深層階の魔物
そろそろ終盤ですが、書き溜め分が尽きてしまいました。(汗
深層階の魔物
「カレン! 上からブレス! 避けろ!」
「はい!」
「硬いのは嫌いです。ファイアショット!」
「アラタ! 下は任せて! サンダーラッシュ!」
「よし! 飛び乗る!」
現在は72階層、パターン通り、新顔が2種出て、目下奮戦中である。
今、女性陣が攻撃しているのは、亀と蛇が合体したような形の魔物。
体長は尻尾を含めると3mくらいはあるだろうか? 結構でかい。
名前は既についていて『ゲンブ』、漢字だと、『玄武』と書くのだろう。
とにかく硬い!
誤って甲羅を殴ってしまうと、こっちの拳がかなり痛い。
というか、ダメージを喰らう。
カレンの盾スキルと同様、喰らった攻撃の何割かを返す技能のようだ。
それで、今、俺が飛び乗ろうしているのは、『ピンクドラゴン』。
こいつにも既に名前がついていた。
名前通り、俺の世界のヨーロッパの伝説に出るドラゴンとそっくりだ。
特徴は、うざいの一言に尽きる。
飛ぶわ、火を吐くわ、火魔法が効かないわ、耐久力もあるわ、爪は鋭いわ、とにかく厄介だ!
おまけに、こいつのブレスは【火耐性中】では無力化できないときている。
余談だが、ピンク色の見た目と、凶悪さのアンバランス感が凄まじい。
ちなみに、ピンクドラゴンの弱点は水魔法のようなのだが、飛んでいるので、【大津波】とかは効かない、というか届かない。
そして、玄武の弱点は火魔法。
更に、ドラゴンとは全く逆で、水魔法を唱えると、どうやら吸収してしまうようだ。
なので、範囲魔法とかを使って纏めて相手するには、最悪のコンビである。
「そっちに火を吐かれると困るんだよ!」
俺はドラゴンの背に飛び乗り、強引に首の向きを変える!
こいつには、あらゆる耐性があるようで、飛行する魔物に特効だった、【ハイスタン】が効かないし、【三重苦のナイフ】も無力だ。
従って、地面に落とす為には、飛び乗るのが手っ取り早い。
首を抑え込まれたドラゴンは、俺を振り落とそうと、狭い小部屋の中を闇雲に飛び回る!
「落とすぞ! 下! 気をつけろ!」
「「「「はい!」」」」
俺はドラゴンの片翼を極め、へし折る!
「ギャ、ギャ、ギャ!」
悲鳴をあげようが、知ったこっちゃない。
ドラゴンはバランスを完全に崩し、地面に激突する!
俺は寸前で飛び降りた。
「待ってましたわ! 喰らいなさい! 五点連穿!」
「剣の舞!」
「直接攻撃は趣味じゃないけど。正拳三連!」
地に墜ちたドラゴンは抵抗も空しく、下で待ち構えていた仲間に、寄って集って凹られる!
まさに袋叩きである。
「麻痺が切れる前に、こっちは頂きます。ファイアショット!」
玄武には、唯一麻痺が効くので、そっちはミレアが止めを刺した。
「ふ~、流石に辛くなってきたな。かなり早いが、今日は休憩しよう。」
「そうね、アラタ。魔核や素材も試してみたいわ。」
「この玄武の甲羅は使えそうっす! あたいの野生の勘が告げているっす!」
「丁度、隣の小部屋がいい感じですわ。」
行き止まりの小部屋で、俺達はいつも通りに野営の準備に取り掛かる。
リムとカレンはミニ工房を広げ、早速装備の修理を始めた。
「ん? ちょっと待て。結界石はちゃんとセットしたよな?」
「はい。最初に部屋の中心にセットしました。ベッドの下です。」
「だよな、ミレア。だが、これは用心したほうが良さそうだ。一体こっちに向かって来る。」
「私も確認しましたわ。大きさからすると、ピンクドラゴンのようですわね。」
俺も【シースルー】で確認する。
ふむ、クレアの言う通り、ピンクドラゴンだ。
結界石をセットした部屋には、半径10mくらいの安全地帯が出来上がる。
この中に居れば、魔物に気付かれることもなく、安心して休める。
なので、今までは、ナニをしていようと、襲われたことは無い。
ミレアがベッドの下を再確認する。
「大丈夫です。ちゃんとセットしてあります。」
「ふむ、しかし、こっちに来そうだ。全員、準備してくれ。」
せっかくの野営の準備だったのだが、広げた所に火を吐かれたら敵わない。
ベッドを黒焦げにされるのは御免だ。
慌てて全員でアイテムボックスに収納し直す。
「これはヤバいな。結界内に侵入してくるか確かめよう。入ってきたら仕留める!」
「「「「はい!」」」」
遂に入って来やがった!
流石は深層の魔物ってとこだろう。
結界石が効かないようだ。
「さっきと一緒だ! 俺が叩き落すから、後は頼む!」
「じゃあ、こっち来るっす! 挑発!」
状態異常がほぼ無効なドラゴンだが、【挑発】だけは唯一効くようで、カレン目指して突っ込んでくる!
後はさっきと同じだ。
俺が飛び乗って、翼をへし折り、落ちたところを皆で凹り倒す!
「う~ん、どうしようか? 結界石が効かないなら安心して休めんな。」
その後、結界石を二個設置してみたが、やはり魔物はやって来た。
ただ、玄武には効いているようで、来るのはピンクドラゴンだけだ。
「仕方ないわね。アラタ、寝てるところを襲われたら厄介よ。ドラゴンだけでも狩り尽くすべきよ。」
「うん、リム。それしか手が無いようだ。一度殺せば、再び出現するのに数日かかるようだし。面倒だが、この階層全てのドラゴンを狩るか。」
結局、その後はこの階層の魔物を全滅させた。
玄武には麻痺が効くので、ついでに狩る。
どうせならと、魔核と素材が欲しかったこともある。
「赤点潰し、完了ですわ。」
「お疲れ様です。これで夜の邪魔はされませんね。」
その日は、ミレアのアレが終わっていたようだ。
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