表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界からの多重人格者  作者: ますむ君
黒瀬の世界
22/30

第二十一章 ある異世界の決着。

全てが洗い流され、ただ真っ平な大地に俺とガブリエルは立っていた。

 

 アルカストは消えた。

 レイチェルとローズも遠くに運んだ。

 

 「ここにいるのは俺とオマエだけだ。正々堂々戦おうぜッ!」


 俺はガブリエルの下へと突っ込む。

 『状態透視』(ファインド・アウト)を起動。ガブリエルのステイタス、魔法の弾道予測線。俺にはそれらを視る事ができる。


 否、それしかできないのだ。

 俺の魔法は防御も攻撃もできない。

 有効ま攻撃手段としては、このナイフがあるのだが。

 

 「オマエに何ができるってんだ、あァ!?」


 対してガブリエルは『神の真意』をはじめとして、高威力な魔法を扱う事ができる最強の魔術師の一角。

 『激流王』の召喚、天使の翼と、もうなんでもできちゃいそうな感じだ。

 

 「いいか、クソ王子! この世界ではなぁ、より強い者が生き、さらなる高みへ上る。そしてなんの力もねぇクソ共は地獄の底まで落ちて行くだけなんだよ!!」


 神の力が光の矢となり降り注ぐ。

 一発でも当たれば即死。それくらいの威力が込められている。

 だけど。

 

 「ハッ! じゃあなんで、俺をまだ死んでないんだ!!」


 「......ッ!」


 そうだ。

 確かにこの世界、いやどの世界でも弱肉強食の世なのかもしれない。

 だけど、だからといってそれに抗うのは悪い事ではないはずだ!

 逃げるんじゃなく、抗うんだ。


 俺は光の矢を全て避けきった。

 ただ避けるのではなく、ガブリエルへ近づきながら回避した。


 「いいか天使、俺はもう逃げないぞ」

 

 だんっ、と地を蹴り一気にガブリエルへと接近。

 ナイフの刃が直接届く所まで来た!


 「調子に乗ってんじゃねぇぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


 ガブリエルは天使の翼を直接振るう。

 俺を串刺しにせんと、狙う。

 

 「丸見えなんだよ!!」

 

 俺には弾道が視えている! 安全なルートなんかすぐに見つかるんだよ!


 「チィッ!!」


 そのまま迷わずナイフで斬り上げる。


 「掠ったな!」


 「くっ......!」


 こいつだって人間なんだ。刃物で突き刺せば殺せる。

 絶対に越えられない壁なんかじゃない!

 

 そして、もう次の手は用意してある。

 俺は懐から『それ』を取り出した。

 そのままガブリエルへ投げつける。


 「これでも喰らえ!」


 「ざけてんじゃねぇぞ!」


 ガブリエルは迷わず『それ』を天使の翼で潰す。破裂する。

 かかったな!

 

 「なっ!?」


 吹き散らされたのは毒ガス。俺が投げたのはこの前買った異常誘発魔法生物(キラード)、ポイズネスグミだ。

 さすがのガブリエルも、毒ガスを吸えば死ぬ。

 ガブリエルは回避しようと翼を広げる。

 一瞬のタイムラグ。

 そこが隙だ!


 「らあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 グシュッ。


 「がはっ!?」


 俺のナイフは、ガブリエルの脇腹に突き刺さっていた。


 血を吐くガブリエル。

 初めて効果的なダメージを与えられた!


   残命値 60%


 けど、まだ甘い!!

 俺はナイフをもう一本抜く。これが最後の一本だ。

 そしてそのまま天使の心臓に突き刺し_____


 「舐めてんじゃねぇぞォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!」


 「がっ!?」


 弾かれた!

 クソっ、あともう一歩だったのに!

 俺はまた地面に転がってしまう。

 もうどこもかしこも血まみれだな......。

 死んでないのが不思議なくらいだ。

 

 「だはっげほっ! ったく、痛ってぇな......。ウゼェ! さっさとぶっ殺すぞクソ王子様よォ!!」


 もう何度目だろうか。神の力が現れる。


 「神の意志を伝えてやる!」


 「はっ......」


 神の意志? ふざけんな。んなもん、鼻で笑ってやるよ。

 言ってやる。


 「なぁ、天使様。オマエにとっての神ってのはなんなんだ?」


 「......!?」

 

 俺は立ちあがる。

 ったく、オマエは神様を馬鹿にしすぎなんだよ。


 「オマエにとっての神の意志ってのは、オマエが代弁できるほど軽い物なのか? それとも」


 「黙れ......」


 俺は動かない。

 恐怖のあまり動けないのではない。

 こんなヤツ、逃げなくたって倒せる!


 「オマエ、自分がそんなに立派な存在だとでも思ってんのか?」


 「黙れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇェェェェェェェェェェェェ!!!」


 あまりに強い、神の力が放たれた。

 だが同時、異常があった。


 「教えてやるよ天使様」


 

 景色が変わった。

 神の力が消滅した。

 法則が塗り替えられた。

 周囲に俺の見慣れた(・・・・・・)街の風景があった。


 「なんなんだよ......なんなんだよここはァッ!!」


 

  東京駅前に、俺たちは立っていた。


 

 ここは確かに東京駅だ。だけど、周り人はいないし、バスも走ってない。

 きっとここは本当の東京駅ではないのだろう。景色だけの世界。

 だけどわかる。


 ここは、魔法なんてふざけた法則なんて存在しない。


 「クソっ、どうなってやがる!? 力が使えないだと!?」

 

 「教えてやるよ......」


 「......っ!?」


 「おまえは何も考えず人を殺し続けた。人間のことなんて考えも、信じもせずにな!」

 

 俺は一歩、また一歩とガブリエルへ近づいて行く。力に頼る人間は、それを失った時に耐えられない程のダメージを負う。その法則は、どの世界でも同じようだ。


 「『聖呪の苗木』の皆が信じてた神様は、オマエが言う神様とは違うのかもしれない。貧弱な神なのかもしれない。けどな」


 「く、そがぁぁぁぁァァァ!!」


 「自分の神をろくに信じてもないヤツに、それを踏みにじる権利なんてねぇんだよ!!」


 俺と天使の距離はもう零に等しかった。


 「神の意志を伝えてやる。地獄の底で一生後悔しやがれクソ天使!!!」


 ズドッと、俺の拳が、天使の顔面に炸裂した。


 「......オマエはたくさんの人たちを殺した。その罪は償え!」


 ガブリエルは、水の天使は地に倒れた。


 これで終わりだ。やっと終わった。

 世界も元に戻っていた。

 

 それを確認し、俺もまた、倒れた。

誤字脱字は指摘してくださると助かります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