階層主
階層主
案内役が居るので、階層連絡通路を目指して最短で進む。
話によると、10階層までは、基本的にゴブリンがメインで、それにオーガが混ざる程度らしいのだが・・・。
「で、これはどういうことだろうな?」
俺達は今オーガ5匹の集団と対峙していた。
現在は9階層。
あと一階で階層主とやらが居る階なのだが、聞いていた話と少し違う。
「ぼ、僕の時はここらではオーガは混じっても2匹くらいでしたにゃ。」
「「私達の時もそうでした。」わ。」
「まあ、今まで通りで問題ないだろう。やるぞ!」
「「「はい!」」ですにゃ!」
俺とクレアが左右に分かれて突っ込む。
「ファイアウォール!」
オーガの集団が炎に包まれる。
そこに後方からスコットの矢がほぼ3本同時に放たれる。
それぞれが別々の標的に当たり、3体が重なるように倒れ込んだ。
難なく3匹撃破。
俺は向かって来た一体に蹴りを叩き込み、追撃しようとしたら、既にこと切れていた。
クレアもチェーンフレイルを、俺を襲おうとしていた最後の一体に叩き込み、一撃で沈める。
「やはりミレアの範囲魔法は便利だな。削ってくれたおかげで瞬殺だ。」
「いえ、オーガ相手だとまだ一撃では無理です。スコット君の援護が無いときついです。」
「でも、僕の弓だけではやはり一撃とは行かないですにゃ。ミレア姉様あってこそですにゃ。」
「うん、スコットの弓術スキルの成長はでかいな。ほぼ同時に3連撃か。俺も弓に転向しようかな? 最近、俺の出る幕があまり無いし。」
「そんなことないですわ。アラタさんが敵の注意を引いて下さるから、私達も思い切って攻撃出来るのですわ!」
「そ、そうですにゃ! 僕の存在意義を取らないで欲しいですにゃ!」
うん、この短期間で連携も取れているし、雰囲気もいい。
この調子なら、次の階層主とやらも問題無いだろうか?
「しかし、聞いていたより若干魔物が強いようだ。多分、これは全体的に魔物が強化されていると見て間違いないだろう。ならば、階層主とやらも強くなっていると見たほうがいいか・・・。」
「そうですね。私達の時は巨大な狼、フォートウルフの倍くらいの奴でした。弱点は特に無く、素早さが高い厄介な奴でした。」
「牙に触れただけで、毒を喰らってしまうので要注意ですわ!」
「ぼ、僕の時は見た瞬間に全員逃げだしたので、何も言えないですにゃ・・・。」
「分かった。クレア、ミレア、ナガノさん達はどうやって倒していた?」
「私は毒を喰らってしまって、瀕死で・・・その・・見ていませんわ。」
「従者の方が一撃でした。」
「やっぱナガノさんのパーティー凄いな。」
「あれを一撃って、想像出来ないですにゃ!」
「取り敢えず、今日は休もう。しっかり回復してから明日挑戦だ。」
「「「はい!」」ですにゃ!」
「あ、アラタさん、また見つけました!」
魔核を回収していると、スコットが駆け寄って来た。
手には魔結晶を持っている。本日2個目だ
「良く見つけられるな~。これも鉱石鑑定スキルのおかげか?」
「多分そうですにゃ。独特の光り方をするので、目が行きますにゃ。」
「う~ん、俺には分からんからな~。とにかく大したものだ。」
「照れますにゃ。」
「さっきのはミレアに渡したから、それはお前が持っておいてくれ。」
「はいですにゃ。」
俺達はあまり人が通らなそうな行き止まりの小部屋を探して、そこで休憩することにした。
昨日と同様、皆が食事の準備をしている間に俺は魔法書を読む。
今日は回復魔法を読んでみる。明日の敵が毒化してくるらしいので、クレアが覚えた【ポイズンカット】を会得したかったのだ。
しかし、昨晩既にリムが読んでいたようで、【ブラインカット】と共にすぐに頭に入った。
回復魔法の本にはそれ以上載って無かったので、他の魔法書に手を伸ばす。
厳密には他にも回復魔法はあるのだが、とても使えるとは思えない物ばかりだった。
回復薬を10本一気飲みできるようになるとか、全気力を消費して髪を伸ばすとか、夜のパワーが持続するとか・・・。編み出した奴の顔が見たい!
まあ、夜のパワーに関しては男の身体になれた時に期待か?
クレアは何も言わなかったが、既に習得していそうな気もする。
うへへ・・・覚えておくべきか?
等と下らない事を考えていると、急激に眠気が襲って来た。
「あたしの身体で妙な考えを起こさないでよね! さっさと寝なさい!」
「あ・・・すまん。聞いてのとおり、明日は階層主だ。準備・・・」
「はいはい! お休みなさい!」
俺は強引に寝かされてしまった。
朝起きると、皆既に準備を整えている。
リムからの引継ぎ事項は特に無かったようで、何も言われなかった。
それとも、まだ怒っているのだろうか?
