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22歳♂ 何故か女の体に転生しました。  作者: BrokenWing
第二章
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魔法の本質

      魔法の本質



「子蜘蛛の魔核はちっこいな~。これ使えるのか?」

「効果が判明するまでは捨てられないっす。面倒だけど回収するっす。」

「そうだな。でも適当でいいぞ。あり過ぎても邪魔だ。」

「そうっすね。それで、また命名タイムっすけど。」


「こいつは見た瞬間に決めていた。『アラクネ』だ。俺の世界の神話に出る蜘蛛の化物だ。」

「それ、親蜘蛛っすよね? じゃあ、子蜘蛛のほうはあたいがつけていいっすか?」

「おう、任せる。」

「えへへ。じゃあ、『マイティーカレン』っす!」

「「「「ぶっ!」」」」


「お、お前、恥ずかしくないのか? こいつ雑魚だぞ? それに何の脈絡もないだろ!」

「あたいの名前を残しておきたかったっす。こんなの、つけた者勝ちっす!」


 流石に却下と思ったが、既に名前の表示が変わってしまった。


 ま、いいか。

 カレンの言う通り、つけた奴の勝手だ。

 カサードだって、適当な名前をつけているしな。

 迷惑だけど!


 最初に散乱していた魔核は51階以後に出て来た魔物の物、4種類だった。

 ふむ、明らかにパターンが変わっているな。

 今までお引きは最後の1種類だったのに。



 ワープの小部屋で登録を済ませ、外に出ると、ヤットンの仲間が待っていた。

 名前はハウルと言い、ヤットンに代わって、俺達担当の責任者らしい。

 ふむ、ヤットンとは違って、高身長、がっしりとした身体つきに重装備、カレンのような前衛タイプだな。


 性格はかなり気さくだ。

 帝都までの道中、質問攻めに遭うが、悪い気はしない。

 その結果、ハウルにはすぐにテレフォンで連絡が取れるようになった。


「じゃあ、僕はここまでです。ヤットンにも報告しておきますが、次からは直接僕に連絡して下さい。」

「うん、ヤットンに宜しく。ご苦労様。」


 周りはそろそろ暗くなってきた。

 ハウルとは屋敷の前で別れ、待望の我が家だ。

 


「おお~! 出来てる! そうだよ、これだよ! やはり風呂はこうでなきゃな!」


 俺は帰るなり、マリンとサラへの挨拶もそこそこに、シャワー室に駆け込んだ。

 ちなみに、女性陣はマリンに捕まってリビングだ。


 4m四方程の木の風呂だった。

 温泉の大浴場には敵わないが、俺達全員でも十二分に入れる広さ。

 うん、新しい木の香りもいい。

 注文通りだ!


 ちゃんと、洗い場用の椅子と風呂桶も配備されている。

 ナガノさんの所を作った実績は伊達じゃないようだ。

 これはカサードと棟梁に礼を言わないといけないな。


「アラタ様、お帰りなさいですにゃ。既に水は張ってありますにゃ。後は沸かすだけですにゃ。」

「サラ、只今。うん、早速入りたい! で、どうやって沸かすんだ?」

「大工さん達から扱い方は聞きましたにゃ。そこの窪んでいるところに気力を通すと温まりますにゃ。私がやるので、アラタ様は待ってて欲しいですにゃ。」


 なるほど、一部がレンガと鉄で出来ており、そこに気力を込めると熱くなる魔法装置をつけてくれたようだ。

 これなら火を熾す必要も無く便利だ。


「そうか。どれくらいかかる?」

「30分くらいですにゃ。」

「待てんな。俺も手伝う! 俺の魔力なら一瞬だろう。」


 あまり気力を込めすぎると壊れるかもしれないと聞き、慎重に扱う。

 それでも、俺が気力を込めた結果、5分くらいで適温になったようだ。

 サラが大きな木のへらで、湯をかき混ぜてくれる。


「じゃあ、早速浸からせて貰うとするか。サラちゃん、ありがとう。ご苦労様。」

「いえ、これも侍女の仕事ですにゃ。ごゆっくりですにゃ。」


 俺は脱衣所で服を脱ぎ、風呂場に戻ると、まだサラが居た。


「え~っと、サラちゃん? ルールは覚えているかな?」

「はいですにゃ。アラタ様から私の居る所に入って来たので、不可抗力ですにゃ。ついでにお背中流しますにゃ。」


 ふむ、そう来るか。


「悪いが俺にその気は無い! 沸かしてくれたことには感謝する。後で皆とゆっくり入ってくれ。」

「食事と一緒で、皆で楽しくですにゃ!」


 う~ん、引きそうにないな。

 こういう所は母親譲りか?

