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第6話 迷子になって見つけた物は……

 迷って大体30分近くたった気がする。 景色はさっきから変わらないが、ちょっと奥地に行っているような気もしなくもない。


「う~ん、完璧に迷ったわね。」

「ま、まだいけます……。」


 アリアの声が震えている。 そんなに空を飛ぶのがそんなに嫌なのだろうか? アリアを少し心配しつつも二人でその後も歩き続けるとふと鈴の音が聞こえた。


「ギロチンの音!?」

「なんですか? それ。」


 しまった。 このネタはアリアには分からなかったか、当たり前だけど。 とりあえず音源を探すと、路地のさらに狭い細道に黒猫が一匹こっちを見つめている。 その黒猫はちっちゃな黒いコートのようなものを着ていて野良猫ではないようだ……もしかしてこの猫は。


「黒猫さん?」

「はい?ああ黒猫がいますね。」

「黒猫じゃないよ! 黒猫さんだよ!」

「それって重要な所ですか?」

「うん! とっても重要だよ! あの子使い魔だもん!」

「えっ! っていうか何でそんなに目がキラキラしてるんですか。」


 黒猫さん……俺が、「マジック・テイル」をしていた頃手に入らなかった使い魔の一つだ。 使い魔は、使い魔専門の店で契約をすることで【召喚】をすることが出来るようになるのが大体だ。 だが他にもイベントや依頼、で使えるようになる物等もいる。 黒猫さんはその後者にあたる使い魔なのだが入手条件がかなり厳しい。 黒猫さんは一年に一匹「マジック・テイル」のどこかに出現し、それを捕まえれば使い魔として使えるという使い魔の為手に入れられるのは運以外のなにものでもない。 黒猫さんは闇魔法が使え後方からの援護にはとても便利である。 あとさらにプレイヤー達を魅了させたのが【補助 変身】という一部のモンスターしか持っていないスキルを持っていて、戦闘には関係ないが黒い服をきた12歳くらいの美少女になることが出来て、一部のプレイヤーは血眼になって探しているという噂を聞いたことがある。 はっきり言おう。 黒猫さんが欲しいです!

 その、黒猫さんが細道の奥に逃げる。


「あ!待って!黒猫さん!」

「ちょ、ちょっと! レイさん待ってください。」


 俺の制止を無視して黒猫さんはどんどん奥に進む。 まるでどこかに誘おうとしているように……


「レ、レイさん……ちょ、ちょっと待って。」

「あれ?アリア顔が赤いよ? 大丈夫?」

「レイさん、足……速すぎ。」


 黒猫さんを追いかけたが、アリアが息を切らしてしまい、二人で休憩する。 どうやらこの体は、身体能力もレベル500相当になっているらしく、ちょっと動いた程度では何ともない。 


「あれ?レイさん。」

「ん?何?」

「黒猫さんがこっち見てますよ?」

「え?」


 俺が、後ろを振り向くとこちらをジーッと黒猫さんが眺めていた。 なんだかその眼は俺に何かを期待しているようにも俺は感じた。


「黒猫さん、黒猫さん。」

「?」


 黒猫さんに呼びかけると首を傾げた……中々かわいい。


「何G渡せば捕まってくれる?」

「買収ですか!?」


 黒猫さんは首を横に振る……やはりダメか。


「じゃあどうすれば捕まってくれる?」

『おにごっこ』

「お、鬼ごっこですか。」

『私を、どうやってでもいいから捕まえて見せて。』


 どうやら黒猫さんはテレパシーが使えるようだ!


「どんな方法でもいいのよね?」

『うん。』

「じゃあ行くよ!」

「レ、レイさん……本気でやるつもりですか。」

「もちろん!」

「少しは町の事を考えてくださいね。」

「多分壊さないようにはするよ。」

「絶対に壊さないでください!」


 黒猫さんが素早く走って俺たちから遠ざかる。 


「アリア!黒猫さんを追って!」

「え!?はい! レイさんは?」

「色々と用意をする!」

「分かりました!」


 アリアが黒猫さんの後を追いかける。 こういう時には色々と聞かずに行動してくれるのはアリアのいい所の一つだろう。 俺は、アリアが走っていくのを見た後に準備をするのであった。



