ポジション
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帝都の路地裏に戻ると、外はもう真っ暗だった。
テレフォンでクレアに帰って来たことを伝え、服屋で合流するように指示する。
「それで、これからどうなさいますか?」
「そうだな、ヤットン、まずはカレンの服を何とかしたいので、服屋に行こう。」
俺はそう言いながら、カレンの首輪を奴隷商から貰った鍵で外してやった。
「ありがとうっす。ところで、服屋って、あたいは無一文なんすけど?」
「金の心配はするな。カレンは俺の所有物ってことだから。それに、この国の皇帝は珍しい魔核が大好きでな。臨時収入があった。」
「なら、甘えさせて頂くっす。」
合流して、カレンをクレアとミレアに紹介する。
一度顔合わせしていたこともあり、二人共すぐに打ち解けたようだ。
服屋はもう店仕舞いの準備をしていたが、俺達が商品を選び出すと、最初は迷惑そうだった主人も、ご機嫌で服を勧めだした。
「あら、この下着、いい感じの透け具合ですわ。カレンさんもどうですの?」
「お姉様、それよりこっちのほうが、セクシーですよ?」
「あたいは何でもいいっすよ。」
俺も替えの下着や服を買っておきたいところだが、流石にこれは俺が選ぶとリムに叱られそうなので、変態姉妹に任せる。
結果としては、派手すぎると、やはりリムに叱られた訳だが。
スコットは当然輪に入れず、男性用のコーナーでぼっちだ。
ちなみにスコットは奴隷ではないので、金貨30枚を報酬として与えている。
『そんなに貰えにゃいですにゃ。』と固辞したが、俺としてこれでも少ないと思っていたので、強引に押し付けた。
確かに金銭感覚がずれてきているとの自覚はある。
今日の取引では、魔核が金貨250枚で売れ、カレンが金貨70枚と、もはや一般人の域ではない。
買い物を済ませ、ご機嫌の女性陣とスコットを従えて、店を出る。
入り口ではヤットンが待っていた。
仕事熱心というか、真面目な奴だ。
「城でお休みになりますか? この暗さですと、今からダンジョンに戻るのには少々危険かと。」
「そうだな。カサードにああ言った手前、城で休むのもちょっとな。どこか宿屋はあるか?」
「それでしたら、ご案内致します。」
ヤットンが言うには、帝都で最も格式のあるホテル?だそうだ。
財布には余裕があるし、構わないだろう。カレンが仲間になったお祝ということで。
ホテル?でヤットンと別れ、部屋を取る。
確かに格式あるホテルらしく、妙齢のご婦人が丁寧に応対してくれる。
「3人部屋が一つと、一人部屋を2つ取りたいのだが。」
「あいにく、3人部屋は塞がっております。」
後ろを見ると、変態姉妹から無言の圧力を感じる。
「じゃあ、二人部屋を2つと、一人部屋を一つで。」
一人部屋は当然、唯一の男性であるスコットの為のものだ。
俺はどうせ寝る時はリムと交代するから問題は無い。
「申し訳ありません。この時間なもので、ご用意できるのが、6人までご利用できるロイヤルスイートと、後は一人部屋のみなんです。」
俺は迷った。
全員別々でも構わないのだが、できれば全員で集まれる広めの部屋が欲しい。
女性陣だけでスイートに泊まると、スコットを除け者にしたようで何か後ろめたい。
とは言え、スコットはやはり男性だ。
普段は一緒に寝ているが、こんな時くらいは尊重してやりたい。
スコットからすると、俺達は彼の真正ロリというストライクゾーンから大きく外れているらしいので、問題が無かっただけだ。
再び後ろを振り返る。
「ぼ、僕のことは気にしないでいいですにゃ。」
「そうか、悪いな。じゃあ、そのスイートと一人部屋を頼む。」
「かしこまりました。お食事がまだでしたら、そちらのレストランをご利用下さいませ。」
代金はおおよそ金貨3枚。俺の懐からすれば全く問題無かったが、カレンはかなりびびっていた。
レストランで食事を済ませ、スイートに一旦集合する。
料理は流石に美味かった。
