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22歳♂ 何故か女の体に転生しました。  作者: BrokenWing
第一章
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勇者抜き

     勇者抜き



 問題無いとは言っても、流石にこの階層にもなると、戦闘は激しい。

 危機感知レーダーのおかげで、団体さんは極力避けて通るのだが、どうしてもやり合わないといけない時がある。

 そうなると、カレン一人で敵を引き付けるのが厳しくなるので、そういう時だけ、俺が手を貸すという具合だ。



 そして、俺達は再度40階層の扉の前に立っていた。


「さて、前回はカレン抜きで倒せた相手だが、今回はどうする?」


 すぐに俺の意図を察したミレアが答える。


「できれば、アラタさんは回復役に専念して頂ければと思います。」

「分かった。皆はそれでいいのか? 以前、クレアはツインサイクロプスに手痛い目に遭っている。ダブルジャイアンの方が明らかに格上だぞ? 前回は攻撃を喰らわなかったが、もし喰らえば大ダメージは必至だろう。」


 クレアが珍しく悩んでいるようだ。

 彼女は割とイケイケなので、即座に賛成すると思っていたのだが。

 俺が余計な事を言ったので、過去のダメージを思い出してしまったのかもしれない。


「問題は、あたいがその主の攻撃を受け切れるかっすね。うまく弾ければ相手にダメージを与えれるんすけど。」


 今朝、カレンにはダブルジャイアンの特徴を伝えてあるので、奴が半端ないパワーだということを理解している。


「こればかりは、やってみないと分からないだろうな。ただ、俺抜きという前提の折衷案もある。」

「ひょっとして・・・、リムさん・・?」

「流石はミレア、鋭いな。今からリムに起きて貰って、支援魔法要員として参戦して貰うのはどうだ? リムの強化魔法を受ければ、カレンも間違いなく耐えられるだろう。」


 皆が押し黙った。


 仲間達の本音は勇者抜きで強敵を倒したい、というのは間違いない。

 しかし、一歩間違えれば殺されるかもしれない相手である。

 迷って当然だ。


「中途半端は良くにゃいですにゃ! 僕達だけでやらせて欲しいですにゃ!」


 今まで黙っていたスコットのいきなりの発言に皆驚く。


 俺はほくそ笑んだ。


 そう、リムの支援魔法であっても、意味としては、俺が参戦するのと同じなのである。


「スコットちゃんがやるなら、私もやりますわ! お姉さんの意地ですわ!」

「そういう事なら仕方ないっす。あたいも勇者様抜きでやってみたいっす。」

「元々、私が言い出したことですから。スコット君に言われるまでもありません。」


 うん、いい感じだ。


「皆、いい覚悟だな。じゃあ、俺は見ているだけだ。しかし、これだけは言っておく。少しでも危ないと思ったら、俺は遠慮なく手を出す。俺に手を出させないように頑張ってくれ。」

「「「「はい!」」」ですにゃ!」


 指示役は前回と同じくスコット。

 お手並み拝見だな。


 口ではああ脅したものの、俺はカレンが主の攻撃に耐えられないとは思っていない。


 俺は今回の戦闘の鍵がクレアだと思っている。

 彼女の攻撃力は、この面子では単体相手では最強だ。


 しかし、奴の弱点である目の位置が地上3mと高すぎる。

 クレアならジャンプすれば十分に届く高さだが、ジャンプしている間は敵の攻撃を躱せない。


 俺の場合は格闘術で奴を転がすことに成功したが、どうするつもりだろう?



「ところで、スコット、奴の弱点である目の位置は高い。どうするつもりだ?」

「ミレア姐さんに聞きましたにゃ。クレア姐さんは、足首の裏を狙って欲しいですにゃ。」

「そういうことですのね。分かりましたわ。」


 ふむ、俺達がツインサイクロプスとやった時のことか。

 あの時俺は、足首の腱を切ることに成功し、奴を跪かせた。

 なるほど、それならうまく行きそうだ。


「ミレア姐さんは、お引きのファイアウルフを倒したあと、暗闇効果の【イビルファイア】をお願いしますにゃ。」

「前回効いたかは微妙ですが、やってみます。」


「カレンさんには申し訳にゃいですが、ひたすら耐えて欲しいですにゃ。カレンさんが無理なら、アラタさんにお願いするしか無いですにゃ。」

「了解っす。あたいはそれが役目っすから。任せろっす!」



 カレンが扉を開けた。


 敵は前回と全く同じ布陣。

 階層主である双頭の単眼巨人、ダブルジャイアン。

 そしてその両脇にファイアウルフ。


 皆が一斉に飛び込んで行く!


 俺は、回復魔法をいつでも唱えられるように気を込めながら、その後ろから付き従う。


「挑発! あたいのほうだけ見るっす!」

「フリーズダスト!」

「5連乱れ撃ち!」


 ファイアウルフも火球を放ってきたが、それをカレンがあっさりと盾で防ぐ。

 そして、奴の攻撃はそれまでだった。

 無数の氷の礫と矢に串刺しにされ、息絶える。


 そして、ダブルジャイアンが、あの巨大な棍棒を振りかざして、カレンに迫る!


