オークション
謹賀新年
今年もよろしくお願いいたします。m(_ _"m)
矛盾があったので、少し、数字だけですが、訂正しました。
オークション
「あ、そうだ。忘れていたが、アイテムボックスをくれ。スコットのを使わせて貰おう。やはり、あれが無いと不便だ。」
リムがすぐに指輪を俺に手渡してくれた。
準備してくれていたのだろう。
「あの中身は安心してね。皆で手分けして持っているわよ。」
「うん、ありがとう。早速登録しよう。」
俺が指輪に気力を込めると、簡単に登録は済んだ。
ステータスを確認すると、アイテムボックス58と表示される。
ふむ、まだレベルが1だしな。最大60キロ弱か。
でも、無いよりはマシだ。
ダンジョンに潜ればすぐに1トン以上持てるはずだ。
「じゃあ、はい。これくらいはアラタが管理しなさい。」
リムは革袋を差し出した。
中を確認すると、白金貨と金貨だった。
「これも安心してね。全員、金貨10枚くらいは持って貰っているから。」
なんか優秀な秘書を持った感じだ。
彼女が日本に来れば、その美貌も相まって、引っ張りだこだろう。
「それじゃあ、皆も無事に帰って来たことだし、今日はあのホテルで飯を食おう。ここの食事も美味いが、たまにはいいだろう。俺の体調ももう完全だ。それに、したいこともあるしな。」
「アラタ、したいことって、その・・・。いいわ。覚悟はできているわ!」
「アホ! 勘違いするな、リム! そろそろ拠点、家が欲しい。その為には金だ。オークションに参加したい。」
俺は何よりもスコットの工房を引き継ぎたかった。できれば本格的に。
しかし、城のあの部屋では無理だ。
カサードに言えばスペースを貸してくれるだろうが、それだと後々面倒なことになりそうだ。
現在俺の手持ちはスコットのを合わせて、白金貨にして20枚はある。日本円なら2000万くらいか?
しかし、この世界の不動産の相場は知らないが、家ともなれば、これでは流石に足りないだろう。
「それはいい考えですわ。城の中では色々と気を遣いますし。オークションなら多分、今晩開かれますわ。」
こいつもきっと変な妄想をしているのだろうが、とにかく今晩と言うのはラッキーだ。
もし今日が無理でも下見だけはできる。
俺達は急いで部屋に散らかっていた物をアイテムボックスに放り込んで行く。
途中、リムが何か言いたそうだったが、後回しだ。
部屋を出ると、やはりヤットンが居た。
いつも、見張りというか雑用というか、仕事とは言え、その真面目さには頭が下がる。
「今晩は、ヤットン。丁度良かった。今からオークションとやらに行ってみたいのだが、案内できるか?」
「はい、そのお身体は勇者近衛様でよろしいのですね。ご無事で何よりでした。勿論ご案内できます。」
「ああ、済まない。このスコットの身体では初めてだったな。リムから、ある程度は聞いていると思うが、スコットは死んだ。そしてその身体を俺が貰い受けた。そういうことなので、これからも宜しく頼む。」
スコットの死因とかを聞かれると思ったが、ヤットンは黙って案内してくれた。
外は暗くなっていたが、丁度時間が良く、後1時間程で出品登録が締め切られ、2時間後に開催とのことだった。
途中、ミレアにこの世界の不動産の価格を聞く。
リムに聞いたら、彼女はあまりそういうことは知らないようだ。
まあ、15歳の子供だしな。
ミレアによると、一般的な家、家族4人くらいで住む家なら、土地付きで白金貨10~20枚程度らしい。
貴族とかの屋敷になると流石に高い。
場所にもよるが、それでも白金貨50枚くらいだそうだ。
ふむ、日本の田舎の相場かな?
