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異世界からの多重人格者  作者: ますむ君
黒瀬の世界
3/30

第二章  やっぱ、異世界と言えば魔法ですよね!

 

 ......さて、一回頭の中の整理をしようか。


 まず、俺、黒瀬君鳥は気付けば森の中で寝転がっていた。

 しばらく森の中を散策したものの、大したことはわからずじまいだった。

 ......まあ、いつの間にか着ている服が変わっていたり、学生カバンがどこかにいってしまっていたりと、おかしなことはあったんだけど。

 一時は落胆した俺だったのだが、


 その先で、俺は『魔法』を見た。


 物理法則を無視して出現する炎、水、電気。

 あれを魔法と言わずなんと言おうか。

 結論を言うと、だ。


 「俺はホントに異世界に来ちゃったのか!?」


 頭の中の『もう一人の人格』もそう言っていた。

 

 ___どうか、俺と入れ替わってくれないか。と。


 いや、でも! でもさぁ、ありえないっしょ、こんなおかしな事。

 それに、さっきから何とか魔法を使おうと頑張っているのだが......。


 「ったく、なんだよ、炎なんて出ないじゃないか」


 右手を突き出したり、テキトーな魔法名みたいなのを叫んだりいろいろ試しているのだが。

 さすがに、いでよ! 黒炎龍!! って叫んだ時は恥ずかしかったよ? 誰もいないのに地面に座り込んじゃったよ。

 別に俺は厨二病ではない!(断言)


 こういった感じのファンタジーモノでの『魔法の使い方』というのには、幾つかのタイプがある。俺の持論だ。


 まず、魔法をイメージすることや、魔法に対する想いによって、魔法を生み出すタイプ。

 この場合だと、俺に才能があればすぐにでも魔法を扱えるだろう。だって想像するだけだし。自分が魔法を格好よく無双しているのを想像するだけだし。

 しかし、さっきからこういった想像はしているのだが、上手くいかなかった。よって不正解。

 いや、確かに無双シーンは想像したけど、厨二病じゃないからね。(明言)


 次に、レベルアップや経験で、魔法を扱えるようになるタイプ。

 このタイプだった場合は、俺に出来ることは無くなってしまう。

 俺がこの世界にやって来たのはほんの二時間ほど前である。経験もなにも、魔法を使った事すらないのだ。

 残念ながら、このタイプが正解だという可能性は大いにある。


 続いて、魔王とかに力を授かるタイプ。

 いや、こんなモンに打つ手なんかねえよ。

 どこ行ったらいるんだよ、魔王さんよォ。

 うう、この可能性も十分あるな。


 まあ、突然目覚めるタイプとかジョブで選ぶタイプとか他にもあるんだけど、どれも確実性に欠ける。

 結局のところ、人に訊くしかないのだろう。

 一旦、魔法は諦めて、とりあえず人を探そう。

 城塞都市とかあると思うんだけどなぁ。ほら、ここファンタジーワールドだし?

 それにさっきの兵隊さんが、あと5キロで着くぞ!! とか言ってたし。とりあえず人のいる所まではあと5キロ、という事だ。

 よし、とりあえず5キロ行ってみるか。これでも俺、体力には自信ある方なのだ。


   ▼▼


 ところがどっこい、一時間くらいしか持たなかった。


 「なん、で......、一年で、こんなに体力、って落ちるモンなのか?」


 俺は中学の二年間、水泳を続けてきた。二年間というのは、三年生の四月に辞めたからだ。無論、理由は受験である。

 しかし、その二年で俺には結構な体力を溜め込んでいたはずなのだ。

 じゃあなぜ、こんなにも体力が激減しているんだ?


 「ああ、そっか。俺は今、俺の体にはいないんだっけ」


 ようは、俺と入れ替わった『もう一人の人格』の体力が少なかったのだ。いや、それでも少なすぎると思いますけど。 

 ちゃんと体力ぐらいつけとけよ、ホント。

 ていうか、この体の持ち主はどんなヤツなんだ? その事についての手掛かりも全くない。

 

 なんとか息切れは落ち着いたな、と地面にへたりながら思った時だった。

 

 「......? なんだ、この音」


 ザザザザザ......。


 おそらく、葉が風で擦れる音だろう。だが、それではおかしい。

 風の音が聴こえるのは一方からだけ。丁度、俺の後ろの方から聴こえてくる。


 ザザザザザ、ザザザザザザザザザザ、ザザザザザザザザザザザザ、


 うん?なんか音が大きくなっているような。

 危険を感じ、少し身をよじったその時。俺の予感は的中した。


 ザザザザザズゴォォォォォォォォッッ!!


