遠い所で
学校で借りた本を読み終えてしまいました。春休みはあと一週間。宿題も私にとっては珍しいことに、全部終わっています。暇です。本をもっと読みたいです。というわけで、近くの図書館に行って本を借りてこようと思います。
出掛ける準備をして、家族に「行ってきます」を言ってさあ出発。玄関の戸を開けて外に……あれ? なんだか景色がぐにゃぐにゃしてる? ……気のせいか。外に出て戸を閉めました。その直後、戸が盛大にぐにゃっとなったように見えました。あれ、また? と思っていたら今度は乗り物酔いのように気持ち悪くなり、おまけに意識がだんだん薄れていきました……。
……目が覚めました。まだ頭はぼーっとしてますが。どうやら私はうつ伏せになっていますね。えーと、確か私は玄関の戸を閉めたところで気持ち悪くなったのですよね。その後倒れたようです。
いつまでもこの状態でいるのもあれなので、とりあえず、腕に力を入れて体を起こして気付きました。
なんと、私は砂の上に寝ていました!
びっくりして、一気に頭がすっきりしました。だって、我が家は玄関開けたらコンクリートのはずです。近所で砂のある場所なんて保育園の砂場しか思い浮かびません。
今度は辺りを見回してみます。
信じられないものを見ました。
海です! 私の左側に海が広がってます! 私の住む県に海などありません。テレビでは何度も海を見ましたが、実際に見たのは両手の指の数以下です。しかも泳ぎに行ったのは一回だけです。私にとって海は珍しいものなのです。
どういう訳か私は砂浜で寝ていたみたいですね。……って、
「えええええええええー!?」
家の前で気を失ったはずの私は、家から遠い所で目を覚ましたようです。