51階層
51階層
51階層、俺は早速【シースルー】の魔法を使う。
ん? 魔物のパターンが変わったな。
今までは、端数が1か2の階層では1種類しか居なかったのだが、2種類居るようだ。
危機感知レーダーでも、大きさの違う赤点が表示される。
「気をつけろ! 次の小部屋には2種類居る。一体は3mくらいありそうな骸骨の化物、もう一体は人型、20階層のレッドウィッチに似ているが、真っ黒で大きな角が1本だ。」
「「「「はい!」」」」
うん、この魔法は使える。
消費気力が50と激しいが、一度確認してしまえば、あまり使う事も無いし、今の俺の気力なら問題無い。
俺は遠見の魔法、【ファーサイト】も併せて使い、この階層の全魔物を確認する。
うん、この2種類だけだ。
ん? これは便利だな。
この階層の迷路のような地形が全て分かる。
マッピングも併せると、下へ続く通路までの道順が一発で分かった。
「解除!」
俺は【シースルー】をカットする。
これをしておかないと、壁が透けて、歩く時、何が何やら分からなくなるのだ。
「多分、骸骨は今までのパターンから、力押しだろう。問題は人型悪魔の方だな。厄介なスキルとか使ってきそうだ。先ずは人型の攻撃パターンを見極めたいので、骸骨から先に倒そう。」
「そうね。用心の為に、強化しておく?」
「ああ、勿論だ、全員に攻撃力アップと防御力アップを頼む。クレアはカレンに【アイスガード】を頼む。」
「じゃあ、行くわよ。ブースト!」
リムは慣れてきたようで、一度の魔法で複数人選択できるようになっているようだ。
うん、流石はリムだ!
「カレン、行きますわ。アイスガード!」
「クレア、どうもっす!」
「次! プロテクト!」
俺達の身体が淡い赤と黄色に明滅する。
カレンには青白い光も加わっている。
この光が消えると、効果も終了だ。
時間は約30秒なので、それまでに決めたい。
援護魔法の効果を知りたいので、俺はステータスを確認してみる。
攻撃力:551+20+193
防御力:547+45+193
この+193という数字が魔法で上乗せされた値だろう。
しかし、+193って、リムの魔力のせいだろうが、凄いな。
「行くぞ!」
俺達は、カレンを先頭に次の小部屋になだれ込む!
「挑発! こっちっす!」
「ハイスタン!」
初見の相手なので、用心して俺以外は魔法は使わない。
もし反射の魔法とかを使われたらもろに喰らうからだ。
俺の【ハイスタン】だけなら、跳ね返されても俺しか喰らわないし、数発くらいの攻撃なら俺も耐えられる自信がある。
俺のハイスタンは骸骨の化物に決まったようで、大きな剣を振り上げたまま、硬直した。
「スリープ」
ん? 人型の方が何か唱えた。
いきなりカレンが倒れる!
ヤバい!
何か知らないが喰らいやがった!
ここで骸骨のハイスタンが切れ、そのままカレンに襲い掛かって来る!
「リム! 人型任せた!」
俺はそう叫んで骸骨に突進する!
当然、クレアも既に向かっている。
「ボルケイノ!」
俺の横を特大の火球が通り過ぎる!
ミレア、ナイス!
火球が骸骨の頭に当たる!
だが、振り降ろされる剣の軌道は変わらずカレンだ!
「させませんわ!」
クレアが槍を突き出して、剣とカレンの間に割り込ませる!
間一髪!
カレンは無事だった。
しかし、無理な態勢で防いだせいか、クレアの槍が曲がってしまっている。
凄まじいパワーだ。
「ならば!」
俺は骸骨の足を払う!
見事に決まって、骸骨はすっ転んだ!
「よし! 畳み込む! 人型は残しておけ!」
「「「はい!」」」
俺はまだ燃えている骸骨の頭を思いっきり蹴った!
ん? 頭、どっか行ったな。
胴体だけになった骸骨は動かなくなった。
人型の方がカレンに突進してきたが、横からリムに暗闇効果の杖でどつかれる!
