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22歳♂ 何故か女の体に転生しました。  作者: BrokenWing
第一章
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30階層

       30階層



 ワープの小部屋から20階にショートカットして、21階に向かう。 

 俺は用心して、1体しかいない小部屋に入る。

 また、新顔だ。

 3m近くありそうな緑色の熊の化物。

 鋭い爪が脅威になりそうだ。

 俺なら喰らっても耐えらるだろうが、クレア達では大ダメージになりかねない。

 ヤットン達がこの階層まで潜らなかったのは正解かもしれない。


「ハイスタン!」

「ボルケイノ!」

「3連射!」


 ミレアが覚えたばかりの魔法を放つ。

 俺とクレアが走り込むが、それ以前にスコットの矢が全弾命中し、巨熊は倒れた。


「意外とあっさりだったな。」

「私の出番がありませんでしたわ!」

「でも、あの爪はヤバそうです。数が出てくると厄介かもです。」

「そうだな。その場合は、ミレアとスコットで1体。俺が足止めした奴をクレアが。俺は余った奴を引き付けよう。」


 魔核を回収すると、ポーラーベアと表記された。

 色は緑なのに、白熊かよ!


 そんな突っ込みを呟きながら、肉と素材も回収しておく。

 丸々一頭は多いので、肉は100kgほど、爪と牙も素材になりそうだ。

 スコットが嬉しそうだ。


 23階くらいから、また新顔が出てきた。今度は2mくらいの兎の化物だ。

 大きな槌を構えて襲ってくる。シルエットが月の餅つき兎そっくりだ。

 こいつも攻撃を喰らえば洒落にならないのかもしれないが、今までの戦法で難なく撃破できた。

 名前はパワーラビットと言うらしい。


 名前が付いているということは、ここは前人未踏という訳では無いのか?

 他のダンジョンで同種が居る可能性もあるし、以前帰らなかったという勇者達が付けたのかもしれないな。


 その日は用心しながら移動したこともあったが、特に変わったことも無く、25階層まで進めた。

 あるとすれば、クレアが一度ポーラーベアの攻撃を喰らって、体力が1/3くらい持って行かれたくらい だろうか。油断したらかなり危ない領域に居ることを痛感させられた。

 あと、途中で、俺もミレアと同じように【ボルケイノ】を使えるか試してみたが、巧く行かなかった。 おそらく魔法レベルが足りないのだろう。


 翌日は遂に30階に到達した。

 危機感知を使うと、ここも3体居るようだ。


「お引きがまた2体居るな。多分パワーラビットだろう。いい時間だし、一旦29階で休憩してから挑むか?」

「私は体力も気力も万全ですわ。」

「私も気力が少し減っている以外は問題ありません。」

「僕もほぼ満タンですにゃ!」


 ふむ、確かに28階くらいからは、ミレアが珍しく剣を使っていたな。

 全員、この時の為に、魔法を極力控えた戦闘スタイルを心掛けていたようだ。


「それなら行くか! いつも通りで頼む!」

「「「はい!」」ですにゃ!」


 扉を開けると、パワーラビット2体と、2本の角を生やし、羽の生えた、真っ赤な悪魔のような奴が居た。

 俺達が突っ込むと同時に何か詠唱したようだ。


「レフレクシオン!」


 階層主の身体が淡く光る。

 何かヤバいとは感じながらも、いつも通りにやる。


「ハイスタン!」

「ボルケイノ!」

「3連射!」


 チッ、勘が当たっていた!

 身体が何故か動かない!

 しかし、周りは見えている。


 お引きのパワーラビットに炎に包まれた石が直撃していく!

 そこにスコットの矢が全弾刺さり、パワーラビット一体は倒れた。

 クレアが俺の横から残った一体のパワーラビットに突進する!

 

 ここで俺は理解した。

 奴は魔法を反射する魔法を奴自身にかけたのだ。

 それで俺の【ハイスタン】を反射させ、俺自身が喰らったと。


「フリーズダスト!」


 奴は更に詠唱してきた!


 氷の礫が全員に飛び散っていく!


 俺の身体に無数の氷の礫が突き刺さった!

 クレアもかなり喰らったようだ。

 後ろを振り返れないので、ミレアとスコットは確認できないが、多分喰らっているだろう。


 ここで俺の硬直が解けた。

 うん、普通に動けるようだ。

 パワーラビットと戦っているクレアは大丈夫かと見る。

 すると・・・


【ステータス表示】

氏名:クレア 年齢:20歳  性別:女

職業:奴隷〈リムリア・ゼーラ・モーテル〉 レベル:49

体力:150/200

気力:190//190 +20


 ステータスが一部だが見えた!

 多分、人物鑑定のスキルだろう。


 危機的な状況ではないが、このままでは危ない。

 しかし、クレアでこれだけ喰らっていいるのだから、防御の弱いスコットが心配だ。


 俺は迷わず、指示を出す。


「主には魔法を使うな! 跳ね返される!」


 続けて、全員を選択して回復魔法をかける


「ヒール!」


 俺の横を矢が掠めて行き、パワーラビットに突き刺さる!

 一瞬戸惑ったクレアも、巨兎の大槌の攻撃を躱しながら、連続で突きを入れる!

 これで、2匹目のパワーラビットも倒れてくれた。


 ここで俺は全員を見回し、ステータスを確認する。

 うん、全員完全に回復できている!


「ミレアは盾! スコットはミレアの陰から主に攻撃! クレアは防御しながら回復魔法の準備!」

「「「はい!」」」


 奴の攻撃は俺にはあまり効いていなかった。しかし、魔法は使えない。

 当然残る選択肢は物理攻撃あるのみ!


 奴が次の詠唱を始めるかのように、両手を前にかざした。


「縮地!」


 俺は一気に間合いを詰め、無防備な腹に飛び蹴りをかます!


「グッ・・!」


 手応えあり!

 奴の詠唱の妨害に成功したようだ。


「畳み込む! クレアも俺に続け!」

「はい!」


 俺の横を矢が通り過ぎ、主の口に刺さった!


 スコットナイス!

 俺は心の中で歓声を上げながら、左右の連打を叩き込む!

 奴はそれでも反撃しようとしてきた。


「三点衝!」


 クレアが腹、胸、頭の順に3連撃を突き入れる!



 主の後ろの扉が開いた。



「まさか、魔法を跳ね返す呪文があったとはな。確かに俺の世界のゲームでもあったから、思い至らなかった俺の油断か。」

「初めての呪文ですし、仕方ありません! しかし、先に唱えられたら、アラタさんのサイレンも無意味ですし。私には天敵ですね。」

「ミレアも私みたいに、武器を使えばいいのですわ!」

「まあ、現状役割分担はできているし、得意なところに集中したほうがいいだろう。」

「そうですにゃ! 僕は引き続き弓を鍛えますにゃ!」


 魔核や素材を回収しながら、考える。

 奴が使った魔法を真似できないだろうか?

 精神に作用する系統では無さそうだ。何の系統だろう?

 取り敢えずイメージしてみて、自分に試してみたが、何の変化も無い。

 俺では無理なのだろうか?


 回収した物をアイテムボックスに放り込んで鑑定する。


レッドウィッチの魔核×1

レッドウィッチの角×2


 こいつにも名前が付いていた。

 つまり、以前こいつを倒した奴が居るということだ。


「じゃあ、一旦外に出よう!」

「「「はい。」」ですにゃ!」


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