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22歳♂ 何故か女の体に転生しました。  作者: BrokenWing
第二章
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70階層

 70階層



 3日後、現在、俺達は70階層の扉の前に居る。

 途中、今までの法則通り、新顔が2種類出た。


 ここでは、以前魅了化した、ポーラーベアが大いに役立ってくれた。


 サキュバス、こいつは体力を吸い取る魔法、【フィジカルドレイン】を使い、更に、こいつに攻撃を受けると、かかっていた全ての魔法が解除される。

 盾役のポーラーベアも、只の死体に戻ってしまう。

 おまけに、強力な水の範囲魔法まで使って来た。

 三重苦のナイフも効かなかったので、かなり面倒だったが、体力も防御も大したことは無く、俺の本気の蹴りで一撃、クレアの【五点連穿】でも、瞬殺だ。

 魔核を武器に付与すると、【解除】の効果がついた。

 

 なるほど、解除の小太刀の出元はこいつのようだ。


 もう一種類もかなり厄介な奴だった。

 命名:ダイナマイト。


 こいつには、あらゆる特殊効果が効くのだが、中途半端に攻撃すると自爆しやがる。

 また、火魔法でも爆発する。

 複数居ると、連鎖して爆発するので、かなり危険だ。


 この爆発攻撃は【リフレクトシールド】でも防げないので、魔法ではないようだ。

 また、魔核そのものが爆発しているようで、爆発せると魔核が残らない。

 防御を半減させてから、俺の渾身の蹴りで一撃。

 クレアとカレンの攻撃だと、うまく削らないと自爆するので、専ら俺が止めを刺す。


 こいつの魔核は、付与しようとすると爆発しやがった。

 ある程度想定していたので、被害は俺だけだったのが、不幸中の幸いだ。

 結局、こいつの魔核は名前通り、ダイナマイトとして利用することにした。

 魔物の群れに投げ込み、火魔法を唱えると、いい感じに敵の体力を削ってくれる。

 後々の事を考えて、できるだけ爆発させないように倒す。



「ふむ、今回はまとものようだな。」


 俺は【シースルー】で主部屋を確認する。

 中には、主と思われる、巨大なスライムのようなのが、中心に1体。

 かなりでかい。直径5mくらいありそうだ。


 その周りには、ストーンゴーレム、メデゥーサ、サキュバス、ダイナマイトが一体ずつ。


「では、手筈通りでいいですね?」

「ああ、扉を開けた瞬間、ダイナマイトを各自一個ずつ部屋の中心に投げ込み、ミレアが点火する。これでお引きは一掃できるはずだ。」

「それで、次はこのストーンゴーレムの死体の出番ね。」

「そうだ。連れて来るのに苦労したが、やっと役に立つな。」


 ストーンゴーレムは重すぎて、アイテムボックスには、俺でもぎりぎり1体が限度だ。

 なので、二体を魅了化した状態でここまで運んだ。


「じゃあ、あたいは扉の入り口で防御に専念っすね。」

「まあ、主の出方次第だが。ストーンゴーレムを突っ込ませてからは臨機応変だ。皆、くれぐれも俺の指示に従ってくれ。」

「「「「はい!」」」」


 全員、リムに強化させた後、俺が扉を開ける。

 お引きはすぐに気づいて向かって来る!


「よし、投げ込め!」


 部屋の中心にダイナマイトの魔核が放り込まれる!


「ホーミングファイア!」


 ミレアの呪文と同時に、全員、扉の陰に避難する!

 凄まじい轟音が連続して響き渡る!

 お引きを含めて6連発だ!

 これで死なない奴は、まず居ないのではなかろうか?


 爆風をやり過ごし、危機感知レーダーで確認する。


「なんじゃこりゃ?!」


 部屋の中は無数の赤点に覆いつくされている!

 爆発のせいで、部屋の中はもうもうとしており、全く見えない。

 しかし、異常事態であることは間違いない!


「行け! ゴーレム! 全員、そのまま待機!」

「「「「はい!」」」」


 俺は2体のストーンゴーレムを突入させる。

 しかし、入り口から、無数の直径30cmくらいの、水の球みたいなのが飛び込んで来た!


 入り口で、ストーンゴーレムが穴だらけにされる!

 そしてあっさりと倒れる。

 見ると、溶かされているようだ。


 これは不味い!

 俺は慌てて唱える!


「地獄の業火!」


 焦って唱えた結果、威力は大したことなかったが、それでもかなり効いたようだ。

 透明な球体は一瞬で蒸発するように消えた。


「よし! ミレア! 入り口に火魔法!」

「はい! ファイアウォール!」


 これで通路への侵入は防げるはずだ。

 囮の結果からすると、奴らは物を溶かせるようだ。

 そんなの喰らったらとんでも無い!


「ファイアウォール!」


 俺も入り口の炎の壁を増強する!


「ミレアはそのまま壁を維持しろ! 他は盾を構えて入り口で待機!」

「「「「はい!」」」」


 俺とミレアは入り口の前に飛び出す!


 カレンとクレアが、俺とミレアの前に出て、盾を翳してくれる。

 詠唱中は無防備になりがちなので、いい判断だ。


 炎の壁越しに見ると、部屋の中は予想通り、凄まじいことになっていた!

 無数の水球が飛び交っている!

 

 こっちに向かって来た奴は、入り口の炎の壁に焼き尽くされる!

 それでも何体かは壁を突き抜けるが、カレンとクレアの盾に阻まれた。

 良く見ると、盾が少し溶けている!


 俺は気力を込める。


「地獄の業火!」


 最大威力の魔法を、部屋の中心にぶち込んだ!


「うん、水玉は一掃できたようだ。だが、まだ扉が開いてない。この陣形で突入する! 俺とミレアで交互に撃つから、リムは回復頼む!」

「「「「はい!」」」」


 俺達は部屋の中央に走り込んだ!