贅沢を言わなければ、今の手持ちで充分買えそうだ。
しかし、せっかくなので、オークションには参加して見たかった。
「こちらでございます。そこの受付で手続きして下さい。」
案内されたのは、冒険者ギルドの地下だった。
これならヤットンに頼まずとも、俺達だけで来られたな。
まあ、彼がついて来るのは間違いないので、結果は一緒か。
だが、ヤットンが居てくれると、この世界の常識に疎い俺に、何かと助言をくれるので非常に助かっている。
「初めての参加ですね? では、こちらで登録致しますので、ステータスをお見せ下さい。」
俺は少し迷ったが、職業の貴族を外し、勇者だけにして、受付の女性に見せた。
これから出品するのだから、勇者の看板があるほうが有利だと思ったのと、貴族とかはなんか恥ずかしかったからだ。
「え? 勇者様ですか? あの、失礼ですが、女性と伺っておりましたが。」
「う~ん、話すと長くなるので勘弁して欲しいのだが。一応この国の皇帝も認めてくれているし。」
面倒なので、カサードの威を借りる。
これ以上聞かれたら、カサードの印のある、子爵授与の証くらいしか証明手段が無い。
「は、はい。申し訳ございません。アラタ・コノエ様ですね。登録完了致しました。それで今日は出品、入札、どちらが宜しいですか? 勿論両方可能ですが、オークションへの入札でしたら、保証金として金貨1枚が必要です。ただし、一度でも入札されますと、その保証金は返却致しますので、ご安心ください。」
ふむ、冷やかし防止のシステムのようだ。
ひょっとしたらいい出物があるかもしれないので、入札にも参加してみよう。
俺は金貨を1枚、カウンターに出す。
「両方だ。」
「かしこまりました。それでは何を出品なされますか?」
「おい、リム、頼む。まだ名前は付けてないよな?」
「当然よ。でもいい判断ね。名前が無い方が絶対に高く売れるわ。」
「いや、たまたまだ。あれから、それどころじゃなかったし。」
「2体あるけど、どっちがいい?」
「どうせ魔核は同じだろうから、綺麗なほうを頼む。」
「じゃあ、アラタが仕留めたほうね。お姉さん、ちょっと下がっていたほうがいいと思うわ。」
リムはそう言って、アイテムボックスから、カウンターに50階層の主の死体を置いた。
結構広いカウンターだったが、いっぱいだ。
「ひっ! え、えっと、これは?」
「驚かせて済まない。トロワのダンジョンの50階層の主の死体だ。当然、魔核もついている。更に命名権も込みでの出品だ。」
「か、かしこまりました。しかし、これは凄いことになりそうです。出品は以上でよろしいですか?」
40階層のダブルジャイアンで白金貨25枚だ。
豪邸でも望まない限り、これ一体で充分だろう。
「ああ、今日はこれだけだ。」
「では、1時間半後に開催です。代金のお引き渡しは、オークション終了時になります。なお、落札価格の2割を手数料として頂きますのでご了承下さい。」
「承知した。じゃあ、開始まで飯を食おう。」
俺達はオークションの受付を後にし、階段を上る。
俺は冒険者登録も済ませたかったので、ついでにやっておく。
ここでは、以前の受付嬢も連中も居なかったので、すんなり登録できた。
俺達はその後、例のホテルに直行する。
俺は、あの魚料理が食べたかったので、迷わず注文した。
うん、今日のも美味い!
カレンとリムは肉料理のほうが好みのようで、1kgくらいありそうな、この世界での牛肉のステーキをぺろりと平らげていた。
カレンは納得できるのだが、リムは一体何処に入っているのだろう?
俺はそんなに食わなかったぞ?
