつと玄武とピンクドラゴン。まずは、魅了化した玄武で偵察だな。」

「了解よ! じゃあ、行きなさい!」


 リムが魅了化した玄武をけしかける。

 玄武は硬く、耐久力があるので、こういう役目には持ってこいだ。

 俺達は、部屋の手前で固唾を飲んで見守った。


 早速、囮にピンクドラゴンが仕掛けてきた。

 口から炎をまき散らす!

 もう一体の玄武の方は、同族と見たのか、無反応だ。


 玄武の弱点は火なので、少し心配だな。

 天使の攻撃方法を探るまでは持ってくれよ。


「ダブルアタック!」


 ん? 天使が何か唱えた。

 すると、ピンクドラゴンと玄武の身体が真っ赤に明滅しだす!


「あれは多分、支援系統の魔法だろうな。」

「ええ、光り方があたしの攻撃力強化魔法、【ブースト】に似ているけど、色が濃いわね。」

「ふむ、取り敢えずは様子見だ。他に何か唱えてくるかもしれん。」


 囮玄武は、懸念していた、弱点である炎の攻撃には耐えたようだ。

 今度はピンクドラゴンが、鋭い爪で攻撃してきた!


「げ! あの硬い玄武を一撃って! いくら炎で削られているからって!」


 ピンクドラゴンの攻撃で、玄武はあっけなく死体に還る。


「あれは、とんでもない効果のようね。多分だけど、呪文からして攻撃力を倍増させたのじゃないかしら?」

「うん、リム。俺もそう思う。とにかくあの状態の攻撃は喰らいたくないな。」


「他の死体でも試してみますか?」

「いや、ミレア、手持ちの死体も少ない。今あるのは、パワーラビットと、ドリルモグ、それとポーラーベアが一体ずつだ。出したところで、一撃でやられるのは目に見えている。」

「そうですわね。でも、ピンクドラゴンがこっちに向かってきますわ!」

「仕方無い。やるぞ!」

「「「「はい!」」」」


 真っ赤に明滅した状態のピンクドラゴンが通路に飛んで来る!

 しかし、狭い通路だと、奴の機動力は半減だ。

 高度も低く、かろうじて空を飛んでいるという様子。

 あれならクレアの槍も届きそうだ。


「挑発!」

「アイスガード!」

「プロテクト!」


 カレンがドラゴンを引き付けたところに、ミレアとリムの防御効果の魔法が飛ぶ!

 何も指示しなくても、今の俺達なら、これくらいは普通にやれる。


 ドラゴンがカレンに噛みつこうと、大口を開けて迫る!

 これでは、いくら盾を翳したところで、丸齧りされるので、カレンも避ける!


 目標を見失ったドラゴンは、地面に激突した!


「よし、畳み込め!」

「はい! 五点連穿!」

「ウィンドカッター!」


 クレアがドラゴンの翼の付け根に、正確に槍を突き刺して行く!

 そこへ更にミレアの風魔法が飛ぶ!

 この連撃で、奴の翼は完全に折れ、もはや千切れそうだ。

 これで奴はもう飛べないはずだ!


「真似してみるわ! アラタ、行くわよ! ダブルアタック!」

「おう!」


 俺の身体が真っ赤に明滅しだした!


「なんじゃこりゃ!」


 もはやお決まりのセリフだな。

 ステータスを確認すると、俺の攻撃力は、総合で軽く2000を超えている!


 翼が使えなくなったドラゴンは、それでもカレン目掛けて爪を立てる!

 だが、防御を高めたカレンにあっさりと防がれている。


「喰らえ!」


 俺は渾身の蹴りをドラゴンの頭に放つ!


「チート勇者に、チート魔法、絵に描いたような最凶コンビネーションですね。」


 全くミレアの言う通りである。

 見ると、ピンクドラゴンの頭が無くなっていた。

 壁には、べったりと血がへばり付いている。

 頭の原型は全く無く、完全に潰れたようだ。


「この効果が持続している間に、天使も仕留めるぞ!」

「「「「はい!」」」」


 俺達は小部屋に突入する!


 天使も玄武も気付いたようだ。

 玄武が突進してくる!


「ダブルプロテクト!」


 また天使が何か唱えやがった!

 今度は玄武の身体が赤と黄色、交互に明滅しだす!


「邪魔だ! どけ!」


 俺は玄武の蛇の首を抱え、力任せに投げ飛ばす!


「ふむ、防御アップの魔法のようだな。さっきの感じだと一撃かと思ったが。」

「じゃあ、こいつで大人しくするっす!」


 カレンが、甲羅が壁に突き刺さってもがいている玄武に、麻痺効果のダガーを突き立てる!


「クレア、カレン! 玄武は任せた!」

「「はい!」」


 俺が天使に飛び掛かろうとすると、何と、奴は隣の小部屋に逃げ始めた!