魔物の肉ではなく、魚料理が出され、これがまた絶品だ。
クレアが、『素材さえあれば私だってできますわ!』と張り合っていたが、確かに彼女の料理は日増しに美味くなっていたので、否定できない。今後に期待しよう。
皆でソファーに腰掛け、作戦タイムだ。
「まずはカレン、もう済ませているだろうが、改めて自己紹介してくれ。」
「はいっす。あたいはカレン・ロール、21歳っす。先輩方、宜しくっす。カレンと呼んで下さい。ダンジョンに潜るのが前提の奴隷ってことで、今までのポジションは前衛。盾で敵の攻撃を引き受ける役目が主だったっす。」
「あら、私もミレアもアラタさんの奴隷ですわ。奴隷同志、仲良くしてくださいね。私はクレア。私も前衛ですので、一緒ですわね。」
「私はミレアです。魔法が得意で、後衛です。宜しくお願いします。」
「僕はスコット・オルガンですにゃ。弓が得意にゃので、後方支援がメインですにゃ。」
「最後に、俺は近衛新、ファーストネームはアラタだ。召喚された勇者って奴らしい。今の所は接近戦が性に合っているようだ。あと、もう一人居るが、それは後で分かるので今はいいだろう。」
そこで俺は一拍置いた。
「これは最重要事項なのではっきりと言っておく! 俺は男だ!」
これには、今まで飄々とした雰囲気のカレンだったが、戸惑いを隠せないようだ。
「え? 男って? 言葉はそうですが、どう見ても美少女っすよ? それなりなお胸もあるっすよ?」
カレンが俺の胸元を見る。次にミレアを見た。
「わ、私のことはいいです! なんでも、アラタさんは召喚される前は男性だったそうです。」
「そう。何の手違いか知らないが、リムという少女の身体に召喚されてしまった。なので、現在の俺の最優先目的は、男の身体に魂を移転するなんだ。ダンジョンに潜るのもその一環に過ぎないと言える。」
「え? え? え? さっぱり分からないっすけど、その身体に男の魂が宿ってしまったということっすか?」
「まあ、そういうことだ。暫くすれば理解できると思うので、今はこれくらいで。」
カレンはまだ納得いかない顔をしているが、皆がそうだったように、すぐに慣れるだろう。
多分。
「じゃあ、自己紹介も済んだし、これからは皆仲間だ。宜しく頼む。」
「「「「はい!」」」ですにゃ。」
「では、カレン、ステータスを確認させてくれ。後、これが無いと不便だろうから渡しておく。登録しておいてくれ。」
俺は40階層の遺品のアイテムボックスの指輪をカレンに渡した。
「こんな高価なものを・・・。あ、ありがとうございます。」
カレンは指輪を嵌めながら、皆の真ん中に手を差し出した。
【ステータス表示】
氏名:カレン・ロール 年齢:21歳 性別:女
職業:奴隷〈アラタ・コノエ&リムリア・ゼーラ・モーテル〉
レベル:40
体力:154/154
気力:100/100
攻撃力:155
素早さ:152
命中: 153
防御:160
知力:80
魔力:80
魔法防御:90
スキル:言語理解3 危機感知3 マッピング
剣術4 格闘術3 ガード4
毒耐性小 暗闇耐性小
アイテムボックス320
「ふむ、カレンは完全な戦闘タイプだな。魔法は苦手か?」
「それはあたいら犬人属の特性で、戦闘に関わる能力の伸びはいいんすけど、魔法関連は逆に伸びにくいっす。魔法は多分使えない訳じゃないと思うんすけど、無理に覚えようとしなかっただけっすね。」
「なるほど。それでこの【ガード4】というのは、何か技とか使えるのか?」
「敵を引き付ける【挑発】って技が独特っすかね? 後は大抵の盾を装備できて、盾で攻撃を弾くと、いくらか相手にダメージを与えることができるっす。」
「分かった。カレンは前衛で盾役決定だな。俺達が正に欲しかったポジションだ。ヤットンもそれが分っていたから、お前を勧めたと見ていいな。」
「えへへ。照れるっす。」
「ついでに、皆のも確認しておくか。」
【ステータス表示】
氏名:クレア 年齢:20歳 性別:女
職業:奴隷〈リムリア・ゼーラ・モーテル〉
