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22歳♂ 何故か女の体に転生しました。  作者: BrokenWing
第二章
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覚醒の予兆

      覚醒の予兆



 俺は城を出ながら考える。


 何やら動き出した。

 俺達はダンジョンの攻略に専念したいのだが、そうも行かないようだ。

 しかし、その会談で有用な話が聞ければ、攻略もかなり楽になる。

 何よりもナガノさんに会えるかもしれないのは大きい。


 だが、相手がもし、以前のミツルのような奴だったら、最悪戦闘だ。

 契約により、ナガノさんも戦ってくれるだろうが、自分の身は自分で守りたい。

 その為にダンジョンに潜ったのだし。


 うん、これは準備を整えておいたほうが良さそうだ。

 昨晩の魔法の件はすぐに皆に伝えるべきだ。


「リム、急いで帰ろう。俺に掴まれ。」

「え? この距離でテレポートの石は勿体無いわ!」

「もう必要無い。飛ぶぞ。」


 俺は強引にリムの手を取り、気力を込める。


「飛べ!」


 着いた先は、屋敷の玄関だ。

 幸い誰も居なかった。

 まあ、誰かに見られたとしても、既に隠す気はないが。


「ちょ、ちょっとアラタ、説明して!」

「リム、時間が惜しい。急いで全員をフル装備で玄関に集合だ。俺はカレンを呼んでくる。」

「わ、分かったわ! でも、後できっとよ!」


「カレン! 居るか?」


 俺は地下室に駆け込んだ。


「はいっす。工房道具一式、配置完了っす!」

「お~、間に合ったか。では、今からダンジョンに行く。急いで準備をして玄関に集合だ。」

「は、はいっす! でもいきなりっすね?」

「まあな。とにかく頼む。」


 俺はマリンを捕まえて、晩飯くらいには戻ると言い残し、玄関に走る。

 既に全員揃っていた。


「じゃあ、俺に掴まれ! 新魔法のお披露目だ。」



 俺達は、トロワのダンジョン50階層のワープの小部屋に飛んだ。


「まずは説明からだ。昨晩、色々考えていて、何というか、魔法の本質のようなものに気付いたんだ。そして、その結果が今のテレポートの魔法だ。当然、石は使っていない。」

「流石はアラタさんですわ。凄いですわ。」

「これまたチートに拍車をかけたようですね。」

「へ? あたい、会話について行けてないっす!」

「なるほど、そう言う事ね。もっと早く教えて欲しかったわ。」


 そして、俺は今日のカサードとの話を伝えた。


「と言う事で、下手すると、以前のミツルのようなアホ勇者が来るかもしれん。ナガノさんも来るだろうから、大丈夫だとは思うが、準備だけはしておきたい。それでその魔法の本質だ。」

「じゃあ、あたいは魔法使えないから、お邪魔っすか?」

「いや、多分カレンにも為になるはずだ。新技の一つくらいは物にできると思う。」

「え! 早く教えて欲しいっす!」


 俺は昨晩考えたことを丁寧に話す。


「大体こんな概念だ。理解できたか?」


 全員、無言で頷く。


「じゃあ、先ずはクレア、お前は水魔法が得意だ。それで、津波って知っているか?」

「は、はい。私は海は知りませんが、聞いたことはありますわ。巨大な波ですわね?」

「そうだ。それをイメージして、そこの51階への通路に放ってみろ。ここなら誰の迷惑にもならないし、多分お前ならできると思う。」

「はい、アラタさんが仰るのなら、きっと出来ますわ。呪文は何でもいいのですわね?」

「うん、クレアのイメージに合ったのでいいと思う。」


「行きますわ! アラタさんへの愛!」

「「「「へ?」」」」


 変な詠唱と同時に、通路には巨大な津波が発生し、通路を丸ごと呑み込む!

 そして、濁流が駆け降りて行った!


「せ、成功ですわ! 流石はアラタさんですわ!」

「お、おう、クレア、おめでとう。し、しかし、その呪文は?」

「大波をイメージしましたら、勝手に出た言葉ですわ。」

「そ、そうか。まあ、使えれば何でもいい。・・・か?」


 皆が興奮覚めやらぬうちに続けて行く。


「次、ミレア、これは俺と一緒に試そう。火魔法だ。」

「はい。どんなイメージですか?」

「先ずは俺が試してみる。成功したら真似してくれ。ん~、ここじゃ狭いか。通路を降りた小部屋で試そう。」

「はい!」


「地獄の業火!」


 部屋全体が一瞬にして炎に包まれる!

 運悪く中に居た魔物がウェルダンになった。


「「「「すご・・・。」」」」


 皆が呆然と立ち尽くす。


「まあ、イメージできる範囲でいい。試してくれ。」

「は・・・、はあ。これも呪文は何でもいいのですね?」

「そうだ。クレアを見ただろう。」

「そうですね。では・・・、お姉様のお仕置き!」


 俺のより規模は小さかったが、それでも、かなりの火力だ!