 追おうとしたが、結構素早く、あっという間に逃げ込まれる。

隣の小部屋には、新顔の猪が2体と、玄武が1体居る。

 新顔相手に準備無しでは厳しい。


「チッ、逃げられたようだ。そっちの玄武はどうだ?」

「まだっす。とにかく硬くて攻撃があまり効かないっす。」

「焦るな。効果が切れるまで待とう。切れたら、俺が【弱体化の拳】で防御を半減させるから、そこで止めだ。」

「はいっす。あ、光らなくなったっす。」


 俺の効果も既に切れていたが、俺が殴ると、一撃で死んだ。

 実はさっきの攻撃で、相当のダメージを与えていたようだ。


「じゃあ、次の囮はこいつだ。さっき使った奴は、甲羅が割れているからもう使えないだろう。取り敢えず回復してから使おう。ヒール!」

「【魅惑のリム】の出番ね! あたしに従いなさい!」


 リムが魅了効果のナイフを突き刺す。

 効いたようで、玄武は頭を持ち上げた。


 俺達はピンクドラゴンと玄武の魔核と素材を回収し、天使の逃げた小部屋に向かう。


「行ってきなさい!」


 再びリムが玄武を偵察に向かわせる。


 囮玄武が部屋に入ると、金猪がすぐに察知し、突進する!

 そして、天使がまたもや呪文を唱えた!


「ダブルアタック!」


 猪の金色の身体が真っ赤に明滅し始める!

 赤と金のコントラストが微妙に綺麗だな。

 等と考えている暇も無く、金猪2体が囮玄武に牙を突き立てる!


 またもやあっさりと玄武は死体に戻ってしまったようだ。

 あのくそ硬い甲羅が穴だらけだ。


「あの攻撃は喰らいたくないな。」

「そうっすね。リムちゃん、あの強化版防御魔法、使えそうっすか?」

「試してみるわ。ダブルプロテクト!」


 流石はリムだ。

 カレンの身体が黄色に明滅し始めた。


 金猪の効果が切れてからと思ったが、切れてもどうせまた使われるだろう。

 なら、カレンの効果が生きているうちにやってしまうべきだ。


「じゃあ、行くぞ! いつも通りだ!」

「「「「はい!」」」」


 俺は【三重苦のナイフ】を握りしめ、真っ先に飛び込む!


「挑発!」

「ファイアショット!」

「サンダーラッシュ!」


 むむ、カレンの挑発が効かないようだ。

 金猪2体は、俺に向かって突進してきた!


 目の前には、穴だらけになった囮玄武が転がっている。

 あれを喰らったら、流石の俺でもかなりヤバそうだ。


「躱すぞ! 後衛、気をつけろ!」

「「はい!」」


 俺は擦れ違い様、一体に三重苦のナイフを斬りつける!


 斬られた方はそのまま突進し、壁に突き刺さってもがいている。

 無傷の方もやはり壁に突き刺さるが、こっちはすぐに立て直し、今度はミレア目掛けて突進しだした!

 多分、暗闇効果が効いていると思われるのだが、判断に苦しむな。


「ミレア、避けろ! 当たらなければどうという事も無い!」


 うん、このセリフ、一度使ってみたかった。


 ミレアが躱すと、奴は再び壁に激突し、方向転換する。

 今度はリム目当てのようだ。


「ダブルプロテクト!」


 再び天使が魔法を唱えた。

 これは厄介だな!

 攻撃だけでなく、防御まで固められたら倒すのに一苦労だ!


 逃げ回るリムを見ながらも、俺は指示する。


「俺は諸悪の大元を断つ! お前達は金猪を頼む! できれば色々効果を試せ!」

「「「「はい!」」」」


 奴は再び通路に向かうが、今度は逃がさない!


「縮地!」


 俺は一瞬で出口を抑える!

 奴は逃げられないと知ったか、今度は別の魔法を唱えてきた!


「サンダーストーム!」


 俺の周りに無数の雷線が走る!

 結構痺れたが、ダメージは50くらい。

 我慢できない程では無い。


「ふむ、ちっとは効いたが、俺の魔法防御の勝ちのようだな。」


 俺は迷わずナイフを突き立てる!


「うん、寝つきのいい子は好きだぞ。」


 そういや、親戚の姪っ子をあやすのに、苦労したことがあったな。

 天使は宙に浮かんだまま、寝息を立てている。


「こっちは大丈夫だ! そっちはどうだ?」

「暗闇が効いてるっぽいんすけど、こいつらの攻撃は直線的なんで分かり辛いっす。」


 見ると、部屋中を金猪がめったやたらに駆けまわっている。

 身体は既に光っていない。

 そして一体が、こっちにも来た。

 俺を狙ってなのか、たまたまなのか?

 微妙に軌道がずれているので、恐らくたまたまだろう。


「起こされると面倒だな。」


 俺は鼻面目掛けて正拳を叩き込む!

 奴はもんどりうって転げまわる!

 手があったら、きっと鼻を抑えているに違いない。


「止めだ!」


 俺が蹴飛ばすと、骨の折れた感触が伝わり、動かなくなった。

 【防御半減】の効果のせいだろう。

 結構あっけない。

 もう一体は、壁に突き刺さっているところを凹り倒されている。


 その後、天使は、俺が気力を【サイコドレイン】で吸収し尽くし、無力化したところで止めを刺した。


 魔核を回収すると、こいつらにも既に名前があった。


カバーエンジェルの魔核×1

ストレイトピッグの魔核×2

ストレイトピッグの牙×12


 その日は75階層で休憩となった。

 結界石が通用しないのは、どうやらピンクドラゴンだけのようなので、75階層はそいつが居る部屋だけを狩り尽くした。


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