 しかも、小賢しさがバージョンアップしている。

 仕方が無い。最終手段だ。


「お~い、誰か、サラちゃんを頼む。つまみ出せ!」


 前回と全く同じだな。

 すぐに4人が駆け付け、事無きを得る。

 違ったのは、女性陣全員の顔がにやついていたことくらいか。


 ま、こいつらなら問題無い。

 お互い、それ以上の関係だしな。


 予想通り、サラを排除した後、4人全員が裸で入って来た。


「お背中流しますわ。」

「これがアラタさんの世界の風呂という物ですね。確かに気持ちよさそうです。」

「アラタ、私を差し置いて一人で入るのはずるいわ!」

「泳いでいいっすか?」


 相変わらず意味不明なのもいるが、もう慣れた。


 全員で湯船に浸かり寛ぐ。


 うん、最高だ!

 ついさっきまでの、ダンジョンでの生命のやり取りが嘘のようだ。

 まさに命の洗濯だな。

 皆も目を細めているし、何よりだ。


「リムちゃん、そこ、私も行きたいです。」

「ミレア姉様と言えどもこの場所は譲れないわ! あたしの指定席よ!」


 現在、リムは俺の膝の上でご満悦だ。

 長い金髪を纏め上げた、目の前のうなじが色っぽい。

 思わず抱きしめてしまう。


「そ、その、アラタ、ここではちょっと・・・。あ、そこは・・・。」


 すると、クレアが俺の後ろから抱きしめてくる。


「リムちゃんばかりはダメですわ。」


 カレンも尻尾を俺の腰に巻き付けてくる。


「あたいも構って欲しいっす。」


 更にミレアの顔が眼前に迫る。

 表情が凄くエロい!

 堪らず、ミレアのキスを受け入れてしまう。


 ヤバい! 限界だ!


「アラタ様、貴女達、食事の用意が出来たざます。」


 マリン! 絶妙のタイミングだ!

 あのままではどうなっていた事か。


「よ、よし、皆、長湯は身体に悪い。そろそろ出よう。」



「それで、俺はカレンと暫く鍛冶師をやりたい。せっかく回収した魔核や素材も、このままじゃ無意味だ。なので、多分数日程度だとは思うが、ダンジョンはお預けだ。それで、お前達はどうする?」


 俺は食事中、これからの予定を話す。


「私はマリンちゃんに修行させて頂きたいですわ。今日のお料理も私には出せない味ですわ。」

「お姉様がそうなら私もです。サラちゃんにも負けられません。マリンちゃん、お願いします。」

「クレアちゃんもミレアちゃんもいい心掛けざます。私に教えられることは、全部叩き込んであげるざます。」


「リムは?」

「じゃあ、あたしはアラタとカレン姉様を手伝いたいわ。二人きりにはさせないわよ。」

「ふむ、動機はともかく、こっちは助かるな。カレンもそれでいいか?」

「あたいは、アラタさんと武器が作れるのなら何でもいいっす。リムちゃんなら頼りになりそうっす。」



 その晩は、意外なことに誰もベッドに侵入して来なかった。

 全くの一人で寝るのは、この世界に来ての初日以来だろうか?