 部屋の半分程が炎で満たされる!


「で、出来たようです!」

「うん、これも呪文は意味不明だったが、おめでとう。」

「ミレア! 後で話がありますわ!」

「そうです! このイメージです!」

「「「「はぁ~。」」」」


「次はリムだが、さっきのクレアの魔法を真似てみるか?」

「いいえ、アラタ、あたしは光魔法で試したいわ。勿論、後でクレア姉様のも真似するけど。」

「ふむ。どんな感じだ?」

「う~ん、ステータスアップね。アラタ、実験台になって。」

「よし。立っているだけでいいか?」

「ええ。じゃあ、行くわよ! オールアップ!」


 俺の身体が真っ白に光る!


「成功したっぽいわね。ステータスはどう?」

「おう、今確認する。」


 ・・・なんじゃこりゃ?


「やっぱ、リムのは半端ないな。全ての能力値に200以上プラスされていたぞ!」

「やっぱり! あたしとアラタは相性がいいのかも!」

「多分、相性は関係ないと思うぞ。」


 他の3人も頷く。


「じゃあ、最後はカレンだ。お前は武術系スキルで試そう。剣、盾、どっちがいい?」

「そうっすね~。うん、思いついたっす。アラタさんとクレア、あたいに連続攻撃を同時にお願いするっす! あ、威力は手加減して欲しいっす。」


「分かった、準備出来たら言ってくれ。」

「カレン、遠慮しませんわ!」

「いいっす! 無敵!」


「行くぞ、10連掌打!」

「5点連穿!」


 俺は相撲で言うところの、突っ張りをかます!

 クレアは槍を逆に持ち、神速の5連続突きを放つ!


「むむ・・・。」

「当たっているのですけど、届いていませんわね。」

「成功みたいっすね。ノーダメージっす!」


「うん、これは凄いな。これなら群れのど真ん中に放り込んでも大丈夫そうだ。」

「そ、それは勘弁っす。後、これ、気力の消費が結構きついんで、回数は使えないっす。時間も10秒くらいみたいっす。」

「ふむ、でも、これは主相手に使えるな。その調子で色々試してくれ。」

「はいっす!」


 その後は暫く皆で試し打ちをする。

 リムは津波を成功させていた。

 ミレアは風魔法で竜巻を起こしている。

 クレアも槍で何か試しているようだ。


「よし、全員いい感じだ! マリンに叱られないうちに一旦帰ろう。後、この事は誰にも内緒だ。広まると、この世界の魔法とかの体系が、多分崩壊する。試し打ちしたい奴は俺に言ってくれ。ここに連れて来てやる。」

「「「「はい!」」」」


「じゃあ、アラタ、今度はあたしの番よ。全員あたしに掴まって。」

「よし、リム、頼む。」

「テレポート!」



 屋敷に戻ると、マリンが何も聞かずに出迎えてくれた。


「皆さん、お帰りなさい。食事の用意が出来ているざます。さあ、席に着くざます。」


 その日の夕食は、皆、興奮していたせいか、黙々と食べる。

 サラが不思議そうな顔をしていたが、皆の皿を見てにっこりする。

 うん、今日も美味かったぞ!



 食後、今日届いた工房セットも気になっていたのだが、最大の懸念事項が成功したので、何か気が抜けてしまった。

 こういう時は風呂で寛ぐに限る!


「サラちゃん、風呂は入れる?」

「帰ったら、先にお風呂かと思って沸かしていましたにゃ。少し冷めているはずにゃので、私が温め直すにゃ。」

「あ~、いいよ、自分でやるよ。」

「でも、私の仕事ですにゃ!」

「お前達、頼む!」


 これ、毎回やってるな。


 自分で気力湯沸かし器を操作し、温めていると、皆が入って来る。


 ミレアが湯を編んでくれる。

 うん、適温だな。


「なんか、今日は疲れたな。しかし、ここは極楽だ~。」

「そうですわ~。」

「寝てしまいそうです~。」

「あの魔法、気持ちよかった~。」

「やっぱ、飯の後が最高っす~。」


 皆、目が糸になっている。


 充分に寛いだ後、身体を洗っていると、皆に囲まれる。

 抵抗する気力も無く、されるがままだ。

 妙な気分にもならん。


 その後ものんびりとした後、リビングに戻ると、マリンがお茶を淹れてくれる。

 

「今日はお疲れのようざますね。」

「うん、なんか、今日は色々とあったからね。」

「でも、あの娘達のこともちゃんと構うのが殿方の務めざます。今日はカレンちゃんらしいざます。」


 げ! そんな事まで! 侍女長、恐るべし!



 その晩はカレンの部屋で寝た。


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