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第73話 赤く染まる海

久々に1話を見直してみたが……文章の書き方大分変わった気がする。

何でだろ?

視点変更 ネイ→レイ


 夕陽が沈み掛けてゆっくり暗くなっていく空。 俺はボイルの港町の海面でラズと杖で鍔迫り合いをしている。


「はあ!」

「……クッ!」


 私が杖に力を入れラズを空中に弾く。


「まだだ! 【魔法 ダークレーザー】」

「無駄! 【魔法 シャインバリア】」


 空中で立て直したラズが杖を俺に向け黒い光線を放って来る。 俺はそれを半円形の結界で見事に守る。


「ってこれをずっとやってる訳には行かないな……」


 接近戦になってもラズが距離を退き魔法を使う。 それを俺が守る。 守ったらラズが接近してくる……の無限ループをさっきからしている。 流石にずっと同じ事をしていると色々辛い。 集中力とか。 けれどラズはこのループの間、黒猫さんからの攻撃を避けたりもしているが、一向に疲れる気配がない。


「……本当にどうしよう」


 街の方にもう片方の魔族も行っちゃったし、早くあっちに行きたいのに……。


「流石だなレイよ。 我とここまで戦ってまだ魔力も体力も残っている」


 なんて考えていると俺の要望を無視するかのようにラズが話し掛けて来た。


「そりゃどうも……」

「だが、そろそろ我のモンスターがこの街に到着する。 俗に言うタイムアップという奴だ」

「それはどうかしら?」

「何?」


 とりあえず自信満々のラズに否定的な言葉を発する。 いや、解決策は何にもないけど。


「あなたが出したのって水中のモンスターよね?」

「貴様見ていたのか」

「ええ」


 とは言っても見てたのは最初の一匹でその後は近付いてくる方の魔族を注視していたので何体出したのかは知らない。 が、俺もリンクドルフィンを10体出して敵のモンスターの所へ向かわせている。


「そして私が対策を取らないとでも?」

「……網でも用意したのかな?」


 俺の言葉にラズは神妙な顔で私に聞いてくる。


「いや、私がしたのはモンスターを【召喚】したのよ。 リンクドルフィンを10体。 あなたの出したモンスターはもう倒したんじゃないのかな?」


 私は自信満々にどや顔を追加してラズにそう答える。 正直ラズの出したモンスターが良く分からなかったので不安は有るがここで弱味を見せちゃマズいという気持ちで一杯だった。


「……貴様は我の出したモンスターがたった10体で倒せるとでも?」

『え?』


 思わず出たという声を発したのは黒猫さん……いや、分かる。 俺もそんな声を出しそうになった。 モンスターの【召喚】には【魔法】と一緒でMP……こっちの世界だと魔力を消費する。 ちなみに【補助】も魔力を消費し、【奥義】は物によっては魔力を消費する。 【召喚】で消費する魔力はモンスター次第だが、2桁を超える数のモンスターを【召喚】するプレイヤーは少ない。 時間は掛かるし何より魔力がギリギリになってしまい魔法使いとかだと戦い辛くなる。 まあ、その分数は多いのでモンスターを上手く使えば戦えなくはない。 俺はハイエルフでエルフマスターの特権を利用し、レベル350のリンクドルフィンを10体出した……けどそれをたっただと?


「我が出したのはレベル390のダークメガロドンを30体だ。 貴様程度のモンスターには負けんよ」

「なっ!?」


 ダークメガロドン……まあ分かり易く言うとデカい鮫である。 全長20m位で馬鹿デカい。 攻撃は接近戦が中心だが大きさのおかげで攻撃範囲がデカい。 さらに水中で戦う為水中戦に慣れてないプレイヤーはかなり苦戦する。 厄介なモンスターだ。 あいつを30体!?


「有り得ない……」

「貴様にとってはそうなのだろう。 だが我なら有り得る。  ほら、来たぞ」


 ラズがそう言うと空と一緒に暗くなっていた海に巨大な影がぼんやり現れる。


「キャッ! 【補助 飛行】」


 俺は思わず悲鳴を上げ、空中に逃げようとするが


「【魔法 ジェットファイア】」

「うわっ! 【魔法 簡易結界】」


 ラズが魔法を俺に打って来たのに反射的に反応してスキルを使ってしまい空中で止まってしまう。 そこに水中から巨大な鮫が私めがけてまるで空を飛ぶかのように口を開いて襲ってくる。 そして俺を【魔法 簡易結界】ごと飲み込み……ってえ?詰んだ?


『ご主人様!』


 黒猫さんの言葉を最後にダークメガロドンの口は閉じた。










視点変更 レイ→ラズ


『そんな……』


 壊れた桟橋の上に居る黒猫がそう呟いた。 レイを口に入れたダークメガロドンはそのまま海に潜った。 そこに他のダークメガロドンが合流して来る。


「もしあの口の中から脱出出来てもこれでは無理だな」


 思わず口を歪めながら呟く。 我としては自分の手で倒したかったがこれはこれで良い。 何て考えていると爆発音と共に水柱が1つ、ボイルの港町の建物程の巨大な物が発生する。


「何?」

『ご主人様?』


 我と黒猫が2人して軽く驚いてしまった。 が水柱の後しばらく経っても何も現れない。


「……やはり数には勝てなかったか」


 恐らく何らかの手段でダークメガロドンの口から抜け出したが他のダークメガロドンにやられたのだろう。 我は杖を握り直すと黒猫の方に向く。


「さて、黒猫よ。 そなたの主は死んだが我と戦うか?」

『……もちろん』

「ほう……」


 我は我に対して戦う姿勢を見せる黒猫の様子に思わず感嘆の声を出してしまった。 使い魔なんて主が死ねば見捨てる物だとばかり思っていたが奴は違うようだ。


「何故逃げぬ? 我と戦う意味等もう何も無いではないか」

『有る』

「ん?」

『意味は有る』


 黒猫はそう答えた。 使い魔に意味か……。


「それは復讐と言う奴か?」

『それも有る……それに街にはまだ仲間が居る』

「ほう……使い魔が主以外の者を気に掛けるとは」


 変わった使い魔だ。 我は杖を黒猫に向ける。


「まあ、復讐等我はさせぬ! 【魔法 ダークレーザー】」

『!』


 黒猫は我の魔法を素早く避けながら桟橋の上を街の方へ走る。


「逃げても無駄【魔法 ジャイアントメテオ】」


 暗くなってきた空から灼熱のオーラを纏った巨大な岩が桟橋に向かって落ちてくる。 その大きさは桟橋よりも遥かに大きい。 これが落ちれば桟橋どころか港に近い家も巻き込むだろう。


『……』


 黒猫は逃げるのは無理と悟ったのか逃げるのをやめる。


『ごめん、ご主人様』


 黒猫が眼を閉じそう呟いたのが我の耳まで聞こえた。 そして街を巻き込み桟橋を跡形もなく崩壊させる。 ……つまらない最後だ。 我は崩壊した桟橋を見てそう思った。 日がほとんど落ち、暗くなった海は我の下だけ赤く染まっていた。

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