「お姉様のお仕置き!」


 う~ん、威力は申し分ないのだが、この詠唱は何とかならないものだろうか?

 少し萎える。


「地獄の業火!」


 定位置に鎮座していた階層主は、もはや魔核だけに見える。

 全く攻撃して来ないし、死んでいてもいいはずだ。

 だが、扉が開かない。

 すると、奴は小刻みに震え、透明なジェル状のものを魔核の周りに分泌し始めた。


「参ったな。直接攻撃すると溶かされそうだし、どうしよう?」

「アラタ、魔法の種類を変えたらどうかしら?」

「そうだな。リム、頼む!」

「はい! サンダーラッシュ!」


 リムの指から雷撃がほとばしる!

 彼女の場合、初級魔法と侮ってはならない。

 魔力20%アップの杖で強化された彼女の魔力は、500を超える!


「ん? 効いているようだぞ。震えが止まった。再生もしなくなったようだ。」

「なら、これでどう?! 落雷!」


 まさに落雷そのものだった!

 頭上から、眩い光の線がじぐざぐに走り、魔核に突き刺さる!


 遂に扉が開いた。



 魔核を回収後、ワープの小部屋で登録を済ませ、屋敷に戻る。

 夕食事、今日の階層主について話す。


「あれ、なんか意図的だよな。」


 俺はここ最近、ダンジョンの敵の攻撃に、何者かの意思が込められているような気がしている。

 はっきりとではなく、何となくだが。


「そうですわね。あれはダイナマイトで爆発させることを見越しての攻撃ですわ! 囮のゴーレムが居なかったら、危なかったですわ!」

「うん、あの爆発で奴が分裂したのは間違いない。いつも通りに俺が突っ込んでいたら、運が良くても、素っ裸になっていたところだ。」

「「「それはそれでそそられます。」」にゃ。」

「あ~、変態はもういい。」


 しかも、一匹、何か混じっている。

 ネタを提供した俺が悪いのだが。

 ちなみに、階層主には名前が無かったので、俺達でつけた。


命名:メルトスライム



「3日ぶりの我が家だし、明日は休みにしょう。皆、どこか行きたいとことか無いか?」

「私はありますにゃ!」

「サラちゃん! 私達は充分にお休みを頂いているざます! この3日間はお屋敷の維持だけだったざます!」

「いや、皆に意見が無いなら構わないぞ。で、どこだ?」


 なんか、ねだって欲しいカサードの気持ちが、分かる気がする。


「釣りに行きたいですにゃ! 近くに大きな湖がありますにゃ!」


 ふむ、猫人族、魚には目が無いと見える。

 周りを見回すと、皆、異存ないようで、全員笑顔だ。


「よし、じゃあ、それで決定だ。道具とかはどうしよう?」

「それなら心配要りませんわ。確か、湖のほとりで貸してくれるところがありましたわ。」



 食後、メルトスライムの魔核が気になり、早速工房で試してみる。

 カレンとリムも、隣で装備の修理に余念が無い。


「う~ん、武器には付かないのかな? 防具で試してみよう。」

「じゃあ、これでやって見て。いい効果だったら勿体無いわ。」


 リムが空きの2つついた鎧を渡してくれる。


「そうだな。ありがとう。どれ・・・。」


 俺が気力を込めると、成功したようだ。


???:防御+25 特殊効果【自動回復】 ??


 自動回復? まあ、予測はつく。

 多分、一定時間ごとに体力が回復する効果だろう。

 奴も、魔核からジェル状の物を分泌させて、回復していたようだし。


「うん、これは使えそうだな。早速試してみよう。」


 俺が鎧をつけて、そこをカレンが殴る。

 今の俺なら、本気で殴られても、大したダメージは喰らわない。


「うぐっ、いい正拳だ。結構痛いぞ。」

「ってってっす! 殴ったこっちの方が痛いっす!」

「ふむ。だが、それでも50くらいは行ったぞ。」


 思った通り、すぐに体力が全回復した。

 恐らく、毎分くらいの間隔で、最大体力値に比例して、僅かずつ回復させるのだろう。

 余った空きには【防御20%アップ】をつける。


「うん、これはカレンにだな。お前が一番攻撃を受けるからな。」


 未知の魔物相手は俺の役目だが、それ以外はやはりカレンが盾役だ。

 彼女の【挑発】は重宝している。


「ありがとうっす! 名前つけてもいいっすか?」

「お、おう。変なのは遠慮して欲しいが。」

「じゃあ、回復の鎧っす。」


 ふむ、珍しくまともな命名だな。


「じゃあ、この盾はあたしが魔核を付与したから、あたしがつけていい?」

「うん、勝手にしてくれ。作った奴の権利だしな。」


 俺は少し嫌な予感がしたが、任せる。

 俺の作った鎧と対になる、カレン専用の盾らしい。

 どうせ俺が装備する訳じゃない。


無敵のカレン:防御+55 特殊効果【魔法防御20%アップ】


 ふむ、【魔法防御10%アップ】と、ラージスケルトンの【防御+20】を、両方合成してから、付与したようだ。

 いい性能だ。

 名前以外はな!


「リムちゃん、ありがとうっす! いい名前っす!」


 はいはい。



 その後、恒例の一家団欒の風呂で疲れを癒そうと思ったら、誰も来ない。

 俺が入り終えると、入れ替わりに全員入る。

 俺が何か変な事でもしたのだろうか?

 ひょっとして、避けられてる?


 マリンのティータイムで原因が判明した。


「今日は全員、あの日ざます。」


 ふむ、女が固まると、あの日が一致し易くなるというのは、本当のようだ。

 その日は、久しぶりの一人を満喫する。


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