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22歳♂ 何故か女の体に転生しました。  作者: BrokenWing
第二章
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光る石

      光る石



 ダンジョンに戻り、そう言えばと、さっきの魔核を確認する。

 近藤に気を取られていて、無造作にアイテムボックスに放り込んだままだった。


メデューサの魔核×1

メデューサの爪×10

ストーンゴーレムの魔核×2


 ネーミングからして、イオリがつけた名前だろう。

 メデューサなんて言葉は俺達の世界の奴しか知らないはずだ。


「よし、大体相手の攻撃方法は分かった。耐性もついたし、次からは全力戦闘で行くぞ。あの範囲魔法も解禁だ!」


「どきどきしますね。」

「津波の魔法は、リムちゃんと被りますわね。」

「じゃあ、クレア姉様からお願いします。」

「あたいの無敵ぶりを見るっす!」


 結果としてはまずまずだった。

 ストーンゴーレムには火魔法があまり効かなったが、メデューサには良く効いた。

 そして、津波の魔法は逆で、水魔法がストーンゴーレムの弱点のようだ。

 更に、風魔法は両方に有効だった。


「ふむ、俺の【地獄の業火】、リムの【大津波】、ミレアの竜巻魔法、【荒れ狂うお姉様】を合わせれば、2種類来ても瞬殺できるが、流石に燃費が悪いな。」


 ちなみに、クレアの【アラタさんへの愛】も津波の水魔法だが、これはリムより威力が劣るし、恥ずかしいので、あまり使って欲しくない。

 もっとも、クレアはミレアに使って欲しくないようだが。


 俺の魔法は気力が100、リムが80、クレアが90、ミレアも90消費する。

 そして、現時点で、俺が7発、リムが5発、クレアが3発、ミレアも3発撃てる勘定だ。


「そうっすね。あたいの【無敵】も100消費するんで、2回が限度っす。」

「まあ、纏まった数の時以外は温存だな。カレンのも階層主用に温存だ。」

「「「「はい。」」」」


 その後は、魔法を温存して進む。

 カレンが挑発したところを、俺が三重苦のナイフで無力化していく。

 これが鉄板戦法で、時間はかかるがダメージはほぼ受けない。

 その日は、62階層でいい感じの行き止まりを見つけて、休憩となった。



「あの冒険者達、巧くやってくれているだろうか?」


「いつも思いますが、アラタさんは甘すぎます。自分を殺そうとした相手を助けるなんて、異常です。」

「全くっす! でも、あいつらは結構場慣れしてたみたいっす。ああいうガラの悪そうなのは、ああいう仕事が向いてるっす。最低でもうまく逃げるっす。」

「そうね。でも、そこがアラタの魅力でもあると思うわ。それで、あの人達もランクを落とさない為に、最低限はやってくれるはずよ。」


「私はアラタさんが心配ですわ。あのお馬鹿を召喚したサンタルなんて、どうでもいいのですわ。とにかく、背負い過ぎないで下さいね。」


 クレアの『背負い過ぎるな』という言葉が響く。

 俺がこの世界のパワーバランスまで考慮するのは、分を超えているのだろうか?



 その後は、ミニ工房を広げて、損傷した装備の修復に励む。

 ストーンゴーレムは、名前の通り身体も硬く、武器の手入れも必須だ。

 カレンの小剣とクレアの槍は、聖銀製にも関わらず、少し刃こぼれしている。


 もっとも、装備品の修理程度、今のカレン工房では雑用の部類である。

 食事の準備が整う頃には、一通り済ませることができた。


 食後は皆で、ソファーで寛ぐ。

 ミレアが紅茶を淹れてくれる。


「ところで、いつも不思議に思うのですが、このダンジョンの壁の光る石、どういう仕組みで光っているのでしょうか?」


 ミレアは手を止め、壁を指さす。


「今まで、それが当たり前だと思っていたが、言われてみれば不思議だな。」

「そうっすね。」


 カレンが壁から光る石をダガーで削り出して、持って来てくれた。


 この石に関しては、マッピングとかで利用したことはあるが、それ以外は特に興味も無かった。

 大きさはテレポートの石くらいだが、テレポートの石は灰色だ。


 俺は、アイテムボックスからテレポートの石を取り出して比べる。

 握ってみると、触感はほぼ同じだ。

 魔結晶程ではないが、少しすべすべした感じ。


 だが、待てよ?

 テレポートの石はどうやって作るのだろう?

 あれも、魔結晶のように、どっかに落ちているのだろうか?

 それとも、巨大な原石みたいなのがあって、そこから削り出すのだろうか?


 ちなみに、この石は壁から取り出すと、数時間程で光らなくなる。

 これは以前マッピングで利用した時に確認済だ。


 ひょっとして!

 俺は隣の小部屋に行った。

 そこはさっき、ストーンゴーレムが暗闇状態で壁に突進した結果、光る石が結構剥がれ落ちていたはずだ。

 記憶を頼りに地面を探すと、微かに光る石が散乱していた。

 5個程拾って、持って帰る。


 全員、俺が何をしようとしているのか分からず、困惑顔だ。


 うん、多分そうだろう。

 俺はその石をテーブルに広げ、そのうちの最も暗い奴を摘まみ上げる。


 俺は魔核を合成、付与する要領で気力を込め、テレポートするイメージを流し込む。


 ふむ、成功かな?

