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二十二話 休憩所

蛍光灯の明かりは白くて眩しくて、地下都市の夜を演出した青い光とは異なり現実感を増した。

二段ベッドが壁際に二つそびえ立つ狭い部屋は野外学習の宿泊所を思い出させる。部屋が男女別なのも合同宿舎らしい性格だ。

部屋にはフユ達が来る前にすでに一人がベッドに横たわり大いびきをかいていた。

気分が悪いがこの大地を揺るがすような大いびきには聞き覚えがある。

まさかなと自分をごまかしつつ左手のベッドをのぞき込むと、良い意味で期待は裏切られた。ひげもじゃの偏食者ではなさそうだ。


目の前にいるのは髪の伸びた、ださめの色をした服装の男。ベッドサイドにくたくたの白衣を引っかけていることからなんかの科学者のようだとフユは予想する。

しかし後ろのザキの言葉にやっぱり直感は当たっていたことが証明される。

「うわ、ハク博士がいる」

ぎょっとして振り返ってザキを見ると、サイアクだと呟いてうるさそうに耳をふさいでいた。

「オレちょっと他の部屋に用事有ったの忘れてた……後で様子見に来るからな」

彼が部屋から出る間際の言葉は、ご愁傷様だったような気がする。


ひげを剃っただけで結構な若さを取り戻していた奴はごーごー気持ちよさそうに呼吸をしている。

一緒にいるアキは、この脳内すら振動させる轟音をもろともせずに誰が使ったかわからない寝台に潜り込むと、おやすみと言ってカーテンを閉めてしまった。

「なに勝手に自分の場所決めてるんだ」

追いかけるようにアキの元へ顔を飛び込ませる。

不思議と、カーテンを隔てると不快ないびきは比べようのない程聞こえなくなった。

アキはもう布団にくるまって重たげなまぶたを半分閉じてフユを見る。

「俺は寝相が悪いから下の段を譲れ、落ちたら怖いだろ」

普段なら部屋中に布団を敷いて寝ているんだと、大げさなことを言う。

「落ちちまえばどっちも一緒だろ」

「そんなわけあるか」

もう出て行けと張り手で押し出された。

もうこいつは許さない。

顔を出してからカーテンの端を引っ張り少し開けた。

うなされる声が聞こえだした。

悔しかったら起き上がってカーテンを閉めてみろ。一度布団に入ればそれがどれほどおっくうか!

少し気が晴れたので電気を消すと手探りでアキの上の段へと向かった。

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