表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22歳♂ 何故か女の体に転生しました。  作者: BrokenWing
第二章
47/99

リムの決意

       リムの決意



 俺は今、身体の痛みも幾分薄れたので、ベッドの上に上半身だけ起こしている。

 どうやらここは城の中の、以前から俺達にあてがわれている部屋のようだ。

 

 ベッドの下には、3人の美女軍団が正座中だ。

 リムは止めていたので、この列には居ない。ベッドの俺の足元に腰掛けている。

 

 改めてリムを見ると、やはり凄い美少女だ。

 スコットが、彼のストライクゾーンとやらを外しているのにも関わらず、惚れてしまったのにも納得だ。

 俺がこんな少女の姿をしていたのかと思うと、世の中の男性に申し訳ない気がする。


 ん? 流石にガン見し過ぎたな。

 目を逸らされてしまった。



「しかし、お前等、全く懲りないな~。大体、クレア、ミレア、お前等はそっちの趣味じゃなかったのか? それに、これはスコットの身体だぞ? 違和感とか無い?」

「そ、その、女性同士でのそれは、ただの欲望発散ですわ! 私はノーマルですわ!」


 それを世間一般じゃ、変態とか、二刀流とか言うのだがな。


「それに、問題は中身ですわ! 確かにスコットちゃんの身体ですが、魂がアラタさんだと思うと、その、我慢できないですわ!」


 あ~、もういい。

 だが、気持ちは嬉しい。


「わ、分かった。できればその発散は二人きりの時に頼む。リムも居るしな。彼女にはまだ早い。」


 リムは顔を赤くして、そっぽを向いた。


 俺は、次にミレアに視線を向ける。


「私も、お姉様と一緒です。できればもっときつめに叱って下さい。」


 こいつもか。

 しかも変態に輪をかけている。


「お前も気持ちは嬉しいのだが、俺にそっちの趣味は無いので、期待はするな。次、カレン。」


「確かにスコットさんの身体なんで、違和感はあるっすけど。あたいも、やもめが長いっすから。」

「ん? お前はサラサの冒険者にはモテモテだったろう? スコットには悪いが、俺はこの容姿では、お前に釣り合う自信が無いぞ。」

「あたいより弱い奴には興味ないっす。なので、前にも言ったように、あたいの主人はアラタさんだけっす。」


 はい、強さが基準なんですね。納得しました。

 

「まあいい、なんかもう慣れた気もするし。それで、色々聞きたいことがある。まず俺は何日寝ていた?」



 長くなりそうなので、彼女達にソファーを移動させ、ベッドに正対させてそこに座らせる。

 そして、じっくり話を聞く。


 話を聞くと、俺は5日間寝ていたようだ。

 水分は、クレアが俺の胃の中に魔法で補給してくれたらしい。

 ちなみに、俺は寝ている間に粗相もしっかりしていたようで、その世話も彼女が見てくれたとのことだ。

 本当に頭が下がる。


 俺の魔法が成功したかを、どうやって確認したのかが疑問だったが、リムが人物鑑定スキルで確かめたとのことだ。

 また、リムも俺が出て行った結果、数日倦怠感に悩まされたそうだ。

 ステータスが半減したのが原因らしい。


 俺も自分のステータスを確認してみる。


氏名:アラタ・コノエ 年齢:22歳  性別:男

職業: 勇者

レベル:1

体力:563/482

気力:544/467

攻撃力:551 -78

素早さ:572 -81

命中: 594 -84

防御:547 -78

知力:588 -84

魔力:584 -80

魔法防御:565 -81

スキル:言語理解5 交渉術4 危機感知5 人物鑑定3 マッピング

格闘術5 剣術3

回復魔法5 火魔法5 闇魔法5 風魔法3 時空魔法3

毒無効 麻痺無効 暗闇無効 沈黙無効 混乱耐性大



 なるほど、これは多分、リムの身体に居た時のステータスの半分が、生前のスコットのステに上乗せされたと考えるべきだろう。

 転移した身体がスコットのものだったことで、ステは同居時代よりもかなり減ったが、それも最小限と言えるだろう。

 一般人に乗り移っていたら、もっと下がったはずだ。

 

