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22歳♂ 何故か女の体に転生しました。  作者: BrokenWing
第一章
6/99

勇者開放ギルド 1

やっとこ戦闘シーンです。

主人公、やはりチートでした。


少し手直ししました。

    勇者開放ギルド 1



 周りを見回すと、木々に囲まれた、半径20mくらいの円形の草地だ。

 状況を理解しようと戸惑っていると、俺の前方10mくらいのところが丸く光る。

 目を奪われた先には、茶髪のメイド服。


「これは、いったい・・・? おい、説明して貰おうか!」


 クレアが俺の目前まで駆け寄って来て、ミレアもその横に立つ。


「おい!」


 いきなり2人が跪いた。

 クレアが顔を上げる。


「突然の不作法、申し訳ございません。」

「いいから説明しろ! まず、お前らの所属は?」

「私共は、勇者開放ギルド。勇者近衛様、失礼ながら、保護させて頂きましたわ。」

「保護って・・・。俺はあの皇帝の側にいる限り、そうそう危険な目には合わないと思っていたけど? ってか、この状況、どう見ても拉致だろ?」

「そうなりますわね。勇者様を拉致したのは事実。しかし、何処から説明したらよろしいかしら・・・」


 クレアはそう言って隣のミレアの顔を見る。

 俺は覚悟を決めて、その場に座る。胡坐を組んで、二人を交互に睨む。


  二人が顔を見合わせて困った様子なので、こちらから切り込む。


「それで、この場所は?」

ミレアが答える。

「帝都から南西に5kmほど離れた森の中です。」

「え? じゃあ、魔物とかうじゃうじゃ居る? 今、安全?」

「魔物は、はい、居ますね。でもこの近辺の魔物はそれ程強くありませんので、私共でも対処できます。」

「一応安全と・・・では、勇者開放ギルドとは?」


「勇者開放ギルドとは、勇者様を本来の目的、ダンジョンに挑んで頂く為に支援する組織です。近衛様も勇者様の立場は承知しておられたようですが、僭越ながらまだまだ認識が足りません。」

「なるほど、あそこに居たら、俺は人間兵器として飼殺されたという訳?」

「はい、皇帝の言った事に明白な嘘はありませんでしたが、近衛様がある程度の力を付けられたら、何某か理由を付けて、精神的に拘束していたでしょう。」


「具体的には?」

「4年前に召喚された勇者様は召喚と同時に奴隷にされかけ、奴隷化は失敗したのですが、その後、逃亡なされました。」

「げ! 勇者を奴隷にって、凄い発想だな。ってか奴隷制度あるんだ。」

「この世界では奴隷制度は一般的です。金に困って子供を売るのは良くあることです。ただ、奴隷にするには基本的に本人の承諾が要ります。承諾が無くても魔力の低い者はできますが、勇者様の場合は魔力が高かったので失敗したのでしょう。勿論この話は非公式です。」


「他には?」

「2年前の勇者様は、ある程度の実力を付けられたところで、無理矢理皇女と結婚させられそうになりました。勇者様が断ったところ、キレた皇女に毒を盛られたので、這う這うの体で逃亡なされました。」

「う~ん、じゃあその2人が死因不明って人達か。国からしたら、逃亡=死んだも同然ってことか。カサードさんは、さっきの感じでは割と好印象だったけど、その2人の話が本当なら、この国、かなり腐ってるな。」

「はい。それでも、あの皇帝は他の王に比べれば、まだ分別がある方です。ですが、決して気を許されないがほうが宜しいでしょう。先程も子供が出来れば人質にできる、くらいの思惑はあったはずです。ですが、男性に戻るという枷で暫くは大丈夫ということでしょう。」


「後の2人は?」

「3年前と6年前に召喚された勇者様方ですね。私共の認識でもダンジョンから帰って来なかったというだけしか判りません。」


「じゃあ、ナガノさんは?」

「あのお方は別格です。長野様こそ最初にダンジョン最深部まで攻略されたお方です。7年前、この国で初めて召喚に応じてくださり、そして、数々の異世界の知識をくださりました。対外的にはこの国の勇者となっておりますが、あのお方を支配するのは誰にも不可能でしょう。」

「なるほど、食事や便所とかは彼女が普及させたのだろうな。女にとっちゃ死活問題か。」

「はい、長野様のおかげでこの国の衛生面と食生活は飛躍的に進歩しました。」


「ところで・・・あれ、何?」


 俺は立ちあがって、右手前方の茂みを指さす。

 そこには2mくらいの狼のような動物が居た。

 しかし、俺の知る狼とは大きく違う。

 色は青、6本の牙が口から大きくはみ出しており、そこに黒い靄を纏っている。


 二人は同時に立ち上がって振り返り、揃って手を虚空に突っ込んだ。手首から先が消えた。


「!!!」


 その手は何かを掴んで出てくる。

 虚空から出現したのは・・・

 クレアの右手にはチェーンフレイル。

 棒の先端に鎖がついており、その先に棘のついた直径30cmくらいの鉄球。

 ミレアの左手には大きな盾。


「魔物です! フォートウルフ! 近衛様は私の後ろに!」


 ミレアが叫ぶと同時にクレアがその狼もどきに突進する!


