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二十四話 ミッション用意

いつでも夜のような地下都市を抜け、来たときと同じ道を通って地上に出る。

外は薄暗く、冷たい空気が辺りを支配していた。夜明け前の山林は湿気ていて深く息を吸うと体内を洗浄されるような気になる。

フユ達四人を連れ立って外に出ると、チェリは止めてあった五輪マークの車の窓を叩く。

反応が返ってくる前に助手席の戸を開ける。

チェリの後ろから車内を覗くと、昨晩から車番をしていたのだろう、運転席で帽子を顔に載せて眠っている様子のシュウがいた。

「シュウ、勅令が下りたわ」

ぴくりと身じろきした後、気怠そうに帽子をどかす。

サングラスをしたまま寝ていたことに驚かされながら、サングラスをしていても寄せられた眉や口元から不機嫌さを読み取ることはできた。

「わかった、早く乗れ」

フユ達を促し、後部座席にいれるとチェリも助手席に収まった。


シュウに対し軽く打ち合わせを行いながら車は走行する。

目的地は地上鉄道の車載品補給場。

車を降りると発車前の点検中車両に忍び込んだ。

「勅令よ。私達はなんとしてもこの車両から議員を降ろしてはいけない」

車両の内装に隠れながらチェリが本作戦の内容を繰り返す。

「降ろしてはいけない、なんて妙な勅令もあるもんだ」

シュウが変装用のボーイ装に着替えながら呟いた。サングラスをはずし、素顔を見せる前に制帽を目深に被る。完璧に気配の薄い使用人になりきっている。

「……女神は未来が見えるからね」

身体をしなやかに天井裏に仕込みながら、返答をした静かな声はとても悲しげに聞こえた。

そうだったなと返すと、豪奢な飾り付きのカートを持ってシュウは車内通路に消えた。

「僕らは何かするんですか」

二人のスパイらしさに胸の高鳴りを隠せない。

「あなた達は今度の選挙用ポスターのモデルっていう設定よ。私達に比べれば一番自然に近づけるはずだから頑張って議員を引き留めて」

設定という言葉に少し胸が熱くなる。

「最終確認よ。この地上鉄道は本来終点の議事堂まで止まらないわ。ストライプの変なスーツを着た若い議員を議事堂につくまで引き留めるの。他の人が何を言おうと車に乗せてはダメよ」

わかったと首を縦に振って返事をする。

「いいわ。ミッションスタートね」


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