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第二章  【016】 第二章 完



  【016】



「う……ううん」


 目を開けると、そこには天井があった。


「あ、あれ?……そう言えば、さっき体育のサッカーで俺……ここって……保健、室?」

 すると、声が聞こえてきた……、

「れ・い・じ・くんっ」

「!?」

 俺の寝ている布団の中から。

「え、ええええええ~~~!」

 俺はビックリして布団から飛び出した。

 すると、そこには「一人の女性」が眠っていた。

「何よ~、ビックリするじゃない。いきなり布団から飛び出さないでよっ!」

「いやいやいやいや……、これが普通の男子高校生のリアクションですっ! て言うか、あんた誰だよっ?!」

「ふふふ……わたしは天野照あまのてる、保健の先生よ」

 しかし、布団の中にいた天野照は、白衣を纏ってはいるものの、その白衣の中の服装は身体のラインがわかるほどのピッチリしたスーツで、また、白衣の胸の部分を大きく開いており、目のやり場にこまる。「保健の先生」とは到底思えない格好をしていた。

「い、いくら保健の先生でも、こんな寝ている生徒のベッドに中に入るなんて……お、おかしいでしょっ!」

「ふふ、診察よ」

「い、いや、診察って、何の……」

「それはね……零時くん、あなたの『中にいる人』の確認のため、よ……」

「……えっ?」

「……ふふふ、いるんでしょ? シッダールタ」

 しばらく沈黙が流れたが、シッダールタは観念したようで、俺と身体を入れ替えた

「…………久しぶりだな、アマテラス」

《ええっ!? この保健の先生が……『天界の女王アマテラス』っ!》

「久しぶりね、シッダールタ。そして、はじめまして……八峰零時くん」

「ど、どうも……」

 その時、保健室の扉がいきおいよく開いた。そして……、

「ア……アマテラス様っ! よくぞご無事で。お会いできて光栄です、なのだぞ~!」

 と、そこには『マリアと身体を入れ替えた舞園』がおり、アマテラスにいきおいよく飛びついた。

「おおっ! 久しぶりだな、マリア」

「し、心配でした、なのだぞ~。ご無事でしたか、なのだぞ~!」

「ははっ、わたしは大丈夫だよ、マリア。元気だったか?」

「は、はい~なのだぞ~!」

 マリアは、アマテラスの胸でゴロゴロして甘えていた。

「ま、舞園……じゃなくて、マリアか?」

「あ、零時。どうしたのか、なのだぞ?」

《ど、どうしたの……零時くん、大丈夫?》

《ま、舞園。あれ……そう言えば、お前、授業は? てか今、何時だ?」

「もう夕方なのだぞ……零時」

《ええっ?! 俺、一時限目からずっと寝てたってこと?》

「ああ、そうだよ。まーグッスリとねっ」

 と、アマテラスがクスッと笑顔で答えた。

《う、うそだろ~……ちくしょう、何なんだよ、さっきの四組の奴……何かワザとされたような……》

 すると、さらに部屋の奥の方から声がした。

「ご、ごめんね……八峰零時くん」

《あっ! お、お前は……!?》

 そこには、さっき俺に肘を打ち付けた男が立っていた。

「僕の名は、八雲マキオ(やくもまきお)。アマテラス様の従属第二天使セカンド・アテンダント。さきほどは手荒なマネをしてすまなかった」

《……従属第二天使セカンド・アテンダント。つまり、このマリアと同じ天界の女王を守る天使ってこと?》

「はい」

 すると、横からマリアが叫んだ。

「マ、マキオっ! なんでお前がここに……なのだぞ?」

「お久しぶりです、マリアさん」

「ふふ、このマキオちゃんがわたしと一緒に人間界まで逃げてくれてたのよ、おかげでうまく学園ここにもぐりこめたわ」

「そ、そうだったのか……なのだぞ」

「はい。何とか魔界の悪魔に見つからないようにここまでやって来れました」

《そ、それじゃあ、お前もマリアと同じで天使ってこと?》

 と、零時が八雲マキオに質問した。

「はい。そうです」

《そうだったのか~……。でも、それにしてもさっきのあの『肘』は何だよ? 何でいきなり……》

「ごめんね、零時くん。あれ、わたしがマキオちゃんに頼んだのよ。こうしてここに君を連れてくるために、ね」

《そ、そうだったんですか……》

「ごめん。本当、すまないことをした、零時くん」

《い、いいって、いいって。それにしても、ちょっと意外だな……》

「何がなのだぞ?」

《いや……その……天界の女王を守る『従属天使』っていうのには『男の天使』もいるんだな……って。俺はてっきり『従属天使』は、みんな『女の天使』とばかり……》

「?……何を言っているの? 零時くん?」

《えっ?》

「僕は……『女』だよ?」

《えええええええっ!?》

「そうよ。マキオは『女性』よ、零時くん」

《う、うそ~……》

 じゃ、じゃあ、俺はさっきのサッカーで女性にボールを取られた挙句、肘を食らわされたってことかよ……。

 零時の中で、男としてのプライドがグラッと大きく揺らいだ。

「ふふ……零時くん、かわいい。あっ! それとわたしのことは『アマテラス』て呼んでね。『天界の女王』とか『アマテラス様』とかは、ナシよ?」

「ええっ! アマテラス様! そ、そんな……いいのですか、なのだぞ?」

 マリアが少し驚いてアマテラスに聞き返した。

「もちろん。零時くんだものっ」

 マリアが驚いた顔で、一度、零時のほうを向き、そしてまた改めてアマテラスのほうへと向き直した。

「……アマテラス様。では、やはり、零時は、あの……」

「ふふ……そうよ。確認は取れたわ」

「ま、まさか、なのだぞ……?」

《な、何なんだよ……マリア》

「そ、それは……」

 ここで、シッダールタが間に入った。

「……マリア。お前はさきほど来たばかりでまだ知らないようだがお前以外は皆、確認した。だから、ここからは、わたしから皆に……零時に話そうと思う」

《?……シ、シッダールタ?》

「そうね。シッダールタから話して」

「零時くん……君は一時間目に体育で気を失ってこの保健室に連れてきたのだが、そこからこの夕方まで『寝てた』のではなく、わたしたちが『強制的』に気を失ったままにしていた」

《えっ?》

「理由は……君の中に『巨大なマナ』があるかを確認するためだ」

《きょ、巨大な……マナ?》


 物語は、動きハジメル。



 第二章 完


とりあえず、ここまでで一旦、終了となります。


また、続編が完成したら始めますので、そのときはまたよろしくお願いします。


ありがとうございました。


m(__)m

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