 呆然と立ち尽くす俺の前に、ミレアが割って入る!


 狼もどきもこっちに突進してくる!


 クレアの右手が大きく振られる!


 狼もどきが飛び上がって大きく口を開けた瞬間、クレアの鉄球がその開いた口に直撃した!


 何本かの牙が折れ、飛び散る!


「グ・・ガ・・」


 狼もどきが悲鳴を上げ、地面に崩れ落ちると、目の前でミレアが叫ぶ。


「とどめ! ファイアショット!」


 ミレアの右手人差し指から直径20センチくらいの炎の玉が弾き出され、魔物の顔面に直進する!

 

 魔物の顔が炎に包まれ、一瞬体をひくついかせた後に動かなくなった。


「やったか?」


 フラグを立てた瞬間、俺は背後にヤバイ気配を感じた。


「後ろ! 近衛様!」


 俺が振り返ると俺の前方に大口が迫る。さっきと同種のフォートウルフのようだ。


「アクアダーツ!」


 斜め後方から、5本くらいか? 10cm程の透明な矢がその大口に突き刺さり、真っ赤な血をまき散らす。

 が、突進は止まらない!


「うんだらぁ~~!」


 思わず俺は右拳を握ってその鼻先にぶちかました!

 

 拳を通して相手の骨の砕けた感触が伝わる。

 自分の右手の痛みを覚悟したが、少し痛い程度。これも勇者補正か?


「ギャン!」


 体を丸めて地面をのたうつ魔物に、殴った勢いそのままに突進する。


「あれ?」


 俺はいきなりバランスを崩した。

 ハイヒール! 邪魔!

 

 顔面から魔物に突っ込みそうになる。

 ヤバ! と、思った瞬間、身体が勝手に反応した。

 

 咄嗟に身体を捻りこみ、目前に転がっている魔物の頭に左肘を打ち下ろす!


 すると、当たり所が良かったのだろう、魔物は先程と同様、一度ピクッとしてから動かなくなった。

 ヒールを脱ぎ捨てて立ち上がった俺に、二人が口元を吊り上げながら駆け寄ってくる。


「あらあら、流石は勇者様ですわ。惚れ直しましたわ。」

「ちっこい身体のくせになんて力なのですか? これからは昨日のように行きませんね。」


 ちっこいって・・・なるほど、俺の身体は多分150cmくらいだろう。

 しかし、傍から見ていたら、美少女が2mの狼をぶん殴っている様は、さぞかし凄まじい光景だったろうに。


 そして、それ見て欲情するこいつらのほうが怖いわ!


「とにかく、守ってくれてありがとう。あと、変態はもういい! 全く余計なスキル付けやがって!」


 二人とも一瞬上を向いてから、にこやかに返してきた。


「当然のことをしたまでですわ。しかし・・・、あらあら、そういうことですのね。嬉しいですわ。」

「遂に勇者様にも・・・期待してしまいます。魔物はまだ来るかもしれません。早めに移動しましょう。」


 全くこいつら・・・ブレないな。


「ところで、さっきのは何? 何もないところから武器を出したようだけど?」

「あら、アイテムボックスですわね。魔法の倉庫とでも言いましょうか? 私達の場合、200kgくらい収納できますわ。」

「アイテムボックスは念じるだけで出し入れ自由です。少し気力を消費しますが。」


 そう言って、二人は武器と盾をそれぞれ虚空に仕舞い込む。代わりにコートを取り出した。


「なるほど、便利そうだな。俺にも使える?」

「アイテムボックスは媒介となるものが無いと使えませんわ。私共はこの指輪ですわ。」

「あと、その媒介を魔道具と呼び、身に着けるとスキル扱いになり使用できます。」

「そうなのか・・・。移動するって言っていたけど、歩きやすい靴が欲しい。何とかできる?」

「そうですわね。では、こちらをどうぞ。そちらはお預かり致しますわ。」


 俺がクレアにハイヒールを渡すと、アイテムボックスから可愛らしいサンダルを出して俺に渡した。


「ありがとう。これなら何とかなりそうだ。」

「後、こちらもどうぞ。」


 ミレアがアイテムボックスからコートと帽子を出した。


「流石にこの格好では目立ちすぎますので。あ、少し待ってください。」


 俺がコートを着て帽子を被ると、二人はそれぞれ、倒した2体の魔物の側で、ナイフを出してごそごそしている。


「何してるの?」

「魔核を回収しているのですわ。本当は丸ごと持って帰りたいのですが、アイテムボックスに入りきらないのですわ。」

「魔物は必ず魔核を持っています。そして、魔核は高く売れます。魔物の身体も売れますが、解体する時間が無いようですので。」


 二人は回収した魔核を見せてくれた。

 直径20cmくらいの球状で、ごつごつした感じ。

 一見真っ黒だが光を通すのだろう、中心部がぼんやり赤く光っている。

 二人は魔核をアイテムボックスに入れると、すぐに戻ってきた。

 

 クレアの右手が俺の手を握り、ミレアを抱き寄せる。すると、クレアの左手が光った。


「テレポート!」


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