 身体の節々が痛いのにも納得だ。

 上限値が実際の値にまだ追い付いていないのだ。

 今は身体が変化している最中だな。


 スキルは俺が使っていた物は、そのまま引き継げたようだ。

 だが、全く使っていないスキル、社交術とか、家事とかはついていない。

 また、生前スコットが得ていた物も当然無い。

 俺は、鍛冶師スキルには未練があったのだが仕方無い。


 そして、何よりも嬉しいのは、あの変態スキル、【特殊性癖】が消えたことだ!

 まあ、女同士というので、憑いたのだろうから、今の俺には関係ない。

 リムには置き土産になっているかもしれんがな。

 いつか、確認してやろう。


 後、職業が勇者だけになっている。

 ふむ、貴族はリムの固有の物で、冒険者もリムの名前で取ったからだろう。

 リムと同居中は便利に弄れたが、これは取り直す必要があるな。

 そう考えると、リムの今の職業は勇者が消えている状態か。


 レベルも1からやり直しだが、これは嬉しい誤算だ。

 最初のうちはパワーレベリング状態で、それこそチートな速度でステと併せて伸びるだろう。



「なるほど。そういう訳か。理解したよ。皆、世話をかけたな。ありがとう。」


 皆、照れ臭そうにする。

 彼女達にとっては当たり前のことかもしれないが、やはり嬉しい。


「それで、ここからが本題だ。リム、いや、リムリア・ゼーラ・モーテル、これからどうする? 俺とお前の共通の問題は、スコットによって解消された。お前は自由だ。家族とか、帰らなくていいのか?」


 貴族という肩書がある以上、彼女には爵位持ちの家族が居るはずだ。


「それは・・・、アラタ次第よ! あたしに帰る家はもう無いから。」


 やはりか。

 彼女があそこで召喚用の死体として扱われていたことを考えれば、何となくだが、リムの境遇は想像できる。

 

「何か不味いことを言ったようで済まない。だが、俺次第とはどういう意味だ?」

「そのままよ。アラタも目的は達成したのでしょう? あなたこそどうするの?」


 確かに俺は男の身体になること以外は考えていなかった。

 ダンジョンに潜っていたのも、レベルアップさせて自分を守ることと、ウルベンの助言があってのことだ。


「特に考えていなかったな。だが、俺は引き続き、ナガノさんがミツルに言った、『この世界を知りたければダンジョンに潜れ』を実践しようと思う。」

「じゃあ、あたしも付き合うわ。どうせすることも無いし。」

「ふむ、危険だぞ? お前を守れる保証なんて全く無いぞ。何よりも俺は、先日お前の想い人を死なせた男だ。」


「何か勘違いしているようだけどいいわ。ところでアラタ、あたしが邪魔?」

「いや、俺はお前には迷惑だったろうが、リムの身体に転移できて、ある意味幸運だったと思っている。感謝こそすれ、邪魔なんて全く思っていない。」


「なら連れて行って! あたし、アラタについて行く! 何処までも!」


 な! 


 これは俺も想定外だ。

 リムはてっきりスコットが好きなのだと思っていた。

 勘違いとはそういうことか。


 美女軍団が美少女の『ど直球』に反応して、相談を始めた。


「これは思わぬ伏兵でしたわ。」

「そうですね。今のアラタさんの身体は元はロリコンスコット君です。彼の影響が残っていて、リムさんに発情しないとも限りません。」

「発育途上の小娘には負けないっす! 大人の魅力で勝負っす!」


 まあ、こいつらはいい。放って置こう。


「何度も言うが、本当に死ぬかもしれないぞ。確かにお前の支援魔法を受けられると考えれば、嬉しい。だが、その、なんだ、リムはまだ15歳だ。俺はまだお前を恋愛対象としては見られない。カサードさんに言えば、いい相手を紹介してくれるだろう。一生不自由しないと思うぞ。」


 うん、ここははっきりと言っておくべきだろう。俺は誰かと違って、ロリコンでは無い。

 それに、こんな少女をダンジョンに連れて行くのにも抵抗がある。


「アラタ、逃げる気? 散々あたしの裸を見たくせに。責任は取って貰うわよ!」


 そう来たか!