視点変更 レイ→アリア


 レイさんは準備をするといっていたが。 何をするつもりなのだろうか……とりあえず町を壊さなければいいが。 

 黒猫さんはまだ路地を走っていく。 正直付いていくのがのがやっとだ。


「うわっ!」


 路地を曲がったところで黒猫さんがこっちに飛んできた。 そのまま私を踏んでジャンプで家のベランダに登る。 レイさんなら普通に空中を歩くぐらいならやってのけそうだが、私はそんなことできないどうしたものかと悩んでいると。 いきなり路地をふさぐかのように蜘蛛の巣のようなものが二つ張られる。


『何!?』

「つ~か~ま~え~た。」

「レイさん! いったい何ですか!この蜘蛛の巣は!」

「ん?トラップスパイダーの巣よ?」


 トラップスパイダー……それは人くらいの大きさの蜘蛛であり、このモンスターのいる森は落とし穴や蜘蛛の巣といったトラップを大量に仕掛けることで有名なモンスターで騎士の部隊がトラップスパイダーの居る森に行くと3分の1は殉職するほど危険だそうだ。


『だが、まだ。』

「言っておくけど。 空にはシムルグがいるわよ?」

『えっ。』

「はい!?」


 シムルグはおとぎ話にしか出てこないペガサスと同じくらい現実にはいないだろうとすら言われているモンスターだ。 話の内容は大体世界の始まりからいる鳥だとか…… 正直レイさんならもしかしたら召喚出来るかも……と思う気持ちもある。 そんな事思っていると、ふと空が暗くなる。 ゆっくりと顔を上げると目の前には軽く家よりも大きい鳥が……


「本物ですか!?」

「アリアまた驚いてるの? ペガサスを見ても驚いていたじゃない。」

「そりゃあ驚きますよ……」


 準備ってこれのことですか……レイさん。


「さあーて、私の使い魔になってもらおうかしら? 黒猫さん。」

『……わかった。』


 レイさんの目的の黒猫さんは彼女の使い魔になることを決めてくれたようだ。 ……まあ、シムルグまで召喚されれば認めてるしかないだろうけど。


「っていうかレイさんどうやって追いついてきたんですか?」

「ん?シムルグに乗ってね~ アリアの姿を探したんだよ~。」

「単純で恐ろしい探し方ですね。 町とかは壊してませんよね。」

「もちろん! 騎士とかに攻撃されたりしたけど町を壊しては居ないよ!」

「攻撃されたんですか!?」


 まあこんな大きいモンスターが町に出たら攻撃するよね。 騎士だもん。


『あなたたちがじゃれ合ってる内に契約が終わりましたよ。』

「おお、やったー! ありがとう黒猫さん!」

「じゃれ合ってるって……」


 さっきからそんな風に見えてたんですね。 というか黒猫さん時々毒舌ですね。


「……というかシムルグさん目立って騎士が来ちゃうんじゃ……」

「あっ。」

「考えてなかったんですか!?」

「ついつい黒猫さんに意識が向いちゃって……テヘッ。」

「テヘッじゃないですよ! どうにかして早く町から出ないと。」

『町から出るだけならシムルグに乗って出ちゃえば?』

「それだ! ナイス! 黒猫さん!」

「……もう飛ぶ事は決定ですね。」


 もう、覚悟は決めよう。 遅かれ早かれ空を飛ぶんだし。


「ところでどうやってシムルグに乗るんですか?」

「そりゃあ、空中を歩いてシムルグに……」

「やっぱ歩けるんですね。」

「やっぱ?」

「……いえ、こっちの話です。」

「じゃあ、早速行こう!」

「え、ちょ、ちょっと!?」


 レイさんに俗に言うお姫様抱っこの状態で抱えられる。 そしてそのままゆっくりと空中を階段があるかのように歩き出す。 第三者の視点で見ると絵にはなるだろうが、当事者は中々恥ずかしい。 ついでだが私の腹の所に黒猫さんがベランダからジャンプしてきた。 こうして見ると背中についている小さなコートと合わさって中々かわいい。 そして、ゆっくりとシムルグの上に乗ったら私と黒猫さんを下ろした。


「よし!出発進行!」

「は、はい!」

『……空を飛ぶのは初めて。』


 シムルグがゆっくりと翼をはためかせると下の路地が風ですごいことになっているのが見えるが今は気にしないことにしよう。 そして一気に飛ぶ。 その頃、ちょうど下に来た騎士達が吹っ飛ぶ。 うん、今は気にしない気にしない、多分死んでないから大丈夫。 




そして、シムルグは悠々と砦を越えるのであった。

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