レベル:54
体力:227/227
気力:197/197
攻撃力:240
素早さ:235
命中: 226
防御:214
知力:182
魔力:222
魔法防御:217
スキル:言語理解3 危機感知3 家事5 社交術2 特殊性癖2 マッピング
棍棒4 槍術4 格闘術1
水魔法3 回復魔法4
毒無効 麻痺耐性中 暗闇耐性中 沈黙耐性中
アイテムボックス1199
氏名:ミレア 年齢:19歳 性別:女
職業:奴隷〈リムリア・ゼーラ・モーテル〉
レベル:52
体力:197/197
気力:225/225
攻撃力:197
素早さ:225
命中: 199
防御:198
知力:221
魔力:222
魔法防御:211
スキル:言語理解4 危機感知3 家事3 社交術2 特殊性癖2 マッピング
ガード1 剣術2
火魔法4 風魔法3
毒無効 麻痺耐性中 暗闇耐性中 沈黙耐性中
アイテムボックス1154
氏名:スコット・オルガン 年齢:18歳 性別:男
職業:冒険者 鍛冶師
レベル:47
体力:173/173
気力:140/140
攻撃力:154
素早さ:165
命中: 187
防御:157
知力:161
魔力:177
魔法防御:168
スキル:言語理解3 危機感知3 マッピング
弓術4
風魔法3
武器作成3 防具作成2 道具鑑定3 鉱石鑑定3 魔核合成3
毒無効 麻痺耐性中 暗闇耐性中 沈黙耐性中
アイテムボックス730
「皆、凄いな。短期間でかなりの成長だ。スコットも少しだが、レベルがクレアとミレアに追い付いてきたな。」
しかし、俺はあることに気付いた。
今まで薄々感づいてはいたが、誤差の範囲かもしれないと、あえて目を瞑っていた。
だが、ここまで来るとはっきりする。
そう、スコットのステータスの伸びが、姉妹に比べて悪いのだ。
原因には思い当たる節がある。
確か、『貴族と奴隷に関する恩恵』とかいう未確認情報だ。
これからのカレンの成長ぶりを見れば恐らくはっきりするだろう。
そして、もし俺の考えが正しければ、スコットは早めに奴隷になって貰ったほうがいいはずだ。
姉妹は自ら進んで奴隷になりたいと言って来たので、問題ない。
俺がこの事を説明して、スコットに提案すれば、彼のことだ。喜んで奴隷になるだろう。
しかし、スコットにそれを言うのは流石に憚られる。
俺は迷ったが、結局何も言えなかった。
自分でも問題を先延ばしにしていることは分かっていたが、せめてカレンの結果を見てからと甘えていたのだろう。
「皆さん、レベルもステも高いっすね! この中じゃあたいが最弱っす。あたいのほうがダンジョン経験長いと思ってたのにっす。」
「恐らくだが、勇者パーティーの特典だろうと思う。それに、俺達は40階層まで行った。低層に比べて、かなりの経験値の違いがあるはずだ。カレンもこれから皆に追いつくはずだよ。ちなみに、俺のは・・・うん、多分見ないほうがいい。」
そこで俺は強烈な睡魔に襲われた。
ふむ、交代の時間か。今日は少し遅いな。
多分、リムが気を利かせて起きないでくれていたのだろう。
「悪い、交代だ。後はたの・・む。」
まあ、見せないほうがいいかもしれないですね。
氏名:アラタ・コノエ 年齢:22歳 性別:男
職業:冒険者 勇者 貴族
レベル:40
体力:645/645
気力:675/675
攻撃力:660
素早さ:680
命中: 680
防御:645
知力:720
魔力:680
魔法防御:660
スキル:言語理解5 交渉術3 危機感知5 人物鑑定2 特殊性癖1 家事2 社交術2 マッピング
格闘術5剣術2
回復魔法4 火魔法4 闇魔法5 風魔法2 次元魔法2 水魔法0 土魔法0 光魔法0
毒無効 麻痺耐性中 暗闇無効 沈黙耐性中
アイテムボックス2720
おまけ 女性陣のバスト一覧
リム 83 B
クレア 90 D
ミレア 78 A
カレン 95 E
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