アラタの決意
アラタの決意
朝起きると、なんと、俺のベッドの横にソファーが置いてあり、美女軍団が3人仲良く寝入っていた。
ふむ、俺を夜中に口説こうとした結果、全員同じことを考えており、お互いを牽制したと見るべきか?
しかし、この状況はやはり不味い。
これではお互いが辛い。
解決策は簡単だ。
俺が彼女達と寝ればいい。
俺だって、全員好きだ。愛している。押し倒したい!
だが、このスコットの身体で彼女達を抱いていいものだろうか?
彼女達は気にしないと言っていたが、スコットが許してくれるだろうか?
俺は悶々としながら、ベッドに腰掛け、彼女達をじっと見つめる。
皆で朝食を部屋で取りながら、今日の予定を話す。
「じゃあ、昨日も話したが、今日は家探しだ。それが終わったら、リムの誕生日プレゼントを皆で選ぶ。それでどうだろう?」
「それがいいですわ。好みとか教えて欲しいですわ。」
「やはりアクセサリーとかですかね~?」
「やっぱ、武器屋っす! それしかないっす!」
「お姉様方ありがとう。でも、あたしが欲しい物はもう決まっているの。」
「ふむ、決まっているなら、教えてくれ。皆でそれを買いに行こう。」
「いえ、物では無いの。あたしは今まで、勇者近衛の裏、そしてお姉様方の所有者、という立場で振舞っていたわ。だから、横柄な口も利いたし、『リムさん』って呼ばれても、仕方無いと思っていたわ。でも、アラタ、もういいわよね? だから、その、あたしのことを妹のように接して欲しいの。今のあたしが欲しいのはそれだけ・・・です。」
「ええ、お姉さんに異論はありませんわ。リムちゃん。」
「いつも私が妹で、その私に妹が出来るとは思わなかったですけど、嬉しいです。うん、リムちゃん、新鮮です。」
「あたいはもっと強くなるっす! そしてリムちゃんを守るっす!」
「お姉様方、ありがとうございます。ふつつかな妹ですが、宜しくお願いします。」
ここで俺は気付いた!
いつも毅然とした態度で居たリムを、俺は、貴族の娘だからくらいに思っていた。
しかし、彼女は精一杯の去勢を張って居たのである。
勇者としてのリム、同時に奴隷の主人としてのリム。
それは俺が背負っていた物を、彼女が一緒に背負ってくれていたという事に他ならない。
俺はリムを抱きしめたくなる衝動を必死に堪える。
「リム、俺が取り憑いたせいで、本当に苦労をかけたな。済まない。俺は馬鹿だった。今まで、お前の気持ちを察してやることが出来なかった。」
クレア、ミレア、カレンがきょとんとして俺を見る。
俺はソファーから立ち上がって、全員を見回す。
「俺がスコットの身体に乗り移るのに成功した結果、リムは勇者という責務からは解放された。しかし、リムは依然として奴隷の主人のままだったんだよ!」
リムが泣きそうな顔で俺を見る。
「昨夜のリムの申し出、あれは奴隷の主人という立場からも解放してくれ、という意味だ! しかし、俺はそれを無下にしてしまった! リムはそれでも健気に俺の我儘を聞いてくれたんだ!」
リムが俺に抱きついて来た!
「アラタ! あたし・・・あたし・・・頑張ったわ!」
彼女は泣いていた。
俺ももう我慢できない!
思いっきりリムを抱きしめ返す!
「俺はやはり甘えていた。勇者として召喚され、チートな能力を得た俺なのに、背負うべきものから逃げていた。だが、お前達に気付かされた! 俺は俺を信じてくれるお前達を全力で背負う! これは当然の、俺の義務だったんだ!」
俺はリムの頬を拭ってやる。
「リム! 昨日の言葉に嘘は無いな?」
「ええ! ええ! アラタ! あなたの為に尽くしたい!」
「分かった、じゃあ、後で奴隷商に行こう。そこでお前を俺の奴隷にする。構わないな?」
「はい! あたしをあなたの奴隷にして下さい!」
「じゃあ、俺は誓う! クレア! ミレア! カレン! リム! 俺はお前達の主人であることに誇りを持つ! そして、お前達を必ず幸せにする!」
全員が俺に抱きついて来る!
俺は両手を広げて4人纏めて抱きしめる!
俺達は朝一で奴隷商の下を訪れる。
怪訝な顔をする主人だったが、気にせずリムの手続きを済ませる。
「ところで、ご主人、俺が死んだ後、この奴隷達はどうなる?」
俺は、彼女達が路頭に迷うものと思っていたが、ひょっとしたら抜け道があるかもしれない。
「あ~、そいつはね、あんちゃん、何もしなけりゃ、奴隷は最初に見つけた奴のもんだ。」
「ふむ、それは聞いた通りだな。だが、何もしなけりゃってのは?」
「あ~、遺言というか、但しを付ければいい。例えば、持ち主の死後、解放するとかだ。当然、うちで手続きしてやるよ。」
「なんだ、あるんじゃないか。」
俺は皆を見渡したが、皆知らなかったようで、微妙な顔をしている。
このシステムを知っていれば、リムを泣かせずに済んでいたのだ。
もっとも、彼女を奴隷にしたくないという、俺の甘えが悪かったのだが。
「じゃあ、頼む。ここにいる全員、俺の死後、奴隷から解放されると、但しをつけてくれ。」
「手数料はかかるが、いいか?」
「勿論だ。」
俺は言われた金額を支払う。
奴隷商は、奴隷の登録台帳のようなものを出し、彼女達のステータスを控えていく。
カレンの番で手が止まった。
「あ~、あんちゃん、ちょっと待ってくれ。この亜人の女は無理だ。犯罪人の奴隷だからな。この女の場合、刑期は3年だな。その間は譲渡はできるが、解放は出来ない。」
「ふむ。じゃあ、但しに、俺の死後、リムリア・ゼーラ・モーテルに所有権が移ると頼む。カレンもそれでいいな?」
「あいよ。」
「リムちゃんならあたいも大歓迎っす。」
「リム、済まないが、これくらいは我慢してくれ。」
「分かりました、アラタさん。でも、死なないで下さいね。」
「ん? 何だその言葉遣いは?」
「主人に対する当然の言葉遣いです。」
「う~ん、調子が狂うからやめてくれ。今まで通りで頼むよ。お前を特別扱いはしないが、やはり一番長い仲だしな。」
「仕方ないわね、アラタ。これでいい?」
「ああ、問題無い。お前達も俺のことは呼び捨てでいいぞ。」
「いちゃついてるとこ済まないが、終わったよ。時間があるなら、うちの奴隷も見てくれよ。」
「いや、今日は予定がある。また次の時にでも。」
少し気まずくなって、俺達はそそくさと奴隷商を後にする。
俺への呼び方は、3人共、もうこれで慣れたから、今までのがいいと断られた。
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