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22歳♂ 何故か女の体に転生しました。  作者: BrokenWing
第二章
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ミツルと皇女

       ミツルと皇女



 朝、皆で朝食を取っていると、玄関を叩く音がする。

 慌ててマリンが出て行く。


「アラタ様、勇者橘男爵様がお見えです。」


 朝っぱらから、何の用だろう?


「ん~、ミツルだけ?」

「いえ、ヤットンさんと、従者と思われる方々、そして皇女殿下もご一緒です。」


 ふむ、昨日のカサードの件でダンジョンに追いやられ、その前にという事だろう。


「分かった。応接室に通してくれ。リム、俺と一緒に来てくれ。」


 俺は、面倒な事を言われたら、リムに頼る気が満々である。



「おはよう、アラタさん。朝早くから済まない。しかし、ダンジョンに入る前に、どうしてもお願いしたい事があったんだ。」


 ここまでは予想通りのようだ。


「お願いとは魔法書か?」

「うん、その通りだよ。流石はアラタさんだ。益々僕の・・・」

「あ~それはいい。狭いが、全員掛けてくれ。」


 サラとマリンが慌ててリビングのソファーを持ってくる。


 俺が一人用のソファーに座ると、リムが俺の膝に座りやがった。

 ミツルへの牽制のつもりだろうが、正直、かなり恥ずかしい。

 3人掛けのソファーの真ん中にミツルが座り、その両脇に皇女とヤットン。

 侍女が持って来てくれたソファーには、見知らぬ3人が腰掛ける。


「うん、仲間を作れたようだな。先ずは紹介してくれ。俺はアラタ・コノエ。今年召喚された勇者で、ミツルの友人だ。そして、こいつがリム。俺の従者であり、許婚者の一人だ。」

「そうだね。じゃあ、フロン、君からだ。」


 ミツルの隣の女性には面識がある。

 向こうはこの身体の俺を知らないと思うが、リムとの同居時代に紹介されている。

 カサードの娘だ。


「そのお身体の近衛殿とは初めてね。そして、元近衛殿のリムさん、でしたか、貴女も。私は、フロン・ミスト・ドルトムンク。フラッド帝国第二皇女にして、勇者橘男爵の従者よ。以後、お見知りおきを。」


 フロンが立ち上がって、貴族風の挨拶をする。

 年は16、7くらいだろうか?

 リムと似た印象だ。

 ただ、リムよりも少し大人びた感じ。

 見事な金髪をツインテールに纏めている。


「改めて、初めまして、皇女殿下。こちらこそよろしく。」


 俺とリムも立ち上がって、挨拶を返す。


「それで、こちらがミツルの仲間か?」

「はい、僕はケルンと申します。橘様の奴隷です。よろしくお願いします。」


 ケルンは中学生くらいか? かなり幼さが残る。

 身長は160cmくらい。茶髪で人懐っこそうな印象だ。

 背中に弓を背負っている。


「ぼ、僕はボウマンです。人狼族の奴隷で20歳です。よ、よろしくお願いします。勇者様。」


 ふむ、ウルベンさんと同じ種族か。

 精悍な顔つきなのだが、かなり気弱そうな感じだ。

 大きな盾を持っているので、カレンのような前衛だろう。


「ノーラ。エルフ族。25歳。宜しく。」


 25歳のエルフは、見た目はリムより若く、サラといい勝負だ。

 銀髪の美少女。

 年齢はともかく、見た目だけなら、スコットのストライクゾーンだったかもしれない。

 魔法の得意なエルフ族らしく、彼女は杖を持っていた。


「では、ミツルの従者さん、宜しくな。じゃあ、ミツル、これが魔法書だ。全部持って行っていい。必要が無くなってから返してくれればいい。」

「アラタさん、ありがとう。じゃあ、ノーラ頼むよ。しかし、アラタさんには本当に感謝しても仕切れない。あの魔核を売って、僕はやっと仲間を手に入れたよ。」


「ん? 今まで、共和国の兵隊とか居ただろう? あれは違うのか?」

「う~ん、今思えば、彼らは名誉とかお金の為にダンジョンに潜っていたんだと思う。」

「え? それが普通なんじゃないか?」


「うん、それはそうなんだけど、僕は奴隷を手に入れて気付いたんだ。この人達は基本的に、自分の命を最優先に守ろうとする。だから、決して無茶しない。でも、仲間を庇うことによって勝率が上がるのなら、喜んで盾になってくれるんだ。そう、パーティーの生存=自分の生存、ということが分かっている。けど、兵隊は、自分の命が軽いんだ。だから、名誉欲に駆られて無茶をする。そして、お金目的の人は、自分だけ生き残ればいいという感じだったよ。」


 なるほど、何となくだが分かる気がする。

 しかし、あのミツルがこんな事を言うとは!


