皇帝との会談
なんか主人公、偉そうです。
少し書き直しました。
皇帝との会談
朝か? 昨日はあれだけのことがあったのに、身体が軽い。俺が目を開けようとすると、頭の中に声が響く。
「え~っと、お手洗いは済ませておいたけど、着替えがまだね。もう少し寝てなさい!」
「ん~?」
「だから、起きるのだったら、着替えなきゃダメでしょ? 貴方に私の身体をあまりいじられたく無いの! 分かったらもう少し寝てなさい!」
「さっぱり訳が分からんけど、大体理解した。お前、この身体の主導権を取り戻したのか?」
「えぇ、そうよ! もっとも、身体自体が疲れ切っていたので殆どベッドで横になっていたけど。でも、もう大丈夫でしょ?」
「なるほど。俺が寝るとお前が起きる。逆もしかりなわけか?」
「そうみたいね。私は今、猛烈に眠いわ。でも、もう少し・・・。」
「なら、さっさと着替えてくれ。」
「大丈夫、今・・・着替え・・・終わった・・わ。じゃあ・・・寝・る・・・。」
「ちょっと待て!」
「・・・・」
チッ、落ちやがった。
まだ聞きたいことあったんだけどな~。
俺は目を開けると、不思議なことに俺は立っていた。
下を見ると脱ぎ散らかしたネグリジェがある。
で、自分の身体を見回すと、真っ白なワンピースを着ていた。
おまけにハイヒール。
昨日、侍女が置いていったものだろう。
「なんかとっても歩きにくいんだが・・・」
俺がぶつくさ言いながらソファーに腰掛けると、ノックが聞こえた。
「どうぞ~。」
「おはようございます、近衛様。昨晩は良くお眠りになられたようですわね。」
昨日の変態侍女だ。青髪のほう、確かミレアだっけ?
「ああ、おかげでな。おはよう、ミレア。今日は姉貴のほうは居ないの?」
「お姉様は、基本は夜がメインなんですよ。うらやま・・いえ、なので、今からお休みですわ。」
「何か雑音が入った気がするが、まあいい。それで、今日の予定は?」
「はい、取り敢えずお食事をお持ちしますから、その後着替えてから、陛下と・・・チッ。」
俺がミレアを見ると、残念そうな目をしている。
あ~、既に着替え終ていたからか。変態丸出しだな。
「で、陛下となに?」
「はい、陛下と面談です。」
「わかった。」
顔を洗って食事を済ます。
初めての異世界料理は誠に期待外れだった。
普通にトーストと目玉焼きとサラダ。
まあ、ゲテモノとか出されたら、それはそれで困るのだが。
ミレアに案内され、その陛下とやらに会うべく歩かされる。
慣れないヒールで歩きにくい。
若干、股間が安定しない気がする。
昨日の部屋の扉が開くと中には、軍服と思しき衣装の40歳くらいの髭を生やした人物を中心に、後は昨日の面子が座っていた。
「初めまして。勇者、近衛殿。私はカサード・ミスト・ドルトムンク。フラッド帝国25代皇帝である。この度はよくぞ召喚の儀に応じて参られた。」
「初めまして。ドルトムンク陛下。近衛新です。」
「よい、儂のことはカサードと呼び捨てで。儂も貴殿のことをアラタと呼んでよろしいかな? まずはかけられよ。」
「はい、ありがとうございます。」
「うむ、堅苦しい言葉遣いも無しじゃ。早速じゃがアラタ、召喚の儀の話は聞いておる。迷惑をかけたな。男性への魂の入れ替えの研究は全力で取り組ませるので、勘弁して欲しい。」
カサードはそう言って、今まで鋭かった眼光を和らげた。
「それでイーライ、どうじゃっ!?」
カサードが再び眼付を険しくし、横に座っている祭祀長を見る。
「何分初めてのことですので・・・ですが、基本の考え方は間違ってないと思いますので、今暫く時間を頂きとうございます。」
「うむ、アラタの勇者としての力が、もし器によって制限されるようなことがあれば、意味が無い。早急に頼むぞ!」
「はっ!」
「それでは儂からアラタに伝えたい、いやお願いしたいことはもう承知していると思うが、その前にアラタから質問を聞こう。うむ、その方が早そうじゃ。」
「では、遠慮なく、カサードさん。俺がこの国に呼ばれた理由は、この国にあるダンジョン最深部までの攻略ということでいい?」
「勿論じゃ。」
「では、そのダンジョンはいくつあるの?」
「現在確認されているのは2つ、トロワとシスじゃ。ひょっとしたら未だ人が入らぬ土地にも、あるやもしれん。」
「わかった。では、俺以外の勇者はこの国に何人居る? 祭祀長の話を聞く限りでは、勇者の召喚に最初に成功したのは20年前で、その後各国が研究をしだした。その後、5年前に初めて勇者によるダンジョン攻略。毎年一回の召喚。その流れだと最低でも3人くらいは居そうなものだけど。」
「我が国はうむ、過去5人の召喚に成功した。が、現在は一人、イオリ・ナガノだけじゃ。」