うん、暗闇効果も決まったようだ。
右往左往してやがる。
「リム! クレア! 転がして、押さえつけておけ! ミレアは警戒!」
「「「はい!」」」
俺はしゃがみ込んでカレンの容態を確認する。
「うん、息はある! 外傷も特にない。これは・・・、寝ているのか?」
俺は引っ叩いて起こそうかと思ったが、せっかく覚えた魔法があることを思い出した。
「アブノーマルキャンセル!」
カレンがきょろきょろしながら起き上がる。
「え? あたい? あ! 魔物は?!」
「落ち着けカレン! お前はスキルを喰らって眠らされただけだ!」
人型の方を見ると、うつ伏せに倒され、クレアに踏まれてもがいている。
「スリープ」
ん? また唱えやがった!
今度は俺以外、全員倒れた!
最初の魔法はカレンの【挑発】が効いて、カレンのみを狙ったに違いない。
奴は暗闇状態なので、直接攻撃は無いはずだ。
しかし、これは厄介だ!
時間が惜しいので、カレンを軽く蹴飛ばす。
思った通り、すぐに起きた。
「カレン! そのまま耐性がつくまで待機!」
「はいっす!」
「アブノーマルキャンセル!」
今度はクレアに唱える。
「クレア! リムを頼む!」
「はい! アブノーマルキャンセル!」
俺はミレアに駆け寄って少し強めに揺さぶる。
うん、起きたようだ。
「全員、耐性がつくまでじっとしてろ!」
「「「「はい!」」」」
俺は自分のステータスをチェックする。
【睡眠耐性弱】
ま、いつものことだな。
しっかりゲットしていた。
クレアの槍を、スコットが作った沈黙効果のついた奴に持ち替えさせる。
他の魔法を唱えるようなら、それで完全に封ずるつもりだ。
後はいつも通りだ。
最初に耐性を獲得したのは、予想通りリム。
次にミレア、クレア、カレンの順だ。
現在、人型の魔物はロープでぐるぐる巻きにされている。
うん、俺達の耐性獲得の為に頑張って唱えてくれ。
しかし、時間が経つと、全く唱えなくなった。
ん? 気力切れか? 魔物でもあるのか?
「仕方無い。止めを刺してやろう。ん? その前に、こいつも試そう。」
俺は奴の使ってきた魔法を真似てみる。
寝るということは、精神に作用する魔法だ。
つまり闇魔法だな。よし!
「スリープ!」
奴の動きが止まった。
近寄ってみると、息はしているようだ。
これは成功だな。
軽く小突くと、起きたのか、必死にもがく。
「じゃあ、クレア、頼む。」
「はい!」
クレアの一突きで死ぬかと思ったが、数発かかっていた。
意外と耐久力もあるようだ。
魔核を取り出し、アイテムボックスに入れると、【???の魔核】と表示される。
骸骨の方は【ラージスケルトンの魔核】と表示された。
名前があるといことは、シスにも出ているのかもな。
「骸骨の方は、『ラージスケルトン』らしい。そして、この悪魔みたいのには命名タイムだ。次は誰がつける?」
「じゃあ、あたしがつけるわ。一本角なので、『ユニコーンデビル』でどう?」
「うん、いんじゃないか? だが、名前負けしてそうだぞ。」
「文句があるなら、アラタが自分でつけなさい!」
アイテムボックス内の表示が変わる。
「その角も素材になりそうだな。それも回収しよう。しかし、クレアの槍はどうしよう。一旦戻って修理に出すのがいいかな?」
「アラタさん、それ、あたいにやらせて欲しいっす。なんかできそうな気がするっす!」
ふむ、やるのなら、帰って地下室でやるべきか?
しかし、ミニ工房でやるので、何処でやっても同じ気もする。
一度戻るのも面倒だ。
「よし、じゃあ、今日は早いがここで休憩だ。俺とカレンは鍛冶スキルの勉強と実践。リムは魔法書、クレアとミレアは野営の準備を頼む。」
「「「「はい!」」」」
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