「ふむ、俺もそこまで考えた事は無かったな。そして、そう考えることが出来るお前と知り合えて、何か嬉しいよ。それで、ミツル、要件はこれだけじゃないのだろう?」

「アラタさん、何で分かるんだい? 益々僕の愛が・・」

「あ~、だからそれはいい。で?」


 ミツルは全員を見渡す。

 なるほど、メンバーの話か。


「どうだろう? ミツル、俺とリビングで話そう。ヤットンも一緒が良さそうだな。」

「助かるよ。じゃあ、君達はここで待っててね。」


 うん、以前のミツルでは考えられない進歩だ。

 部下に対しての傲慢な態度が完全に無くなっている。

 これなら、いい関係を築けていそうだが?


 俺はリムと一緒にリビングに移動する。

 ミツルとヤットンもマリンに案内される。


 4人がテーブルにつくと、クレアが紅茶を淹れてくれる。


「実は、皇女、フロンのことなんだ。」

「うん、色々と聞いている。お前にぞっこんなんだろう?」

「ああ、気持ちは嬉しいんだけど、僕には今の所無理だ。アラタさんが・・・」

「あ~、だからそれはいい! で、どうなんだ?」


 彼女は回復役として、今のメンバーには不可欠らしい。

 ただ、彼女だけ、ステータスの伸びが悪いそうだ。

 最初のうちは全員、差は無かったのだが、最近は彼女だけあまり伸びないらしい。

 もっとも、ミツルの能力上昇値だけはかなり上がったようだ。


 原因は当然あれだろう。

 奴隷と貴族の関係、俺が信頼補正と呼んでいる奴だ。


「皇女だけ、伸びが悪くなったのか?」

「うん、そうなんだ。」


「ヤットン、お前から見て、皇女とミツルの奴隷との関係はどうだ?」

「顕著なのは、身分の違いによる壁ですね。あと、僅かですが、人種の壁もあるようでございます。亜人のボウマンとエルフのノーラは、ケルンより少し苦手にされているように見えます。」

「じゃあ、ミツルと奴隷は?」

「近衛様の従者様とは比べ物になりませんが、全員、そろそろ仲間と呼べる関係かと。」


 ふむ、やはり皇女に原因があるようだ。


「彼女に抜けて頂く、という選択肢は取れないのか?」


 皇女には悪いが、ミツルにその気が無いのなら、一緒にいても可哀想なだけだし、長期的に見ると、足を引っ張ることになる。


「陛下の手前、厳しいと思うよ。」

「リム、お前なら何とかできるか?」

「このままなら、あたしでも無理ね。」


「ん? このままなら?」

「ええ。皇女様のミツルさんへの気持ち次第ね。」


 ふむ、何か分かった気がする。

 ここはリムに任せてみよう。


「じゃあ、頼めるか?」

「奴隷のあたしじゃ無理よ。皇女様は私の話を聞いて下さらないわ。」

「ふむ、続けてくれ。」

「説得はアラタ、あなたの役目よ。それでは、ミツルさん、ヤットンさん、外して下さる?」


 ヤットンは大人しく、ミツルは首を傾げながら、部屋を出る。


 二人が出た後、リムは俺に策を説明する。


「しかし、それは強引すぎないか? 皇女はともかく、カサードさんは納得しないだろう。」

「でも、それしかないわね。陛下へは、皇女様が言えば何とかなるわ。」

「う~む。まあ、試してみるか。ダメ元だ。」

「でも、何でアラタがそこまでしなきゃならないの? お人好しにも程があるわ!」

「まあ、そう言うな。じゃあ、始めるか。」


 リムが部屋を出ると、暫くして皇女が入って来た。


「私に話って何かしら? 勇者近衛子爵殿。」

「そう堅苦しいのは苦手だ。カサードさんと一緒でアラタでいい。俺も貴女のことはフロンさんと呼ぶが、構わないか?」

「分かったわ。私のことはフロンでいいわ。アラタさん。」


「じゃあ、フロン、いきなりだが、君はミツルのことが好き、でいいのか?」

「え、ええ。お慕いしています・・。」

「うん、だが、ミツルには今はその気が無いようだ。まあ、原因の俺が言うのも何だが、一緒に居ても辛いだろう?」

「そ、それは諦めろと?」

「もし君にそれが出来るのなら、そういう事になる。」

「無理です!」


「では、もう一つ。これは俺が確認した訳じゃないので、間違いがあったら先に謝るが、君は以前の勇者に毒を盛ったとか。幸い命には関わらなかったようだが、結果は深刻だったと聞いている。」