「亡くなったの? 死因は?」
「ダンジョン内で死亡したと思われるのは二人、後の二人の死因は・・・分からん!」
「後の二人は・・暗殺・・か?」
「恐らくはそうじゃろう。」
「祭祀長の話を聞いてからある程度の予想はついていたけど、ここまでとは・・。」
カサードがいきなり頭を下げた。
「現状は、アラタが考えている状況であろう。それを承知で頼む! ダンジョンに潜ってくれ!」
「カサードさん、頭を上げて。どの道、俺にはダンジョンに潜るしか選択肢が無いようだし。」
「そうかもしれんな。感謝する。」
まず、俺が逃げようとしても、顔も名前も割れてるし、知り合いの居ない今の俺じゃ、容易く見つかる。
隠れるにしても俺はこの世界じゃ神様扱いのようだ。
そしてその神に期待することは唯一つ、ダンジョンの攻略だ。
ダンジョンに行かない神は偽物。
街の外に逃げるにしても、聞いた話じゃこの世界は結界の及ばない町の外じゃ魔物がうようよ。
つまり、外に出るにしても、最低限自分を守る力が無いとダメってことだ。
最初のうちは別にして、いずれはダンジョンで鍛えるのが最も効率がいいはずだ。
しかも、俺には枷がついている。
そう、男の身体になりたいという。
そして、それを叶える為には召喚ができる国家の援助が必須だ。
従って、最低半年はどっかの飼い犬にならなければならない。
まあ、そう考えれば期待に応えてダンジョンに潜るしかなさそうだ。
とにもかくにも、人間兵器になる可能性のある俺は、他の国からすれば注目の的だろう。
流石に髪扱いの勇者を大っぴらには殺せないだろうが、暗殺はあり得そうだ。
そんな状態になったら、ダンジョンに潜っていたほうがむしろ安全かもしれない。
「うん、今のカサードさんの俺に対する接し方なら、信用できそうだ。カサードさんは現状ザコの俺に対して、命令することができる立場だからね。最終的にどういう使い道を、俺に期待しているかはまだ分からないけど。あ、ごめん、言い過ぎた。」
するとカサードがいきなり大声で笑いながら手を差し出してきた。
「フハハハハ! 我が国は最高の勇者を手に入れた! これからよろしく頼むぞ、アラタ!」
「仕方ない。俺も今は唯のザコだし。また、当然一人じゃダンジョンには潜れない。そこらへん、バックアップよろしく頼む。」
俺は立ちあがり、差し出された手をぐっと握った。周りの貴族達も立ち上がって喜んでいる。
「うむ! ところでアラタ・・・。」
俺は何か嫌な予感がしたが、というより、ある程度予想はしていたが、と言うべきか。
「儂と結婚して欲しい。」
「来るとは思っていたけど・・・ロリコン? この身体のリムは確かに美人ではあるがまだ15歳。しかも、俺はお・と・こ・だ! 当然拒否する!」
「アラタの世界では15歳はまだ子供という認識のようじゃが、この世界では立派な大人。そしてアラタ、今の状況では力ずくも可能じゃぞ。」
「目がマジっぽい。確かに気持ちは分かる。カサードさんとしては何としてでも、勇者の血を引いた子が欲しい。それ以上でも以下でも無いのでしょ。例え身体は女でも中身は男。それでもやれるって気概には引く、じゃない、尊敬するけど。しかし、妊娠した勇者じゃ戦えないよ?」
「そこは気長に待つ。ひょっとすれば、アラタが女に目覚めるやもしれんしの。」
「勘弁してくれ~。こうなったら意地でもこの国から脱出する! この手の話じゃ、ダンジョン内部で、一人で生き残るって設定も多そうだし。」
「ハハハハハ、まあそう言うとは思っておった。勿論、無理にとは言わん。せっかくの勇者を失いたくもないしの。勿論アラタの男性転移への研究は、約束どおり全力で支援する。」
「ふ~、カサードさんが理性的で助かった。しかし、てっきり俺の男性化を阻止しに来るかと思ったけど?」
「したいのは山々じゃが、それ以上に失いたく無いものがある。それに、儂はアラタの男性化が成功した後にも、少し期待しているのじゃよ。あくまでも、そうならば良いなの程度じゃが。それに儂には娘もおるしな。」
チッ、カサードの奴、妙に勘が鋭いな。
伊達に皇帝張ってないと言うべきか。
この段階ではリムの件は伏せたほうがいいだろう。
そこまで信用していいかも分からない。
勿論彼女次第だが。
しかし、カサードの娘は考えていなかった。これは魂の移転が成功したら、俺は種馬扱いか?
せめて美人であってくれ~。
「じゃあ、カサードさんの話はこれでいいかな?」
「うむ、アラタ、続けてくれ。」
一回あたり、これくらいの文字数では短いですかね?
基準が分かりませんので、どなたか教えて下さると助かります。
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