ちなみに、ヤットンも誘ったら喜んでついて来た。
カレンと冒険者談義で楽しんでくれたようだ。
「さて、オークションか、なんか緊張するな。」
「私も参加するのは初めてです。いい値で売れるといいですね。」
「ミレア、アラタさんが狩った魔物ですわよ。絶対に高く売れますわ!」
「あたいの狩っていた魔物じゃ、出品できなかったっす。」
「アラタ、高く売れたら、あたしは庭付きの新居がいいわ。」
若干一名、何か変な事を言っているのが居たが、まあいい。
会場はなんか殺気立った雰囲気だ。
受付の話では、俺達の出品の噂が一気に広まったらしい。
普段の倍以上の入りとのことだった。
会場に入る時に、俺達は今日の出品リストを貰っていた。
ふむ、この世界には割と高度な印刷技術もあるようだ。
ミレアに聞くと、魔法の応用らしい。便利なものだ。
ちなみに、50階の主の入札は最後になっている。
本日の目玉ってところだろう。
出品された物には1つを除いて、後はそれ程興味が湧かなかった。
興味があったのは、ブルーイーターの小手:攻撃力+10 防御+10
と言うものだ、性能自体は大して良くない。
しかし、但し書きに、あと2つ魔核が付与できると書いてある。
スコットが居れば絶対に買いなのだが、今は誰も魔核を付与できない。
俺が出来るようになればいいのだが、その保証が無い。
しかし、帝都の工房に持ち込めばやってくれそうな気がする。
「カレン、工房で魔核の付与とかできるか?」
「職人の腕次第っすね。サラサの工房じゃ、失敗はざらっす。だから何処も、失敗しても構わないなら、って条件でしか受けないっす。」
「ふむ、悩むな。こいつなんだが。」
「2個付与できるって奴っすね。かなりの技術が要りそうっす。」
「そうか、ありがとう。じゃあ、安ければ買いでいいか。」
そう言っているうちに、その商品の番が来た。
「次はブルーイーターの小手、金貨10枚からお願いします。単位は10分の1です。」
このオークションのルールは、このような場合だと、ビット(入札)し続けると、毎回金貨1枚吊り上がる。
そして、最後の一人になるまでビット札を上げ続ければ買えるという、単純なものである。
「それでは金貨10枚から、開始です。」
俺は黙って、受付で貰ったビット札を上げる。
予算は倍の金貨20枚くらいだな。
これ以上高くなるようなら降りるつもりだ。
「11枚」
見渡すと、俺以外にも5人くらいがビットしていた。
「15枚」
何人か降りたようだ。
「18枚」
ふむ、あと一人か。
「20枚! はい、決定しました! 今、係の者が参りますので、そのままでお願いします。」
どうやら競り勝てたようだ。
やはり、リスクの高い物だったということか。
黒服の男が俺のところに来て、引換券を渡し、俺の番号を控えて帰る。
それからも順調にオークションは進み、遂に俺達の番だ。
「え~、次の出品は、出品者は勇者近衛様。品物はこちらの魔物の死体とその命名権! トロワのダンジョンの50階の階層主とのことです!」
普通、こういう場所では出品者の名前は伏せるのだが、今回は信用を付ける為にあえて公表させた。
未知の魔物は確かなのだが、何処で取れたかは証明できないからだ。
勇者の肩書なら、信用度は高いだろう。
「では、白金貨10枚から! 単位は5分の1です!」
ふむ、毎回、白金貨2枚吊り上がる計算だ。
日本円なら1000万からの入札にも関わらず、結構な数のビット札が上がる。
これは期待できそうだ。
「12枚!」
誰も引かない。
どんどん吊り上がっていく。
「20枚!」
流石に数が減ったようだ。
札の数に反比例して、ため息の数が増える。
「26枚!」
ここらへんまで来ると、もう残っているのは10人も居ない。
「30枚!」
俺としてはもう十分な金額だ。
こんな物にそこまでの金を出す奴の気がしれない。
しかし、考えてみれば、これはスコットの命と引き換えに手に入れた物でもある。
あまり安いのも嫌だな。
「36枚!」
残っているのは3人か?
そろそろ決着が着きそうだ。
「42枚! はい、決定しました! 今、係の者が参りますので、そのままでお願いします。」
俺は最後に競り勝った奴を見た。
仮面を着けているので、誰かは分からないが、何かひっかかる。
すると、そいつは勝鬨を上げた。
「ふぉっふぉっ、儂の勝ちじゃな。」
「「「「「ぶっ!」」」」」
俺達は一斉に吹いた!
あの喋り方、あいつしか居ないだろ!
カサード! こんなところで国費を無駄遣いしてどうする!
まあ、おかげで儲かったがな。
ありがたく、住宅購入資金にさせて頂きます。
俺達は会場を後にし、受付で清算を済ませた。
ブルーイーターの小手を受け取り、アイテムバッグに仕舞う。
差し引きで白金貨31枚と金貨6枚。
手持ちも合わせると、50枚くらいの勘定だ。
これだけあれば、いい家を買えそうだ。
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