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22歳♂ 何故か女の体に転生しました。  作者: BrokenWing
第二章
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釣り

      釣り



 翌日、サラの提案の元、屋敷の全員で、帝都近くの、直径2kmくらいの湖に来ている。

 クレアの言った通り、ほとりには釣り道具屋みたいなものがあったので、そこで全員仕掛けと竿を借りる。


 釣り道具屋の主人の話だと、ここに来る人は、大抵、日本で言う所の、鱒のような魚を狙うらしい。

 普通、淡水魚は泥臭さを処理するのが大変だが、その魚はその心配がなく、非常に美味いと評判のようだ。

 俺が好きな帝都のホテルの魚料理も、この魚を使用していると聞いた。


「で、サラちゃん、餌はこの魔物の肉でいいのか? 魚が普段から食ってる物とは思えないが?」


 俺が手にしているのは、フォートウルフの肉片。

 それを、チロルチョコくらいの大きさにカットしてある。

 

「そうですにゃ。狙いのパイクトラウトは肉食ですにゃ。湖に落ちた獲物は、寄って集って何でも食べますにゃ。」


 ふむ、名前からは鱒のようだが、イメージとしてはピラニアだな。


「早速、釣れたざます。このくらいのサイズが美味しいざます。」


 見ると、30cmくらいの、歯の鋭い、深海魚みたいなのをマリンが抱えている。

 グロテスクだが、そういう奴程美味いと聞くので、ある意味納得。

 だが、話と名前とのギャップは否めない。


 どうやら、簡単のようだ。

 マリンだけでなく、リムもミレアも釣っている。

 うん、晩飯の確保には成功したようだ。


 さて、俺もそろそろと、竿を出そうとして思いついた。

 皆と同じものを釣っても意味が無い。

 晩飯は既にある。

 餌を変えてみよう。

 何か面白いのが釣れるかもしれない。


 横を見ると、カレンも同じことを考えていたようで、餌を変えている。


「カレン、そ、それはなんだ?」

「あ、ドリルモグの一匹掛けっす。大物狙いっす!」


 食料用として確保していたドリルモグを、一匹まるままだ!

 いつの間にか、竿までごついのを用意している。


「ふむ、面白そうだな。俺もやってみよう。」


 俺も釣り道具屋へ引き返し、大物狙いの竿を借りて来る。

 主人の話だと、大物には、釣ったパイクサーモンを餌にするのが主流らしい。

 皆、釣れているので、生きの良さそうなのを一匹失敬する。

 お約束の、カレンやサラの尻尾を水に浸けるというのは無しだ。


「う~ん、なかなか思い通りの場所に誘導できんな。」


 針をつけたパイクサーモンは、岸周辺の浅瀬でぐるぐる回り出し、大物が居そうな深みへは潜ってくれない。


「ならば!」


 俺は【魅了】効果のついたダガーで、餌のパイクサーモンを軽く小突く。


「よし、効いたようだ。そこの深場へ行け!」


 うん、これで完璧なはずだ。


「あ、その方法いいっすね。あたいもやるっす!」


 カレンにダガーを渡すと、カレンもドリルモグを小突く。


「あっちの深場で、獲って来いっす!」


 二人共、待つこと数分。


「来たっす! カレンモグ、行けっす!」


 カレンの竿が大きくしなる!

 ん? カレンモグ?

 あいつ、餌にも自分の名前つけるんかい!

 まあ、それはいい。

 問題はその後だった。


 2mはあろうかとう大魚が浮いて来た!

 良く見ると、腹に大穴が開いている。


「カレン、それは釣りとは言わないぞ! むしろ鷹狩りだ!」

「獲れれば何でもいいっす!」


 カレンモグは、浮かんだ大魚に更に突進する!

 もはや、大魚は穴だらけだ!

 そら、死体とは言え、元は40階層より深い場所の魔物だ。

 でかいだけの魚相手じゃ、勝負?は見えている。


 ドリルモグ、水中でも闘えるのか? とか、

 竿を使う意味あるのか? とか。

 突っ込み所は満載だな。

 でも、カレンが上機嫌なので、それでいいか。


 その日の晩は、皆で釣った魚を美味しく頂く。

 丸ごと素揚げしたのが絶品で、サラは頭からかぶりついている。

 うん、これはあのレストランにも負けない味だ。

 カレンの獲った?大魚は、名前をレッドカープというらしく、こいつは刺身が美味かったのだが、何しろ量が多い。

 余った分はアイテムボックスに保管する。

 これでダンジョンでの食生活に華が添えられるだろう。


 ちなみに、俺は釣れなかった。

 と言うより、食材が確保できたのでやる気が起きず、木陰でクレアの膝枕だった。

 たまには、こういうのんびりしたのもいいだろう。



「さあ、明日からはまたダンジョンだ!」


 今回はかなり短めです。


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