 頼む! 受け切ってくれよ!

 俺は必死に願う。


「ムンッ!」


 棍棒が振り下ろされた!


 カレンは盾をかざし、膝を折りながらも凌いだようだ。

 振り下ろされた棍棒が大きく弾かれ、階層主が痛そうに目を細めた。


 ふむ、うまく弾くと相手にダメージを与えられるという盾スキルだな。

 カレン! 期待以上だぞ!


「こっちの番ですわ! 四方突き!」


 巨人の後ろに一気に回り込んだクレアが4連撃を喰らわせる!


 凄い速さだが、俺には見えた。

 奴の両足首と両膝の裏に見事に決まっている!


 しかし、奴は倒れない!

 再び棍棒を振りかざす!


 浅かったのだろうか?

 いや、あの耐久力のせいだな。


「これはどうですか?! イビルファイア!」

「精密三連射撃!」


 巨人の右の眼には火球が、左の眼には3本の矢が突き刺さる!


 残念ながら、盲目効果は付与されなかったようだ。

 刺さった矢を左手で何事も無かったように引き抜く。 


 そして、右手の棍棒で薙ぎ払う!


「グヘッ!」


 流石のカレンも完全には受け切れなかったようだ。

 今度は盾ごと吹き飛ばされた!


 そして更にカレンを追いかける!


「カレンさん、早く立て直して! クレア姐さん、隙ありです!」


 スコットが指示を飛ばす!

 かなり興奮しているようだ。


「大丈夫っす!」

「もう一度ですわ!」


 巨人がカレンを追って、向きを変えたところを、再びクレアが襲う!


「まだ倒れないですの?!」


 やはり奴の耐久力も半端ない。


「ミレア姐さん、膝にボルケイノです!」


 スコットは指示しながらも、今度は足首に向けて矢を射ている。

 少し精度が落ちたのか、一本外していた。

 だが、この状況で当てられるだけでも凄いと思う。

 彼は全体を見ながら指示をしているのである。


「フンッ!」

「ボルケイノ!」


 巨人が棍棒を、盾でしっかりと身構えたカレンに振り下ろす!

 しかし、その瞬間に特大の火球が奴の膝の裏に命中した!


 振り下ろされた棍棒は僅かに軌道を変え、盾で弾かれた。

 そして、さしもの巨人も片膝を折った!


「何度でもですわ! これで倒れなさい!」


 クレアも完全に戦闘モードだ。


 まだ踏ん張っている方の足目掛けて、槍を突き刺していく!

 3・・4・5! 何と5連撃だ!


 また成長しやがったな。

 仲間の命が懸かっている局面なのだが、思わず笑みがこぼれる。


 遂に奴はうつ伏せに倒れた!


 それでも奴は片手をついて立ち上がろうとする。

 左目がギロリと俺を睨んだ気がした。


 俺は思わず叫んでしまった。


「挑発が切れている!」

「カレンさん、掛け直しですにゃ!」


 すかさずスコットが反応する。


「挑発! こっちこっち~!」


 奴が倒れたせいか、皆に余裕が出たようだ。

 

「精密三連!」


 俺を睨んだ目に矢が突き刺さる!


「ボルケイノ!」


 そして逆の頭には特大の火球!


 こうなれば時間の問題かと思いきや、奴は棍棒を支えに立ち上がる!


 だが、片足は完全に死んでいるようで、俯いたまま、何とか立ち上がっただけという状況だ。

 そして、片手でカレンの盾を掴み取ろうとする!

 

 しかし、そこを逃すクレアでは無かった。


「昇天三連!」


 懐に潜りこんだクレアが、矢の刺さっていない方の目に正確に3回。

 ジャンプしながら突き入れる!


 奴は慌ててカレンを狙った手で防ごうとするが、間に合う訳も無く、もろに喰らう!


「こっちって言ったっす!」


 カレンが奴の支えにしている棍棒を蹴り飛ばした!


 これが決定打になったようだ。

 巨人は完全に倒れた。


 そこを全員でフルボッコにする。


 遂に扉が開いた。



「カレン、大丈夫か?!」


 俺は真っ先にカレンを回復させる。

 戦闘中、人物鑑定スキルで体力をチェックしていたので、それほど減っていないとは知っていたが、身体が勝手に動いてしまう。


 しかし、盾の上からでもダメージを与えられる、階層主の攻撃力の高さには畏れ入る。

 まともに喰らっていたらと思うとぞっとした。


「えへへ。どうもっす。」

「や、やりましたわ!」

「私達でも出来るのです!」

「僕も役に立てたですかにゃ?」


 スコット、何を言う!

 今回の立役者は間違いなくお前だ!

 仲間の士気を高め、且つ正確な作戦と指示。


 まあ、スコットもどや顔だし、何も言うまい。

 皆も分かってくれていると信じているしな。


 だけど・・・。

 

 俺ってやっぱいらなくね?


今回は、現在最弱ステのスコットに活躍して貰いました。


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