 石は灰色に変化した!

 良く見ると、【テレポートの石】と表示される。


 俺は慌てて自分のスキルを確認する。

 あった!


【鉱石鑑定1】


「これは? まさかとは思いますが、またチートな事をやらかしましたね?」

「うん、ミレア。どうやらそのようだ。」


 他の3人は首を傾げている。

 俺は他の石にも同様に気力を込めると、全部灰色に変化する。


「まあ、アイテムボックスに入れて確認してくれ。」


 全員に一個ずつ手渡す。


「アラタ! 凄いわ! テレポートの石がこんなにお手軽に作れるなんて!」

「流石はアラタさんですわ。」

「何か良く分らないっすけど、売れば大儲けできるっす!」


 テレポートの石は取引に規制がかかっているので、大っぴらには売れないが、その気になれば、一財産作るのは可能だろう。

 多分この製法は、全世界的に拡散が規制されていて、一部の者の門外不出となっているはずだ。

 もっとも、テレポートの魔法が使えないと不可能なので、知ったとしても、出来る奴はごく僅かだろうが。


「多分、リムにも可能なはずだ。魔核を合成、付与する要領だ。ミレアも練習すれば可能だと思う。」


 リムはテレポートが可能だし、既に簡単な魔核の付与なら成功している。

 ミレアも、テレポートはまだ無理だが、時空魔法は使えるので、魔核の付与と併せて努力すれば、そのうちできるだろう。


「早速試してみるわ。」

「はい、後で教えて下さい。」

「しかし、これはミレアのお手柄だ。あんな事を言われなければ、全く気付かなかったはずだ。」


 ミレアの顔が真っ赤になる。

 褒められて照れ捲っているようだ。

 青髪とのコントラストで、これまたいい感じだ。


 その後は俺の講習会となったが、残念ながら誰も成功しなかった。

 しかし、ミレアが【鉱石鑑定】を取得できたのが救いだ。

 これからは二人で魔結晶を見つけられるだろう。


 結局、何故光っているのかは分からなかったが、これだけでも大収穫だろう。

 皆で光る石を大量に集めて、テーブルに放置しておく。

 明日の朝になれば、全部光らなくなる筈だ。


「じゃあ、今日は寝よう。続きは明日だ。」


 その晩は全員、テレポートの石の作り方に気を取られていたのか、ダンジョンではいたす気が起こらなかったのかは分からないが、特に何も無く、ぐっすり眠れた。



 翌朝、俺は光らなくなりくすんだ半透明の石を前に考える。

 横では全員、朝食の準備をしてくれている。


 この石、テレポートの魔法だけってことは無いのでは?

 俺は石に気力を込めて、イメージを流し込む。


【地獄の業火】!


「げっ!」


 なんと石が割れてしまった!

 おまけに、規模は大したことなかったが、周りが火の海だ!

 慌ててリムが手加減した【大津波】を放ってくれて、大事には至らなかった。

 範囲魔法なので、仲間へのダメージは無いが、おかげで、ソファーが丸焦げだ。

 ベッドとかは既に仕舞ってあったので、かろうじて被害をま逃れる。


「アラタ! 実験するのはいいけど、ちゃんと考えてやってね!」

「す、済まん。」


 クレアも【ドライ】の魔法をかけてくれる。


 ふむ、石に入りきらなかったと見るべきか?


 懲りずに、次は【アブノーマルキャンセル】でやってみる。

 これなら失敗しても被害は無いはずだ。


 ふむ。成功かな?

 石は濃い緑色になった。

 見ると、【万能薬の石】と出る。


「よし! 間違っていなかった! 成功だ!」


 俺がまた何かやらかさないかと、横で心配そうに見ていたリムが手に取る。


「これは?」

「まあ、アイテムボックスで確認してみろ。」


 リムが虚空に石を入れると、大声を上げた。


「ア、アラタ! こんなの見た事ないわ! 大発明よ!」

「ふっふっ、分かってくれたようだな。俺は決して無駄にソファーを焦がした訳では無い!」


 全員、何事かと集まってくる。

 俺が説明すると、皆、一様に歓喜の声を上げる。


「凄いっす! これならあたいでも回復できるっす!」

「これは! 私の回復役としての地位が危ないですわ!」

「もう驚きません。私も早く習得したいです。」


 ここで俺は考えた。

 この発明品を量産して、皆に持たすのは当然だし、魔核も素材も試していないのが多すぎる。

 特に階層主の魔核は殆ど手付かずだ。

 急いで攻略する理由も無い。


「うん、ここは、やはり一旦屋敷に戻って仕切り直すべきだろう。途中で魔核や素材を集めながら60階層まで戻ろう。」

「そうっすね。あたいも新素材を試してみたいっす。」

「ええ、ミニ工房だと限度があるわ。」

「ソファー、買い替えましょう。」

「そうですわね。急ぐ必要もありませんわ。」



 途中、狩れるだけ狩り、街で買い物もしたので、屋敷に着いたのは夕方だった。

 マリンにはテレフォンで連絡しておいたので、今晩の食事とかは心配無い。


「お帰りなさいですにゃ!」


 満面の笑みでサラが飛びついて来る。

 一日しか経っていないのに、寂しかったのだろうか?


「「「「あ~っ。」」」」


 俺は唇を奪われた。


まあ、予想通りの落ちですね。m(_ _"m)


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