サラサのダンジョン
サラサのダンジョン
今向かっているのは、サラサのダンジョンだ。サラサ自治領に最も近いということでそう呼ばれている。
途中、魔物と2度ほど戦闘になったが、相手の数も少なく、問題無く退けた。
スコットの弓はなかなかで、牽制、とどめと十分に役立ってくれる。
結果、今の配置としては、前衛が俺とクレア。後衛にスコットとミレアという形式だ。
ただ、防御役が居ないのが問題だ。ミレアは大盾が使えるので、前衛を抜かれても暫くは持つが、魔法を妨害される。スコットも無防備になる。
現状では、俺がスタントリックを唱えて、ひるんだ所を寄って集って凹るという鉄板戦法で問題ない。今のところ、魔物も散発的にしか出ない。しかし、敵の数が増えてきたら問題だ。
「ということで、攻撃力は落ちるが、俺が盾になろうと思う。」
「それならば私が盾になりますわ!」
「私が前衛になるという手もありますが?」
「うん、クレアにも盾は持って貰う。確かにミレアは盾スキルを持っているが、ミレアの魔法は攻撃の要なので、それは却下だ。」
「ぼ、僕ではダメですかにゃ? 僕も男ですにゃ。女性を守りたいですにゃ!」
「気持ちは分かるが、スコットはこの中で最も防御が低い。もう少しステータスが伸びてから考える、ということで我慢してくれ。」
俺はアイテムボックスから、先程の盗賊から分捕った中でも比較的小さな盾、小手と一体型のをクレアに渡した。
「相手が少数なら今まで通りだ。敵の数が増えたら俺が盾を構えて引き付ける。その間に皆で攻撃だ。」
「気が引けますけど、アラタさんの決定なら従いますわ。」
「仕方ありません。私ももっと魔法の腕を鍛えます。」
「ぼ、僕も頑張りますにゃ!」
本来ならばクレアに盾役になって貰うのがベストだろう。俺の機動力も活かせる。
しかし、スコットではないが、彼女達にそんな危険な役を任せる気にはなれなかった。
一応、俺の防御力が最も高いというので理由付け出来るが、それを言えば攻撃力が最も高いのも俺である。
そうこうするうちに、ダンジョンの入り口と思しき洞窟が見えて来た。
「あれだな?」
「「「はい。」」ですにゃ。」
「スコットは入ったことがあるのか?」
「はい、ありますにゃ。でも、僕は10階層の主相手に逃げ帰ったですにゃ。」
こいつもか!
全員が目を伏せる。
「まあいい、とにかく入ろう。」
中はミレアが言っていた通り、それ程暗くは無かった。壁全体がほんのりと明るい。
俺はアイテムボックスから、盗賊の持っていた大楯を取り出し装備する。
全員、今できる限りの完全装備で進む。
俺が先頭を歩き、クレア、スコット、ミレアの順だ。
危機感知スキルに反応があった。
「この先に小部屋でもあるのだろう。6匹固まっている。」
「はい、すぐに少し広い部屋がありますにゃ。」
「お、スコットは地形を覚えているのか?」
「完全ではないですにゃ。僕の時は最初の階層にはゴブリンが居たですにゃ。」
「私の記憶でも、最初の階層はゴブリンでした。大して強くないです。でも、6匹は多いですね。私達の時は一度にせいぜい2~3匹でした。」
ミレアが補足する。
「難易度が上がっているのか? とにかく油断せず進もう。」
視界が開けると、小鬼の集団が居た。身長は130cmくらい。武器は剣、斧、弓、槍とばらばらだ。
目が合った!
俺は盾を構えて部屋の中に躍り込む!
ゴブリンも俺に向かって走りこんでくる。
「スタントリック!」
先頭の槍を構えて突進してくる奴をひるませた。
「くたばりなさい!」
クレアの鉄球が動きを止めたゴブリンの頭に直撃する!
「クレアナイスだ! しかし、前に出過ぎるな!」
「はい!」
「ファイアウォール!」
俺に群がろうとしていた一団に炎の壁が襲い掛かる!
集団が一気に崩壊した。一匹を残してばたばたと倒れる。
残った一匹が弓を放ったが、俺は盾で難なく防ぐ。
俺の横を後ろから矢がかすめていく!
その矢がゴブリンの頭部に見事に命中した。
「グオ!」
悲鳴と共に最後の一匹が倒れる。
俺は再び危機感知スキルで辺りの様子を探る。遠くのほうにいくつか固まっている気配はあるが、目の前に倒れている連中からは何も感じられない。
「皆、良くやってくれた! 完璧だな。」
クレアは俯いてもじもじしていたが、ミレアはとスコットは当然と言った顔だ。
「ミレア、少し火力が上がったようだな。前回までは一撃とはいかなかったはずだ。」
「はい、ありがとうございます。アラタさんと一緒だと能力値の上昇が高いです。」
「クレアもスコットもこの調子で頑張ってくれ。」
「「はい!ですにゃ!」
「この感じだと、ここの階層の敵は問題無さそうだ。下の階を目指そう。道が分かるか?」
「はい、案内できるかと思います。この部屋を出て、次の分岐を右です。」
ミレアの答えにクレアもスコットも頷いている。
俺達は魔核を回収し、準備を整えてから歩きだす。
ゴブリンの肉は臭くて食えないし、売れる物も無いそうなので、死体は放置していった。
下に続く通路まで、2度戦闘をこなしたが、さっきと同じやり方で、全く問題無く全滅させた。
「よし、降りよう。降りたら休憩できるような場所を探そう。なるべく冒険者が通らなそうな場所がいい。」
「それなら心当たりがありますにゃ。」
やはり地形を知っている者がいると心強い。
もっとも、10階層までだろうが。
階段を下りながらレクチャーを受けた。
どうやら次の階もゴブリンばかりらしい。
通路を降りると、俺の危機感知が次の小部屋に集団が居ることを告げる。
何故か一匹だけ気配が違う。
「数は5匹だが、一匹だけ少し大きな気配の奴が居る。注意してくれ。」
「「「はい!」」ですにゃ!」
今までと同様に俺は盾を構えながら部屋に飛び込む。
見回すと、ゴブリンが4匹、他に2mはある奴が一匹居た。
「オーガですわ! この階層には居ないはずなのに・・・。」
「でかいのは俺に任せろ! 後は今まで通りいくぞ!」
「スタントリック!」
俺はオーガをひるませる。
「ファイアウォール!」
ゴブリン達が一斉に倒れる。一匹残ったが、スコットの的にされ、頭を射貫かれた。
最後に炎に包まれたオーガが俺に向かって来たが、もう遅い。
俺の背後から飛び出して来たクレアに、鉄球を叩きつけられる!
「うん、少し予想外の奴が居たようだが、問題無さそうだ。」
「そうですね。ですがやはり一旦休憩したほうがいいでしょう。外はもう真っ暗なはずです。」
よくよく考えてみれば、10階層まではクレアとミレアだけで行けたのだ。
この程度で躓くわけには行かない。
「よし、休憩場所を探そう。スコット、案内頼む。」
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