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22歳♂ 何故か女の体に転生しました。  作者: BrokenWing
第一章
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浮いたアラタ

      浮いたアラタ



「さて、俺もそろそろ参加するぞ。ミレアの範囲魔法も解禁だ。」


 朝食を皆で取りながら、宣言した。

 

 ここいらの層になってくると、魔物の一撃一撃が重くなってくる。

 俺は問題ないが(喰らう事もまず無い)、体力の少ないカレンやスコットが喰らうと洒落にならない。


 しかし、俺にかかると、巨大なポーラーベアでさえ、瞬殺してしまうので、あまり練習というか、パーティーの熟成と言う点では意味が無い。

 一度、巨熊の首を極めてへし折った時は、皆に引かれたものだ。


「で、俺もリムの真似じゃないが、少し魔法メインでやろうと思う。」

「了解したっす。それで、具体的にはどんな魔法で行くっすか?」


 もっともな質問だ。

 仲間の攻撃方法が分からなければ、連携もへったくれも無い。


「まずは、先頭の奴に【ハイスタン】を唱えて、隙を作る。そこをクレアに凹って貰うのが、今までの鉄板だ。」

「なるほど。それで、あたいが後続の奴を引き付けて、そこに魔法をぶち込むって奴っすね。」

「流石はカレンだな。そう、カレンの役は今まで俺がやっていたのだが、お前のおかげで、俺がフリーになった。防波堤はお前とクレアに任せて、俺はミレアと一緒に魔法を放つ。」


「それで、その魔法の種類はどういった感じっすか?」

「うん、俺の攻撃系の魔法はほぼミレアと一緒だが、【サイレン】とか、【ポイズン】とか、状態異常系も使えるようになった。」

「状態異常はこの階層の魔物じゃ効果は薄そうっすね。」


 良く見ている。

 この階層の敵は魔法を唱えてこないので、【サイレン】は無意味だし、俺達の火力の前には長期戦前提での【ポイズン】も効果が少ない。


 というか、ちまちま削るのは俺の性に合わない。

 『攻撃を喰らう前に倒す』が俺の理想だ。

 そこらへんが、力押しだとは自分でも理解しているが。



 結果としては・・・。

 失敗では無かったが、あまり意味が無かった。


 最初に俺が先頭の敵を封じ、そこをクレアが仕留めるまでは、何の問題も無い。

 しかし、俺が後続の敵に範囲魔法の【ファイアウォール】を放つと、それで終わり。

 カレン、出番無し。ミレア、スコット、意味無し。


 以前はそんなこと無かったのにな。

 俺も成長しているということか。

 それもかなりチートな勢いで。


 皆の視線が痛い。

 特にミレアの表情がやるせない。

 彼女のお株を完全に俺が取ってしまったのだから、致し方ない。


 自重しよう。



「あ~、現時点では、俺は支援専門のほうが良さそうだな。」

「そうですね・・・。」


 上目遣いでミレアが返す。


 分かっているので、その眼は止めて欲しいです。


「じゃ、じゃあ、少し試したい魔法もあるので、最初の【ハイスタン】以外は、俺は居ないと思ってくれ。指揮はスコットに任せる。」


 上手すぎてチームになじめない、特待生の気持ちが分かるような気がしてきた。

 


 このくらいのハンデで丁度良かったようだ。

 やはり、一体でも先制して倒せるのは大きい。


 28階で、パワーラビットの団体さんとやってみたが、カレンの【挑発】で敵が群がったところをミレアの範囲魔法&スコットの援護射撃。

 削り残しをカレンとクレアで凹る。

 これが鉄板なようだ。


 俺はと言えば、以前敵に喰らった盲目効果のスキルを魔法でできないかと試したところ、あっさり成功した。

 【ブラインド】と、唱えると、敵が右往左往する。

 これは物理攻撃が主体である、この階層の敵にはかなり有効だった。

 

 また、以前ミレアが敵から習得した【ボルケイノ】も使えるようになった。

 ただ、俺が使うと、威力がありすぎて、前後に並んだ敵を纏めて片づけるという芸当に至る。



 そんなこんなで、俺達は再び30階層の扉の前に居る。


「カレンは初対面だから、説明しておく。ここの主はレッドウィッチ。最初に魔法を反射する【レフレクシオン】を自身に唱える。なので、主に魔法は通用しない。」

「しかも自分は範囲魔法を唱えるなんて、ずるいですわ!」


「厄介そうっすね。でも、ダンジョンは違えど、憧れの30階、頑張るっす。で、何か対策とかあるんすか?」

「そこでお前の出番だ、カレン。お前の【挑発】で主の範囲魔法を封じてくれ。クレアは沈黙効果の槍で攻撃しろ。このクラスだと効かないかもしれないが、成功したらラッキーだ。」

「はいっす!」

「効かないようでしたら、いつもの槍に持ち替えますわ。」


「ミレアとスコットはお引きの右側のパワーラビットを頼む。左側は俺が潰す。」

「はい!」

「はいですにゃ。」


「お引きが片付いたら、俺は一旦回復役に回る。お前らはいつも通りフルボッコで。」



 カレンを先頭に、扉を開ける。


「レフレクシオン!」


 扉を開けた瞬間、階層主の魔法の詠唱が聞こえた。


「こっちっす! 挑発!」

「「ボルケイノ!」」

「5連乱れ撃ち!」


 予定通り、ウェルダムの兎肉が完成する。

 スコットの弓スキルが上がっているようだ。


「アイスランス!」


 主が魔法を唱えてくる!


 クレアの沈黙効果の槍は効かなかったようだ。

 しかし、カレンの【挑発】は効いたようで、範囲魔法ではなく、単体魔法だ。

 それをカレンが盾で受け止める!


 俺は試したいことがあって、アイテムボックスに手を入れた。

 そう、スコットがリムにやった暗闇効果の杖だ。


「縮地!」


 その杖をかざして、一気に間合いを詰める!

 主の攻撃はカレンが一手に引き受けてくれているので、俺とクレアはフリーだ。

 後ろからスコットの矢も振ってくる。


 俺は魔力を杖に込めてぶん殴る!


「ふむ、効いたようだな。」


 主はくるくる回り出した。これは見えていないと思っていいだろう。

 自分に反射魔法をかけたものだから、もし回復系の魔法を持っていても使えまい。


「じゃあ、後は任せるぞ。」


 そう言って、俺は魔核や素材を回収しだす。

 パワーラビットの肉は旨いのだが、下処理せずに焼いたので諦めだな。

 まあ、ストックは腐るほどある。


 俺が魔核を回収し終える間もなく、主が片づいたようだ。

 いつの間にか扉が開いている。


「これ、使っていいですかにゃ?」


 スコットがレッドウィッチの魔核と角を持って来た。


「うん、2個目だし、問題ないだろう。売っても、俺達には現在これ以上の装備が手に入らないので、金の価値もあまり無い。存分に利用してくれ。」


 そう、俺達の装備は勇者達の遺品を得た結果、帝都で手に入る最高水準のもので溢れている。

 鍛冶屋街で魔核や素材を提供して、オーダーメイドするのも手だが、スコットに任せたほうが信用できるし、彼も喜んでくれる。何より只だ。


「スコットちゃん、期待していますわ。」

「あ、あたいも何か欲しいっす!」

「私の杖にも効果つきますかね?」


 スコット、モテモテだな。

 俺もこの身体じゃなければ妬いてるところだ。



 その後は、少し俺の出番が増えたが、特に問題無かった。

 その日は31階層で、翌日は39階で野営した。


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