 「な、ん......!」


 もの凄い爆風。大量の葉っぱが飛び、冗談抜きで視界を埋める。

 間違いない、この向こうに人がいる。これは魔法だ。

 敵か見方かは分からないが、確実に誰かがいる。

 これはチャンスだ。今のこの状況から抜け出すチャンスだ。


 「い、行ってみるか......」


 立ち止まっていたって状況は変わらない。そしてなにより、もう体力が残ってないし。

 できるだけ音を立てないよう、ゆっくり後方へ進む。

 背を丸めながら歩くのは結構きついが仕方がない。

 背骨が限界! ってとこまで来たところで、少し開けた場所が見えてきた。そして案の定、


 「いたいた。あれは......女の子か?」


 森の開けた所に一人、赤毛ポニーテールの女の子が立っていた。おそらく年は俺と同じか一つ上かぐらいだろう。

 大きな木に隠れ、暫く様子を見ることにしよう。

 

 赤毛ポニーテールちゃんは素手。別に魔法少女が使うステッキみたいなのは持っていない。

 やっぱり、さっきの兵隊さんたちと同じように、何か特別な道具は必要ないってことだ。

 うーん、もう一回魔法使ってくれないかなぁ。何か手掛かりが掴めるかもしれない。


 お! 手を前に突き出したぞ。ようし、そのまま強烈な一撃を放つのだ!!

 赤毛ポニーテールちゃんの両手に集まる光の粒子。まるで蛍が群がって、ぽわわーんって感じだ。いいぞ、そのまま続けるんだ!

 って、ええ! 何でそっち向いちゃうんだよ!! こっからじゃ見えないじゃねえかよ。

 

 くそう、赤毛ポニーテールちゃんがもう一回魔法を使うかはわからない。これを最後に帰ってしまえばそれまでなのだ。つまり、何としてもこの一発を見なければならないのだ。

 

 ......いや、もうちょっとコッチ向いてくれれば見える! くっ、あとちょっと、あとちょっとなのに!

 うー、と唸りながらなんとか魔法の原理を突き止めようと、赤毛ポニーテールちゃんを凝視する俺。なんかストーカーみたくなってるな、俺。

 

 その時、異変が起きた。


 たぶん、赤毛ポニーテールちゃんが魔法を使ったわけではない。光の粒子はまだ彼女の掌に集まったままだ。

 異変が起きたのは、俺の視界。

 赤毛ポニーテールちゃんの周りに現れた無数の文字、数字。

 

 「何だ、これ......?」


 俺の視界にはこんな文章、というより単語が現れた。


   レイチェル=アトラス (16)

   残命値 92%

   損傷状態 nothing

   精霊力 70%

   稼働率 42%


 まず、レイチェルってのは赤毛ポニーテールちゃんの名前だろう。これで少なくとも日本人ではないことがわかる。

 損傷状態、残命値は、たぶんHPみたいなのだろう。

 精霊力、稼働率ってのはよくわからん。何だよ、稼働率って。パソコンかよ。

 

 そして、さらに現れた新たな文字列。


   光源魔法 コスト1


 ......光源魔法! 

 ということは、あのぽわわーん、って光ってるのは魔法なのか? にしてはショボいな......。

 コスト、ってのも気になる。コスト1ってのはスキルレベル1みたいなモンなのか? それならこの魔法がショボいのも納得がいく。

 

 おもわず夢中になっていた。だって、魔法だぜ? 異能バトルだぜ? ファンタジーワールド全開だぜ?

 てか、何なんだよ、このステータスウインドウみたいなのは!?

 おかしくなったのか、俺の目は。いや。


 もしかして、これが俺の魔法なのか?


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