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22歳♂ 何故か女の体に転生しました。  作者: BrokenWing
第一章
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スキル

         スキル



 俺は部屋の中央部に結界石を置き、結界の範囲内と思われるギリギリのところにアイテムボックスの在庫一掃を敢行した。盗賊から分捕った装備を筆頭に、魔核、肉、etc・・・。

 

 出るわ出るわ! よくぞこれだけ入っていたものだ。


「こんなもんかな? じゃあ、スコット、魔核で道具への効果付与、試してくれ。」

「了解ですにゃ! 失敗したら壊れるかもしれないけど、いいですかにゃ?」

「ああ、問題ない。壊れて困るような物は出していない。」


 クレアとミレアがベッドとソファーを出し、バーベキューセットみたいな物が広げられる。

 俺はベッドの上に魔法書を並べると、ミレアに火魔法の本を渡した。


「ほい、ミレア、返すぞ。読み終わったらまた貸してくれ。」

「はい、アラタさん、頑張ります!」


 え~っと、俺のスキルは、光、水、土がレベル0だったから、多分、火と風には適性がありそうだな。等と考えて、風の魔法書を手に取る。

 うん、すんなり頭に入る。程無く俺は【ウィンドカッター】と、【風の加護】を習得した。


 気が付くと、横が騒がしい。


「せ、成功にゃ?」

「アイスランス!」


 見ると、スコットとミレアが得意気な顔をして近寄ってくる。


「あ、アラタさん、これ見て下さいにゃ!」

「今の見ましたよね?! 氷系の呪文、覚えられました!」


 あ~、分かったから同時に言わないで~。


「二人ともやったな! ミレアはその調子で他のもあれば頑張ってくれ。どれ、スコット、見せてくれ。」

「「はい!」ですにゃ!」


 スコットが持ってきたのはダガーだ。


「これ、攻撃力が2増加したと思うですにゃ!」

「ん? お前アイテムボックス持っていないのに、鑑定できるのか?」

「魔核の力を注ぎ込んだら、叩いた時の音がほんの少し変わったですにゃ。」

「ふむ。」

「それで良く見ると、頭の中に表示が出ましたにゃ!」

「ふむふむ。」

「その表示を見ると、【ダガー:攻撃力+7】ってなってたにゃ! ダガーの基本性能は確か+5のはずですにゃ。」

「確かそうだったな。どれ。」


 俺はそのダガーを受け取り、アイテムボックスに放り込む。


ダガー:攻撃力+7


 うん、確かに攻撃力がアップしている。


「凄いぞ! 確かに+7になっている! ところでお前、ステータス見せてみろ。」

「はいですにゃ?」


 俺はスキルの欄を見る。すると・・・


スキル:言語理解3 弓術3 武器作成2 防具作成1 魔核合成1 鉱石鑑定2 道具鑑定1 風魔法1


 ! 新に魔核合成と、道具鑑定というのを取得している。


「やったな! ニュースキル、それも2つも! おめでとう。」


 その声を聞いて、クレアとミレアが飛んで来た。


「スコットちゃん、おめでとうですわ!」

「スコット君のくせに・・・。う、羨ましいです。」

「ぼ、僕なんかが・・・。あ、ありがとうですにゃ。」


 言葉とは裏腹にスコットはどや顔だ。


「ところで、魔核は何を使ったんだ?」

「ゴブリンの魔核を2個ですにゃ。」

「手順を教えてくれ。」

「最初、ダガーに魔核1個を合成したにゃ。音が変わったので、調子に乗ってもう一個合成したら、ダガーが壊れたですにゃ。」

「ふむ、ダガーでは2個の魔核の合成には耐えられなかったのかもしれないな。」

「僕もそう思って、やり方を変えてみたにゃ。ゴブリンの魔核同志を合成したら、色が変わったにゃ。そして、その魔核とダガーを合成したら、それが出来たですにゃ!」

「凄いな! その勢いで色々試してくれ!」

「はいですにゃ!」


 そこでいい匂いがしてきた。


「は~い、皆さん、食事が出来ましたわ。」

「うん、相変わらず旨そうな匂いだな。」

「今日はダークウルフの肉を焼いてみましたわ。味見はまだですが、この匂いなら間違いないですわ。」


 クレアが皆に取り分けてくれた。


「「「「頂きます!」」」にゃ!」

「う、美味い!」

「流石はお姉様!」

「お、美味しいですにゃ!」


 しかし・・・

 何かおかしい。妙に体がだるい。周りを見回すと、皆一様に首を傾げている。

 ひょっとして! 俺は自分のステータスを見てみた。


【ステータス表示】

氏名:アラタ・コノエ 年齢:22歳  性別:男 状態:毒


 ぶっ! 新に状態という欄が追加され、【毒】とか表示されている!

良く見ると、体力が少しずつだが徐々に減っている!