 しかし、どう考えても不可抗力だ。

 閻魔だって、俺に罪があるとは言うまい。


「ふむ。俺に責任があるとは思えないが、妥協案だ。お前が16歳になるまで待て。俺の世界じゃ、女性は16歳から女として扱われる。それまでは大人しくミツルの相手でもしていてくれ。」


 あ、最後の一言は完全に余計だった!


 リムの目が吊り上がる!


「あらそう。ふ~ん、16歳ね。で、あのお馬鹿勇者さんの相手。ふ~ん、そうなの。でも、それでいいわ。じゃあ、アラタ、ちょっと待っていてくれないかしら?」


 そう言って、リムは俺の足元から立ち上がった。


 何かヤバい気がする。

 俺の危機感知に赤点が出現した!


「ま、待てリム! 俺はまだ体中が痛くてあまり動けない! まさかとは思うが何をするつもりだ?」

「そんなの決まっているわ。陛下に言って、勇者橘様に面会を申し込むわ。」

「簡単に会わせてくれるとも思わないが。それにカサードさんは今の俺達の状況を知っているのか?」


 もしカサードが、俺がスコットに乗り移ったことを知っていれば、リムを相手にするとは思えない。

 知らなくても、俺のふりをするリムを見破れないほど馬鹿じゃない。


「多分知っているでしょうね。祭祀長のイーライさんが何度もここに来たし。あたし達は適当に誤魔化していたけど、あの顔は気付いているわね。」


 確かにイーライには席を外して貰ったが、あの状況だ。絶対に陰で見ていただろう。


「じゃあ、尚更どうするつもりだ? 天下の皇帝が、勇者でも無い小娘を相手にするとは思えないぞ。」

「あら、簡単よ。あたし達には実績があるのよ。橘様をダンジョンで鍛えたいって言えば、承知せざるを得ないのじゃないかしら? 満足に動けないあなたなら人質になるし。」


 こいつ!

 前から思っていたが、恐ろしく頭が切れやがる!

 ミレアもかなりだが、狡猾度は彼女の比ではない!


 だが、16歳のハードルをどうするつもりだろう?

 俺は一年もあれば彼女も気変わりすると思っていたのだが。

 あ・・・。ひょっとして。


「お前、まさか!」

「ふん。気付いたようね。あたしは明後日で16歳よ! それまではあなたの言った通り、ミツルさんの相手をするわ。約束はちゃんと守ってよね。」


 やられた。

 まさかこうもあっさり返されるとは!


「さあ、お姉様方! 行くわよ! 50階層の主にリベンジよ!」


 もういい。

 勝手にしてくれ。

 攻撃方法が分かっている奴相手なら、リムも居るし充分勝てるだろう。

 ミツルが加わるなら尚更だ。


 戸惑っている美女軍団に、彼女は更に鞭打つ。


「あたしもお姉様方の所有者よ。これは『命令』よ!」


 まさか、奴隷の所有権までがこんな形で使われるとは!

 俺が共同所有にしたのは、リムがパーティーを去っても、俺に所有権が残るようにするのがメインで、後は非常時に備えてのことだった。


 乱暴に扉が開け放たれ、女共は去っていく。


 どうやら部屋の外にはヤットンが待機していたらしく、扉の陰からちらっと俺の顔を伺ったが、後はリムの言いなりになっているようだ。


 あの感じじゃ、あいつも気付いているな。



 ところで・・・、腹減った。




ブックマーク登録ありがとうございます!

評価や感想なんぞも頂けると励みになります。m(_ _"m)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