 少し寂しい気もするが、これはこれでいい。

 俺は久しぶりの静けさを満喫し、今までに得た情報を整理する。


 俺が今考えていることは、この世界の魔法についてだ。


 俺は、ここの魔法は、大きく4つに分類されると思っている。


 一つ目は火魔法と、それに反する水魔法。

 二つ目は風魔法と、それに反する土魔法。

 三つ目は光魔法と、それに反する闇魔法。

 四つ目はそれ以外の魔法、回復と時空だ。


 一から三までは、片方を覚えられる素質があれば、もう片方が覚えられないという性質があるようだ。

 理由は分からないが、今までの俺達の例からはそう考えられる。

 もっとも、仲間内だけなので、データ不足ではあるが。


 ミツルとその仲間が、魔法を覚えることがあれば聞いてみるべきだろう。

 その為の布石もちゃんと打ってある。

 俺は、ミツルに俺達の所有している魔法書の貸し出しを許可しているので、遠からず覚えると踏んでいる。


 後、判明していることは、使う人間によって、同じ魔法でも気力の消費量が違うことくらいか。

 例えば、火魔法の【ファイアトルネード】は、俺の方がミレアよりも気力の消費が少し多い。

 しかし、時空魔法の【シースルー】は、リム、ミレア、俺の順で、俺が一番が少ない。

 回復魔法の【ヒール】については、俺、リム、クレアの順に消費が多い。


 系統等に関しては、それ以上は今の所は分からない。

 なので、今度は別の方向から考えてみる。


 それは閻魔の言った台詞だ。


 俺がスコットを蘇生しようとした時、失敗はしたが、成功する可能性はあったと言っていた。

 あの出鱈目な呪文でだ!

 更に、俺の魂移転の魔法【サモンソウル】も、あれは本来、異次元からの魂を死体に乗り移らせる呪文のはずだ。

 この世界に現存している魂に対する物ではないはずだ。

 もっとも、俺の魂は元々異世界出身だから適用されたと考えれば、辻褄は合うが。


 更に考える。


 それはこの世界の魔法呪文の言語統一性の無さだ。

 使用されている言語は、テンプレファンタジーの王道で、俺達の世界の英語が多い。

 この世界でカナ英語が通用することを考えれば、恐らく英語を使う種族が居るのだろう。

 しかし、明らかに英語とは全く違う、意味不明な呪文もある。


 つまり、言語系統が違うのに、通用するのだ。


 それらから導き出される事は一つだ!


 そう、呪文その物に意味は無いのではなかろうか?

 要は過程だ。

 如何に気力を込め、イメージし、それを放出、具現化するか。

 それがこの世界の魔法の本質ではなかろうか?


 武術系スキルもそうだ。

 俺の格闘術スキル、【縮地】や、カレンのガードスキル、【挑発】なんて、もはや魔法に近い。

 俺が【縮地】を習得した時は、何となく出来そうだとイメージし、それに勝手に名前を付けて実行したら、たまたま成功しただけだ。



 俺はそこまで考えると、頭の中で何かが弾けた気がした!



 はっきりとした言葉には出来ない。

 だが、何となく分かった気分だ。


 うん、試してみよう。


 俺はリビングを目標に、そこに飛ぶことをイメージし、気力を込める。


「テレポート!」


 ふむ、できたようだ。

 リビングでは、マリンとサラがソファーでお茶を片手に寛いでいた。

 今日の疲れを労っていたのだろう。


「え? アラタ様ざますか? いつからそこに?」

「あ~、驚かせてすまん。ちょっと魔法の実験だ。気にしなくていい。じゃあ、お疲れ様。」


 俺は逃げるように、自分の寝室に戻る。


 うん、完全なイメージを作成し、それが可能なスキルレベルがあれば、この世界の魔法は成功すると考えていい。

 多分、【テレポート】は時空魔法の系統だ。

 俺の時空魔法のスキルレベルは現在5なので、成功するとは思っていたが。


 今度はスコットの墓の前をイメージする。

 あそこなら誰も居ないはずだ。


「飛べ!」


 ふむ、成功だ。 

 目の前にスコットの墓がある。

 やはり、呪文そのものには意味が無い!


 墓に向かって少し黙祷してから、また気力を込める。

 今度は、手近に生えている木の小枝を目標に、真空で切断するイメージだ。


「鎌鼬!」


 小枝がぽとりと落ちる。

 【ウィンドカッター】の廉価版ってとこだが、これは魔法書には載ってなかった全く新しい魔法だ。



 俺はベッドに腰掛けながら、この事の意味を考える。


 これは多分、この世界の魔法の概念を変えかねない。

 それはそうだ。

 今まで高い金を払って魔法書を買う、ないしは魔物から危険と引き換えに、苦労して覚えた魔法だ。

 しかしそれは、多少のヒントにはなるが、イメージ作りに成功さえすれば、そもそも必要の無かった過程だ。


 ひょっとしたら、この事はエルフ族のように、魔法に特化した種族ならば既に知っていることなのかもしれない。

 だが、そんな話は聞いたことが無い。


 まあ、当然だな。

 戦争等に利用されたら、この世界のパワーバランス、そして、枠組みまでを覆しかねない事だ。


 これは、絶対に広めてはならない!



 俺は知恵熱が出たのか、その晩はそれで寝入ってしまった。


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