「皆、これは毒だ! 食うな!」


 体力の少ないスコットとミレアが心配だ! 先ずは隣に居たミレアに呪文を唱える。


「ポイズンカット!」


 クレアも事態を察してスコットに向けて同じ呪文を唱えた。

 クレアは自分で何とかできるだろうと思い、俺に向けて唱えようとすると、気分の悪さが収まっていた。

 どうしたことかと再び自分のステータスを見ると、毒状態が消えている。体力も減っていない。

 更に見ると・・・。

 やはりか。流石は勇者、チートだな。

 スキルに新たな項目が増えていた。【毒耐性弱】


 周りを見回すと、皆、呪文の効果で毒は抜けたようだ。クレアも自分に呪文をかけている。


「お姉様、とても美味しかったのに・・・残念です・・・。」

「旨い物には毒がある・・・。ですかにゃ。」


 誰が上手い事言えと! まあ、フグとかは確かにそうかもな。


「皆様、申し訳ないですわ! フォートウルフとかは無毒だったので、油断していましたわ。」


 クレアは謝りながらミレアとスコットにヒールをかける。


「クレア、確かに予想外だったが、いいこともあったぞ。」

「「「はい?」」」


 皆が一斉にこっちを向く。


「その、なんだ、言い難いのだが、【毒耐性弱】というスキルを取得した。それで毒状態も自然回復していた。」

「「「え~~っ!」」」


 皆が目を丸くする。

 それを尻目に俺は何事も無かったように、更に肉を食べる。


「やっぱり美味いな。」


 皆の視線が痛い。



 その後は言うまでもなかろう。もはや、狂乱状態だ。

 俺はひたすら、皆に【ヒール】をかけまくっていた。

 その甲斐あってか、最初にスコット、次にクレア、最後にミレアが腹を擦りながらも習得。


 気が付くと俺のスキルも【毒耐性中】になっていて、ついでに回復魔法のレベルも上がっていた。


「こんな美味しい・・・いえ、乱暴なスキル習得、聞いたことないですわ!」

「毒を喰らわばスキルまで。勇者様、恐るべしです。」

「耐性が最大になるまで食うですにゃ!」


 うん、スコット、その意気だ!



 その晩は結局そこで落ちてしまった。

 朝、リムに聞くと、スコットが遅くまで魔核相手に格闘というか研究をしていたそうだ。


「皆、おはよう。」

「「「アラタさん、おはようございます。」」にゃ。」


「皆、あれからはどうだった?」

「私は水魔法のレベルが2に上がりましたので、【ウォーターバースト】と【ドライ】

というのを覚えましたわ。」

「おめでとう。それはどういう効果だ?」

「【ウォーターバースト】は、狙った場所の水分を爆発させますわ。【ドライ】は狙った場所の水分を吸収する魔法ですわ。お洗濯がはかどりますわ。」

「ふむ、使えそうだな。しかし、【ドライ】はそういう使い方もいいが、他に使い道があると思うぞ。【ウォーターバースト】もだが、心臓とかに使うと即死させられるんじゃないのか?」

「両方とも直接手に触れた場所でないと使えないですわ。でも、懐に潜り込めれば、可能かもしれませんわ。」


「ミレアは?」

「私はあの後、【フローズンウィンド】という範囲魔法を覚えました。半径3mくらいですが、範囲内の敵を凍らせます。」

「お~、すぐにあの蛙相手に試してみたいな!」

「はい!」


「スコットはどうだった? 遅くまで頑張ってくれていたようだが。」

「はい、オーガの魔核を使って、防具の強化に成功しましたにゃ!」

「流石だな。何を強化してくれたんだ?」

「アラタさんは、既に着けてますにゃ。鎖帷子を+2できましたにゃ。」

「そうなのか! ありがとう。」

「残念ながら、僕の腕なのか、素材のせいなのかは分からにゃいですが、皮製品は強化できなかったですにゃ。」

「いや、十分だ。魔核はこれから手に入る種類も増えるだろう。元になる武器防具が、今は手に入らないのが辛いな。」

「そうですにゃ。でも、頑張りますにゃ。」

「うんうん。」


 その後、いつも通り、下の階を目指して探索する。

 しかし、今日は昨日の毒騒ぎで味を占め、耐性スキルを全員に取らせることを優先した。

 具体的には、目当ての耐性スキルを得られる魔物を一匹だけ残して、スキルを習得するまで攻撃させるという、RPGなんかで使う古典的なやり方だ。


 結果、全員に【暗闇耐性弱】以上がついた。俺に至っては【暗闇無効】になっている。


「次の階層主は20階に出るということで、いいのか?」

「はい、そう聞いています。何でも蜂の化物らしいです。」

「まあ、先の話か。取り敢えずは安全重視で行こう。」

「「「はい。」」ですにゃ。」


 俺が先を特に急がなくなったのには訳がある。

 昨日、【マッピング】を覚えたことにより、それを危機感知と合わせるとレーダーのようになるのだ。

 これにより、もし追手が来ても、同じ階なら早期発見ができる。また、もし相手に発見されても、こっちは魔物の居ない道を選んで逃げることが出来る。うまくすれば、魔物を追手に押し付けることも可能だ。もっとも、行き止まりに追い込まれればアウトなので、用心に越した事は無い。


 下への通路を見つけ、降りていく。

 この階層、13階でモンスターの編成が変わった。


 今まではジャイアントトードばかりだったのが、それに必ず骸骨の化物が混ざるようになった。

 倒して魔核を回収すると、スケルトンLv5の魔核 と、表示される。

 名前からするに、この先レベルが増えた相手と戦うことになりそうだ。

 こいつに関してはやたら攻撃力が高いのが特徴だ。大きな剣を振り回してきた所を、クレアが一発喰らってしまい、体力が半分近く持って行かれた。

 しかしお約束通り、回復魔法と火魔法が弱点らしく、魔法を使うとあっけなく倒れる。


 更に降りていくと、また新顔が増えるが、大した脅威となるものは居なかった。

 途中、毒の霧を吐く奴が出たが、今の俺達には耐性がある。

 

 その日は17階層まで降りて休憩することになった。


使い古されたネタですみません。


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