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第8話 いざ!ハイナ教国へ!

視点変更 レオーナ→レイ


 やっと、ハイナ教国の国境の前に着き、茨の砦を見上げる。

「……今更だけどこの茨大きすぎない?」

「一応季節によってはバラの花を咲かせるようですよ。」

『見て見たい。』

「私も見たことないですね。」


 二人と一匹で話しながら砦に沿って歩いていると検問所に辿り着いた。 検問所にはエルフの男が二人居た。 二人の格好は真っ赤なローブを着ている。 初めて見る装備で少し興味がある。 二人のエルフは俺たちの姿に気づいたらしくこっちに話しかけてきた。


「おや、どうかしました?」

「あ、あのですね。」


 とりあえず二人にはアリアが攫われた事、私が助けたことを伝えた。 


「それは大変でしたね。 少し持ち物検査をしたら入っていいですよ。」

「え、もっと何か確認しないの?」

「ええ、ハイナ教を信ずる者を疑うなです。 エルフは皆ハイナ教を信じていますから。」

「そうですか。」


 エルフは良くも悪くも人を信じる種族であるようだ。 もう一人のエルフが黒猫さんに目を向けて俺に聞いてきた。


「ところでこちらの猫は……?」

『レイの使い魔です。』

「喋れるのか!?」

「ええ、使い魔ですから。」

「使い魔でも喋れない者は居ますよ。」

「ま、まあ使い魔なら大丈夫か……済まないがこちらの部屋で持ち物や装備を点検させてもらうよ。」

「はい。」


 真っ赤なローブのエルフに連れられて歩く。


「ねえ、アリア。」

「何ですか?」

「この人達って軍か何かなの?」

「ああ、この人達は魔導隊です。 オルアナ王国でいう騎士みたいな人達です。」

「あのローブ欲しいなぁ……。」

「そこですか……でもあのローブ、鎧みたいに防御力があるらしいですね。」

「ランクは?」

「確かDですよ。」

「Dかぁ……じゃあいいや。」

「結構現実的ですね、レイさん。」

「私も色々あったんだよ……。」


 運営が悪ふざけで出現した東京ドーム位の大きさのモンスター「魔法城ジャイアントスパイダー」を捕獲しようとしたり、国同士の戦争で俺ばっかりが狙われたり……見た目重視じゃあどうしようもないと思い知らされた……聖女のワンピースがなければもっとゴツイ装備になっていただろう。


「……とりあえず、ここで待っていてください。 担当の隊員を呼びますので。」


 部屋で待つようにいった魔導隊の人の顔がやや引きつっている。 どうやらさっきの会話を聞いていたようだが無視する。 しばらくすると同じ真っ赤なローブを着た女性がやってくる。


「お待たせ、じゃあ準備するからちょっと待ってね。」

「何をするんですか?」

「ん?【補助 サーチ】であなたの装備とかを調べさせてもらうよ、個人情報とか軽く無視しちゃうけどそこら辺は勘弁してね。」

「私は、それでいいですけど。」

「うん……まあいいかな?」

「?レイさん何か問題あるんですか?」

「い、いや何もないよ?」


 ……今、ハイエルフでエルフマスターでレベル500だよな? 今の世界の状況からして俺はイレギュラーな筈。 どうにかして隠したいがどうすることも出来ない。


「よし、準備完了。 じゃあやるよ? 大丈夫?」

「はい。」

「う、うーんまあ。」

「じゃあ、【補助 サーチ】。」


 魔導隊の人がアリアを凝視して、しばらくしたら紙に何か記している。 多分名前とかを書いているのだろう。


「じゃあ、次は……っえ!?」

「どうかしました?」


 魔導隊の人が俺を見て固まる。 


「……ハイエルフでエルフマスターってあなた何者ですか!?」

「あ、やっぱり珍しいんだ。」

「珍しいってもんじゃないですよ! ハイエルフなんてもう、女王様しかいないと言われていたのに。」

「レイさんハイエルフだったんですか。 てっきりホーリィエルフくらいかと思っていましたが。」

「そうだよ~。 褒め称えてもいいんだぞ~。」

「実際に褒め称えられてもおかしくないですよ。」

「そ、それは困るね。」


 俺は自由に生きるんだ!