夢の中を振り返ってみても、特に大したことは無かったようだ。
スコットが加わってからは、変態姉妹の襲撃も無くなったようで何よりである。
「じゃあ、今日は階層主だ。昨日から特に変わったことはないか?」
「私とお姉様はレベルが2上がっただけで、能力の伸び以外は特に無いです。」
「ぼ、僕もレベルが2上がっただけですにゃ。しかし、以前よりレベルの上がり方が早いですにゃ。」
「う~ん、敵が強くなったこともあるだろうが、これも勇者補正なのかな? いいことなんで問題ないだろう。」
俺も昨日の朝からレベルが3上がっている。ステータスも各々40近く増えていた。確かに凄い成長速度だ。
「じゃあ、行こうか!」
「「「はい!」」ですにゃ!」
通路を下って、10階層に出る。
危機感知スキルに集中すると、奥に1体でかいのと、普通のが2体、都合3体固まっていた。
「この階には階層主だけのようだ。ただし、お引きが2匹居る。」
「やはり強化されていますね。私達の時は階層主だけでした。」
「僕の時もそうですにゃ。」
俺は大楯をかざしながら、慎重に進む。その後にクレア、スコット、ミレアのいつもの順だ。
危機感知であと、20mくらいと思ったところで、大きな扉があった。
多分、これを開けると戦闘になるのだろう。
「入ったら、すぐにミレアは【ファイアウォール】、スコットは【風の加護】で命中を上げてから、お引きを頼む。俺は盾で防御しながら突撃し【ハイスタン】を唱える。クレアは俺の陰からお引きを攻撃。全員、やばいと思ったら絶対に無理するな!」
「「「はい!」」ですにゃ!」
「開けるぞ!」
扉を押すと、正面には体長4mくらいの漆黒の狼、左右にはオーガが居た。
お引きのオーガは今の俺達には脅威では無い。
これなら俺は巨大狼に集中できそうだ。
意を決して、俺は盾を正面に突っ込む!
魔物たちも俺達をすぐに視認したようで、真っ先に巨狼が走って来る。
「ハイスタン!」
俺は狼を足止めしたが、後方からオーガが追い付いて来た!
「ファイアウォール!」
絶妙のタイミングだった。
3体がほぼ横一直線になったところに炎の壁が広がる!
続いて後ろから矢が俺をかすめる!
それぞれの矢が1本ずつ魔物を捉える。
オーガ2体が倒れた。
巨狼はまだ動けていない。
ここまでが俺が魔法を唱えてから1秒くらいの出来事だ。
「よし!」
俺が叫ぶと同時に俺の横をクレアが駆け、大きな弧を描いて鉄球が巨狼の頭部にめり込む!
俺も顎の下を目掛けて蹴りを叩き込む!
クレアは更にチェーンフレイルの柄の部分を狼の目に突き立てた!
「深追いするな! 硬直が切れる!」
クレアは突き刺さった得物をそのままに、すぐにバックステップした。
俺も盾を構え直して油断なく魔物を見据える。
「グルル・・・」
巨狼が体勢を低くし、大きく口を開けた。その中には大きな火の玉が見える!
魔法、いやブレスか? こんなの喰らったら洒落じゃ済まない!
俺は盾をいっぱいに広げた狼の口に押し込んだ!
直後に狼の口が炎に包まれる!
何とか阻止に成功したようだ。
「アクアダーツ!」
「ファイアショット!」
「喰らうにゃ3連射!」
魔法と矢が連続で魔物に降り注ぐ。
が、まだ倒れない。
「ならば!」
俺の魔法はまだ詠唱できないので、ショートソードを抜いて魔物に飛び掛かった。
狙いは喉!
巨大な爪が降ってくるが、難なく躱して懐に飛び込んだ。
「とどめ!」
真上に突いた剣が奥まで突き刺さる!