「は、はい。それはパパにも厳しく叱れました。私も反省しています。二度とあんなことはしません!」


 なんか、しおらしくなってきたな。

 思ったより悪い娘じゃなさそうだ。


 しかし、依然のミツルを知っている俺からすると、何処がいいんだかと思ってしまう。

 彼女のような美人、しかも皇女なら、貰い手はいくらでも居るだろうに。

 だが、さっきのミツルを見れば、それもありかなとも思う。


「じゃあ、これから話すことを良く聞いてくれ。」

「はい。」

「俺の今までの経験から、奴隷と貴族の関係がいいと、ステータスの上昇値が高くなることが分かった。そして、どうも君がその逆を証明してしまったようだ。」

「それは一体どういう?」


「はっきり言う。今の君の奴隷への苦手意識が消えないなら、ミツルの足を引っ張る。君がパーティーから抜ければ、ミツルの奴隷の能力の上昇値は、今以上になるだろう。」

「そ、そんな! で、でも・・・。私はどうすれば・・・。」

「そこでだ。いきなり奴隷に対しての意識を変えろなんて、俺も無理だと思う。なので、皇女、君がミツルの奴隷になればいい。勿論、その覚悟があればだが。」


 彼女は俯いてしまった。

 俺も、酷い事を言っているのは理解している。

 王族がいきなり奴隷だなんて、悪夢以外の何物でも無いだろう。

 だが、フロンにそれだけの覚悟があれば、逆に二人の上昇値は凄い事になるだろう。


「私・・・、やります! 奴隷になります! ミツルさんの側に居られる方法が、それしかないのなら!」


 思わず、俺がぐっと来てしまった。

 ミツル、お前は幸せ者だよ。


「分かった。それでフロン、君はカサードさん、父親も説得できるか? 下手すると、ミツルは軟禁時代に逆戻りだ。娘を奴隷にするくらいなら、城から出さずに、と普通は考える。」

「あら、それは簡単よ。私は第二皇女だし。パパも、あの件での私の処罰に困っていたようだわ。私が罰として奴隷になって、勇者様にお仕えすると言えば、パパの顔も立つわ。」


 いきなり喋り方が元に戻ったな。

 覚悟が決まった女ってところだろうか?

 カサードの娘だけあって、頭の回転もいいようだ。

 実は、この言い訳はリムも用意していたのだが。


「じゃあ、決まりだな。うん、フロンなら大丈夫だ。ミツルだって、俺みたいな男よりは、君みたいな可愛い子がいいはずだ。頑張れよ。後、これは未確認だが、当然奴隷同志の仲も重要だと思う。」

「はい! 多分、同じ奴隷になったら、大丈夫だと思うわ。」


 ミツルを呼んで、経緯を話す。


「そう言う事だ、ミツル。後はフロンの覚悟にお前がどう応えるかだ。彼女が重いなら逃げてもいいが、この娘のことだ。ダンジョンの奥まででも追って来るだろうな。」

「ええ、ミツルさん! 逃がさないわよ!」

「わ、分かったよ。でも、僕は・・・。その・・・、アラタさんが・・・。」

「お前、こんな娘を振るなら、俺も減滅するぞ。お前には、はっきり言って勿体無い。男なら腹を括れ。」

「そう・・・だね! ありがとう、フロン! 僕は君の覚悟に応えられる男になるように努力するよ!」


 ミツル達は帰って行った。

 フロンが纏わりつくミツルは、少しだけ大きく見える気がする。



 しかし、とんだことで時間を食った。

 なんか、昨日もだが、どっと疲れが出た気がする。


「うまく行ったようね、アラタ。」

「ああ、ありがとう、リム。まあ、後はあいつら次第だけどな。しかし、よく協力してくれたな。お前はミツルには興味なかったろうに。」

「そうね。それは、あたしもアラタについた変な虫を掃除する、という目的があったからよ。」

「なるほど。お前らしいな。では、これは俺の感謝の気持ちだ。」


 俺はリムを抱きしめて、キスをしてやる。

 彼女も抱きしめ返してきたが、周囲の視線に気づく。


「続きはまた今度だ。」

「その気にさせてお預けは酷いわ!」

「アホ! 周りを見ろ!」


「続きの時はご一緒しますわ。」

「今回は仕方無いですね。多めに見ます。」

「あたいは昨日・・・、あ、何でもないっす!」

「私も感謝の気持ちが欲しいですにゃ!」


 ん? なんか変なのも混じっていた気がするが、いつものことか。


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