「あ、このことは報告書に書いても良いけど色々な人に言いふらしたらダメだよ。」

「は、はい!」


 検査を終え、すぐにハイナ教国内に入れた。 なにやら魔導隊の人達が敬礼をしていた。


「何で、みんな敬礼していたんだろう?」

「ハイエルフはハイナ教では神に近い存在ですからね。 女王様くらいしかハイエルフはいないですよ。」

「ほ~。」

「理解してます?」

「流石に分かるよ。」


 ハイナ教国は国境に沿って森があるとアリアが言っていたが、中々大きい森だ。 アリア曰く侵入者とかを精霊に教えてもらうためらしい。


「そういえばアリア?」

「何ですか?」

「あなたの故郷って何処? 首都に行くついでに送りたいのだけれども。」

「私の居た村ですか?」

『それ以外に何があると?』

「……私としてはもっとレイさんと一緒に旅をしたいんですけど。」

「何で? お父さんやお母さんには会いたくないの?」

「会いたくないって訳じゃあないんですけど……村から外にでたのは初めてで、レイさんと出会えたんだったら人さらいに攫われたのもよかったかもって思ってしまう私もいるんです。」

「う~ん、確かアリアの家って教会なんだよね。」

「はい、ハイナ教国は貴族が居ない代わりに聖職者が高い地位に就いていますからね。 よく言えばお嬢様、悪く言えば箱入り娘っていう感じですかね。 まあ、村には友達もいますし、商人の人とも喋ったりはしますけどね。」

「でも、色々と知っていたよね。」

「それは全て本からですよ。 初めて見る物ばっかりでしたから。」


 アリアがやや自嘲気味に笑う。


「つまり、アリアは家族を心配させたくはないが。 もっと外を見たいって訳だね。」

「……はい、そうです。」

「なら、簡単だよ!」

「……何かいいアイディアが?」

「アリアのお父さんとお母さんに自分の気持ちをハッキリ言って。 私と居てもアリアが安全だという事を証明すればいいんだよ!」

「……レイさんは私と居ても迷惑じゃないんですか?」

「迷惑なわけないじゃん! むしろ私がアリアに助けられてばっかりじゃない!」

「レイさん……ありがとうございます……。」


 アリアが半分泣きながら答える。 親の問題か~俺も昔はスカートを履かせようとしてくる母や姉に怒って、三日間家出したこともあったもんだ。 アリア位の歳(俺もだな)の時には大体悩む物だというからな。 アリアの友達として出来る事をしてあげたいと俺は思った。


「大丈夫! あなたの事を言えばきっと分かってくれるって!」

「はい……そうですね……。」

「じゃあ、善は急げだね! すみませーんそこの商人さ~ん!」

「ん? 何だ?嬢ちゃん達?」


 私は、後ろからきた商人の馬車に話しかける。


「護衛ついでに私達を乗せてください!」

「い、いきなり唐突だね……。」

『使い魔付きだよ。』

「うぉ!猫が喋った。」

「お、お願いします!」

「私をタダで雇えるんだから乗せなさい!」

「何故そこで命令口調なんだお嬢ちゃん! まあ、いいけど。 どこまで行くんだい。」

「何処? アリア?」

「え、えっとシイラ村まで。」

「シイラ村? ああ、ちょうど休憩地点にしようと思っていたんだ。 いいぜ。」

「ありがとうございます。」

『感謝する。』


 商人は了承してくれたので荷馬車に乗り込む。 今回乗った荷馬車はアリアを攫った人さらいの物とは違い窓が二つ有り、中には木箱がいくつか置かれている。 窓にはガラスがはめられている。


「おー! 意外と広い!」

「お嬢ちゃん……いきなりで結構失礼だよね?」

「そんな事は気にせずに行こう!」

「一応気にしなくちゃいけないと思いますけど……。」

『早く行きたい。』

「……まあ、いいやお嬢ちゃん。 しっかり護衛をしてくれよ。」

「もちろん!」



 さあ!アリアの故郷へ!


 

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