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葉桜~late spring days  作者: ともかlabo
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 その後のことは、何となくしか思い出せない。それぐらい、混乱してしまったんだと思う。


 お昼に行こうと言われて、普通に手をつないで歩いた。手をつないだというか、手を引っ張ってもらったというか…。それから、お昼を食べにファミレス入ったことは覚えているけれども、何を食べたか、何を話したかがうまく思い出せない。時折ぼんやりしていて、突っ込まれたことは記憶にある。


 あんまりにもぼんやりしているのを見て、心配になった奏太が「とりあえず、帰るか」と言ってくれた。うなずくのが精いっぱいだったけど、なんだかほっとした。そのあと、帰りの電車でも何かを話したんだけれども、うまく話せたのかどうだったのか、よく思い出せない。


 たしか、奏太が私の降りる駅まで一緒に乗ってくれて、改札で別れたと思う。いつもみたいに、手を振って「また明日」って言って別れた。


 家に帰ってぼんやりしていたら、周りが真っ暗になっていた。


 ご飯と言われて、そんな時間までぼんやりしてしまった自分にビックリした。食卓になかなか来ない私を心配してお姉ちゃんが部屋に来てビックリしていた。


 「何かあったの?電気もつけないで、どうした?」

 「えっと…なんでもない。」

 「ならいいんだけど。」


 首をかしげながら、お姉ちゃんが思いもよらないことを言った。


 「鎌田くんが『様子が変かもしれない』って言ってたけど、会ったの?」


 バイトで一緒だったらしい。あわててしまった。


 「えっと、ちょっとね。あ、あれだよ、二人で会ってたんじゃなくて、部活で一緒の子と出かけて、そこで会ったんだよ。」

 「う、うん、そうか。ま、何があったかよく分からないけど、とりあえず、ご飯だってさ。」

 「分かった、今行く。」


 ゆるゆると立ち上がりながら、ふと、明日どうすればいいのか、気になり始めた。


 私は、どうしたいのだろう。私は、奏太のことを、どう思っているのだろう。自分のことなのに、よく分からなくなってきた…。


 夕飯もうまく喉を通らなかった。食べる気がしなかった。昼間のことで頭の中がいっぱいだった。お母さんに謝って、自分の部屋に戻った。


 ベッドにばさっと横になって、枕を抱えて昼間のことを思い出した。


 「好きだ」って言われた。仲間、友だち、それ以上ではないと思っていた奏太から、「仲間じゃ嫌だ」と言われた。「一歩進めないか」と言われた。その言葉の意味するところは、どう考えても「彼氏」「彼女」という関係だろう。


 どうして私なんだろう。もっとかわいくて、もっと優しくて、もっと頭良くて、もっと要領よくて、ばたばた慌てたりしない、奏太にふさわしい女の子がいるはずなのになんで私なんだろう。


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