真っ赤な血が垂れるとともに巨大狼は横たわった。
それと同時に、魔物が最初に居た場所の後ろにあった扉が音を立てて開いた。
「ふぅ~、ツインサイクロプス程では無かったが、結構渋太かったな。ふむ、倒さないと進めない仕組みか。」
3人が満面の笑みで俺に駆け寄って来た。
「流石ですわ! アラタさん!」
「これで仕返しが出来ました!」
「昔の仲間に自慢できますにゃ!」
「まあ、皆強くなった結果だろう。」
今思えば、炎を吐こうとしていたから、火には耐性があったと考えるべきだろう。
ならば、火魔法がメインのミレアには相性が悪い。
そして、あの素早さは、腰を入れた一撃重視のクレアにも最悪だ。
最後に、スコットのパーティーがどんなだったかは知らないが、無謀に挑むよりは、逃げて正解だったのかもしれない。
うん、無謀の結果がクレアとミレアだ。
「よし、魔核を回収して進もう。」
「はい、後、肉も回収するべきですわ!」
「ん? クレア、こいつ食えるのか?」
「狼系の肉は結構いけますわ。なので、多分食べられるはずですわ。」
「分かった。アイテムボックスに入るだけ持って行こう。」
「そうですね。アイテムボックスの中なら腐りませんし。」
「早速解体するにゃ!」
解体作業中に、スコットがまた魔結晶を拾って来た。これで4つ目だ。まだ持っていないクレアに渡すと、凄い勢いで感謝される。
まあ、使うことはまず無いとは思うけど、保険はあったほうがいいくらいの感じだったのだが。
俺が巨狼の口から大盾を引きずり出すのに苦労していると、スコットが寄って来た。
「その牙、武器の素材として使えそうですにゃ。」
「そうなのか? お前が作れるのか?」
「今は道具が無いですにゃ。町で買うか、アジトにならありますにゃ。」
「じゃあ、補給で町に帰った時にでも買い揃えよう。盗賊共には関わりたくないしな。」
「武器屋に直接持って行く手もありますにゃ。」
「う~ん、金も時間もかかりそうだし、俺はあまり顔を晒したくないし。出来ればスコットにやって貰いたいな。」
「僕の技術で出来る範囲で良ければ頑張りますにゃ! 後、毛皮も防具に使えそうですにゃ。」
「よし、じゃあ、牙と毛皮も回収しよう。」
俺はアイテムボックスから、盗賊達から手に入れた斧を取り出し牙を折る。
スコットはダガーを使って器用に皮を剥いでいく。
肉はクレアとミレアによって既に切り分けられていた。
魔核も取り出されていて、フォートウルフの物より2回りほど大きく、色も鮮やかだ。
ミレアがまた高く売れそうだと、にこにこしている。
アイテムボックスの空き容量もかなり増えていたので、肉と一緒に片っ端から放り込んだ。
ちなみにアイテムボックスの容量は、レベル×魔力×0.1kgだ。今の俺なら500キロくらい持てる。
魔物の名前が知りたかったので、放り込んだ物を確認する。
ダークウルフの魔核×1
ダークウルフの肉×100kg
ダークウルフの牙×6
ダークウルフの皮×20kg
「これで食料は、暫くは安泰だろう。ところで、魔核って売れるのは聞いたが、何に使うんだ?」
「私も詳しくは知りませんが、武器や防具、それと魔道具に使うと聞いています。」
「そうですにゃ。魔核の魔力を物に移し替えるのですにゃ。そうすることで、色々な追加効果とかが発揮されますにゃ。」
「そうなんだ! じゃあ、今俺達が持っている物に出来る?」
俺は目を輝かせてスコットを見る。
「簡単な物ならできますにゃ! でも、今僕達が持っている武器や防具だと、元の素材が悪いので大した効果は期待できないですにゃ。僕が未熟なせいもありますにゃ・・・。」
「なるほど・・・、ゴブリンとオーガの魔核なら沢山ある。ダメ元でやってくれないか?」
「はいですにゃ! ただ、ここだと魔力の流れが不安定なので、できれば落ち着いたところでやりたいですにゃ。」
「まあ、ボス部屋だし、もし再配置されたら厄介だ。次の階で頼む。」
「頑張りますにゃ!」
俺達は階層主を倒した時に開いた扉をくぐった。
参考までに、今回終了時のステータス。
おかしいところがあったら教えてください。
【ステータス表示】
氏名:アラタ・コノエ 年齢:22歳 性別:男
職業:冒険者 勇者 貴族 レベル:15
体力:300/300
気力:330/330 +20
攻撃力:315 +15
素早さ:335 素早さ+1
命中:335
防御:300 +26
知力:375
魔力:335 +1
魔法防御:315
スキル:言語理解5 交渉術2 危機感知3 格闘術3 剣術2 人物鑑定2 特殊性癖1 回復魔法2 水魔法0 土魔法0 光魔法0 家事2 社交術2 アイテムボックス503
【ステータス表示】
氏名:クレア 年齢:20歳 性別:女
職業:奴隷〈リムリア・ゼーラ・モーテル〉 レベル:35
体力:127/127
気力:117/117 +20
攻撃力:141
素早さ:136 +1
命中:128
防御:114 +30
知力:94
魔力:102 +1
魔法防御:117
スキル:言語理解3 棍棒4 格闘術1 水魔法2 回復魔法2 家事4 社交術2 特殊性癖2 アイテムボックス333
【ステータス表示】
氏名:ミレア 年齢:19歳 性別:女
職業:奴隷〈リムリア・ゼーラ・モーテル〉 レベル:33
体力:101/101
気力:125/125 +20
攻撃力:100
素早さ:117 +1
命中:101
防御:100 +16
知力:120
魔力:120 +5
魔法防御:112
スキル:言語理解4 剣術1 ガード1 火魔法3 風魔法1 家事3 社交術2 特殊性癖2 アイテムボックス396
【ステータス表示】
氏名:スコット・オルガン 年齢:18歳 性別:男
職業:冒険者 鍛冶師 レベル:26
体力:93/93
気力:80/80 +20
攻撃力:90
素早さ:84 +1
命中:104 +1
防御:77 +11
知力:81
魔力:91
魔法防御:88
スキル:言語理解3 弓術2 武器作成2 防具作成1 鉱石鑑定2 風魔法1




