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第79話 病院の少女

視点変更 黒猫さん→レイ


「……」


 物音がしない真夜中、俺は不意に目が覚めた。 アリアの姿は見えない……多分どこかに泊まって居るのだろう病院に泊まる訳無いし。


「いたっ」


 何となくベッドから出ようとして起き上がった時、左肩の傷が痛んだ……が我慢出来ない程ではないので無視する。 病室は個室だが、誰かの目を覚まさせないように月明かりを頼りにしながらゆっくり病室から出る。


「……とは行っても何処に行こう?」


 何の目的も無く病室から出てしまったので扉の前で考える。 散歩……は病院の中では迷いそうだし、ネイのお見舞い……ネイの病室が分からないし真夜中に行く物ではないので却下。 しばらく右手を顎に置き、考えるポーズを取っていると「ぺた」という足音が俺から見て右の方から聞こえてくる。


「……!!」


 もしかして→幽霊? という文字が頭をよぎる。 ついさっき幽霊っぽい使い魔を【召喚】した俺だけど、怖い物はやっぱり怖い。 確認はしたいが怖くて動けない……いや、でもちゃんと確認しないと。 もしかしたら変なモンスターかもしれない。


「どうしたの? お姉ちゃん?」


 俺が体を膠着させ、頭の中で色々考えていたら、右から子供らしい高い声が聞こえて来た。 俺が声のした方を向くと、俺と同じ様な白い服を着た黒い髪の少女が手を後ろで組んで俺を見ながら立っていた。 身長は今の俺の胸にちょうど頭来るくらいまでしか身長が無い。 足は裸足で黒い毛が覆っている、どうやらドワーフらしい。 少女は俺が視線を向けると何だか嬉しそうな表情をした。 とりあえず挨拶はした方が良いよな……っと状況がイマイチ理解できてない俺は焦りながら目の前の少女に挨拶をする。


「え、えっと……こんにちは?」

「今は夜だよ? お姉ちゃん」


 ……思いっきり間違えた。


「こ、こんばんは」

「こんばんは~……フフ」


 俺に挨拶を返した後に手で口を隠しながら小さく笑った少女……明らかにさっきの件で笑ったな。


「ごめんなさい。 お姉ちゃん……まさかこんな夜にこんにちはって言う人が居るとは思わなくて……フフ」

「そ、そんなに可笑しいの?」


 ちょっと言い間違えた程度でここまで笑われるとは。 俺はそこまでおかしい事をしたのだろうか? 夜に「こんにちは」って言う人をあっちの世界で見た事が有る……いや、そっちもおかしいのか。


「私こんにちはって言われたの久々で……ついおかしくて」

「?」

「あ、ごめんなさい変な話して」


 少女の言葉に首を傾げていたら途端に頭を少し下げ謝る少女。 こんにちはって言われるのは久々……何か訳ありなのだろうか?


「ところでお姉ちゃん。 こんな夜に何してるの?」

「ん? うーんちょっと寝れなくて病室から出たは良いけど何したらいいか分かんなくて部屋の前で悩んでたの」


 少女の大きな黒い瞳で見られながら聞かれ、正直に答える。 それを聞き少女はまた笑い始める。


「お姉ちゃん変なの~」

「……」


 流石に変って正面から言われると傷つくな。 ちょっと顔を伏せて落ち込んでいると少女が俺の手を掴んでくる。


「じゃあさ! 私のお部屋で遊ぼ!」

「え?」

「ほらほら、行こ!」


 少女に右手を両掌で握られ腕をブンブン振られる。 ……深夜だけど良いのかな? 何て俺の数少ない一般論が首を傾げている内に少女に思いっきり引っ張られる。


「うわっ!」

「ほらほら! 早く早く!」


 少女が俺の手を持ったまま走り出したせいで少しよろけながらも何とか少女の後ろを着いていく。 暗い病院の中を良くそんなに走れるなっと変な所で感心しながらも何とか少女に止まるよう説得しようとする。


「ね、ねえ! 君!」

「君じゃなくて私の名前はマイナだよお姉ちゃん」

「あ、そうなの? ごめんマイナちゃん……じゃなくて!」


 話の流れをマイナちゃんに取られそうになり、必死に軌道修正。 ちなみに今も走ってます。


「マイナちゃん、こんな夜に他の人を病室に連れてきて良いの? 看護師さんに怒られるよ?」

「それ病室から出てたお姉ちゃんが言うの?」


 あ、それもそうか。 何て少し納得し、油断した直後にマイナちゃんの走る速度がちょっと速くなる。


「え、あ、ちょっと!」

「お姉ちゃんうるさい。 患者さんが起きちゃうよ?」

「うぐっ」


 正論を言われ俺は黙って少女の後を着いていく。 まあいっかという諦めの気持ちを持ちながら。


 そういえば、俺の病室って何号室?










「着いた~」

「……」


 ひ、左肩が痛い。 走りすぎて傷が開いたか? 自分の肩を心配しながら周りを見る。 今居る場所は俺の病室の周りと似た感じで俺の前に笑顔で居るマイナちゃんの横には「202」と書かれた扉が有る。


「ここがマイナちゃんの部屋?」

「うん! そうだよお姉ちゃん……あ、お姉ちゃんって名前何て言うの?」

「私の名前?」

「うん!」

「レイだよ」


 マイナちゃんが名前を聞いてきたので普通に答える。 するとマイナちゃんは黒い目を輝かせ、私に抱きついてきた。


「え! 何!?」

「何か嬉しくて……レイお姉ちゃんかぁ」


 俺の顔を見上げながらそう笑顔で言うマイナちゃん。 ……かなり元気な子だな。 なんで病院に居るんだろ……難しい病気にでも掛かってるのかな。


「ほら、レイお姉ちゃん入って入って!」


 マイナちゃんが俺の手を引っ張りながら病室の扉を開け、病室に誘って来る。 俺はそれに抵抗をせずについていく。 そして病室の中に入る。 病室の中は月明かりでうっすらと見える。 構造は俺の部屋と一緒でありベッドが置いてあり、窓が一つ。 テーブルと椅子が一つずつベッドの近くに置いてある。 俺の部屋と違うのは何も飾って無い俺のと違いベッドの上に猫みたいなぬいぐるみと枯れた花が飾ってある花瓶が一つ有る位だ。


「ここが私だよ~」


 マイナちゃんは病室を見せびらかすかのように両手を広げ万歳みたいなポーズをしている。 俺はそれを見て微笑ましくなりながら椅子に座りマイナちゃんに話し掛ける。


「で何するの?」

「何にも決めてないよ」


 あれ、自分の部屋に呼んだのに何も無し?


「何もないの?」

「うん、ただレイお姉ちゃんを呼びたかっただけだよ」


 そう言い、座っている俺にゆっくり裸足で足を滑らすように歩いてくるマイナちゃん。 俺はその動きに少し恐怖を覚える。 何に恐れてんだ? 至って普通……いやちょっと元気な女の子が近付いて来てるだけじゃないか。


「ねえ、レイお姉ちゃん」

「な、何?」


 ちょっと声が上擦りながらマイナちゃんに返事をする。 いつの間にかマイナちゃんとの距離はほぼ0になっていて俺の足に小さな手を付いて来る。 そして顔を俺の目の前に寄せてくる。 そして小さな口からこう言葉を発した。


「私と一緒に今日はここにいよ?」


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