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ぐるぐるする考えを遮って目を閉じても、よく分からない夢を見て、目が覚めて、まだ夜でというのを何度繰り返しただろうか。
つねられて痛かった合宿の夢の途中で目覚まし時計が鳴った。
アラームの音を止めつつ時間を見ると、待ち合わせの2時間前だった。十分間に合う。
カーテンを開けて空を見た。いい天気の日曜日。いったいどこに付き合えっていうんだ。
とりあえず着替えなくてはと思い、洋服ダンスを開けた。ふと昨日の奏太の顔がよぎった。うまく言えない、何かを考えている顔をしていた。付き合ってほしいって言 いつつ、どこで何というのをうまく言えずにいた。いつものように突っ込んで聞いたりするのがためらわれて、結局聞けなかった。
頭の中でいろんなことがぐるぐる回った。
いったい、どこにいくのか、何をするのか、大したことはしないだろうけど。っていうか、デートなのか?いや違うのか?どんな服着ればいいんだ、制服ってわけにはいかないだろうし…
あれではない、これではないとタンスの中身をひっかきまわしている間に、あっという間に時間が過ぎていた。とりあえず、無難に、シャツとジーンズを着て、朝ごはんを食べることにした。あわてて階段を降りたら、階段を2段踏み外した。足が痛い。
ここで遅刻するのも嫌だという思いで、痛みを堪えて朝ごはんをかきこんだ。朝からバイトの姉が目を丸くしていた。そりゃ、いつもはまだ寝ている時間だ。
バタバタと身支度を整えて、家を出た。30分もあれば着く場所だから、まだ余裕で間に合うはずというのは分かっていたのに、なぜか走っていた。
なんで、私、走ってるんだろう…足も痛いのに。
ふと冷静になり、止まって歩いた。
妙にそわそわする。
デートっていうわけじゃないよね、友だちなんだしという思いと、葵ちゃんの奏太が私に対する接し方が違うよねという言葉が同時によぎった。
いったいどっちなんだろう。いったいなんなんだろう。