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第61話 騎士と貴族と黒

あいつがまさかの再登場

「港町って聞いてたけど魚料理は無いんだね」

『魚はあんまり穫れないって言ってたじゃん』


 急いで運ばれてくる料理を見ながらレイが呟いた。 ここの料理はハース村よりも華やかなだがやはり肉やイモが中心の様だ。 何て思いながら料理を見ていると隣からガレーナニュースの記者さんが俺に小声で耳打ちしてくる。


「……で、私も頂いちゃって良いんですかね?」

「良いよ良いよ。 色々良い話を教えてくれたのに私達は大した情報が無いしね。 私が奢って上げるよ」


 記者さんが昼食がまだだというので俺が誘った。 彼女は遠慮していたが俺がやや強引に誘った。 彼女は別に嫌とは言ってないし良いよね。


「じゃあ、お言葉に甘えちゃいましょうか。 実際金欠なんですよね~今」

「よ~し、じゃあ頂きま~す!」

「あ、レイちゃん! ズルい!」


 俺は記者さんの言葉を聞いた後、直ぐに食事に取りかかる。 そして俺の声を聞いたネイも食べ始める。


「もう、レイさんもネイも……」

「元気で良いですね~」

『元気すぎ』


 その後、アリアは呆れながら、記者さんは微笑ましそうに、黒猫さんは……呆れてるのかな? まだ黒猫さんの感情は読みづらいな。 まあそれぞれ様々な表情で食べ始めた。 しかし女の子3人(と1匹)で食事か。 レイになってからもそうだったけど男としては一度はしてみたかったよな……何て男の時の事を考えながら料理を口に運ぶ。


「……でも」


 何でだろ?男の時も周りはこんな感じで女子ばっかだった気がしない訳でもない。


「あ、そうか」

「?どうしたのレイちゃん」


 俺、彰以外に男友達が居なかったんだ……気付かなきゃ良かった。


視点変更 レイ→レオーナ


「団長、補給部隊が到着しました」

「そうか、予定より早かったな」

「はい……」


 ヴェルズ帝国国境前、私達オルアナ王国騎士団はヴェルズ帝国首都へ向かうための準備をしていた。 そして予定より早く補給が来たので私達は今から進軍をする……のだが書記官の顔が優れない。 どうしたのだろうか。


「どうした?何か心配事があるのか?」

「ええ……補給部隊と一緒に冒険者部隊も到着しました」

「成る程な……」


 書記官が嫌な顔をしていた原因が分かった。 冒険者部隊とはその名の通り冒険者で出来た部隊だ。 勿論普段の騎士団にはそんな部隊はない。 オルアナ王国が冒険者ギルドに依頼して集まった冒険者の集まりが冒険者部隊である。 この部隊は実戦経験豊富なのは良いのだが協調性が無い。 騎士達の作戦を無視して冒険者が突撃、そして冒険者と騎士がやられるというのが今回の戦争でも有った。 その冒険者部隊の数が増えるのだ書記官の顔も優れない訳だ。


「まあ、これから首都に攻め込むのだ。 戦力は多いに越したことはない」

「まあ、団長が言うなら……」


 しかし書記官がこんな顔をするとは珍しい。 何て思いながら見ていると後ろから私達の方に向かって来る足音が聞こえてくる。 私がそれに反応し振り向くとそこには金髪のヒューマンらしき男性が立っていた。 ……こんな男は今待機している部隊には居なかったし冒険者部隊の1人か? にしては雰囲気が他の冒険者とは少し違う……何というか高貴な感じだ。


「話の途中すまない。 あなたがオルアナ王国騎士団長のレオーナか?」

「ああ、いかにも私がオルアナ王国騎士団長のレオーナだ。 そなたは?」

「冒険者のバルテン・リヴィルだ。 あなたに挨拶をしに来た」


 その男は予想通り冒険者であった。 しかし変わった雰囲気を纏っている男だ。 冒険者にしては上品な感じだからか? ……ん?リヴィル?


「バルテン・リヴィル?」

「ええ、そうです」

「あのリヴィル家のか」

「はい、兄のカナト・リヴィルが団長にお世話に成っております」


 カナト・リヴィル。 彼はオルアナ王国騎士団に所属している騎士の1人で数少ない騎士隊長である。 その弟は……確かAランク冒険者で沢山の犯罪者を捕獲している有名な冒険者だ。目の前にいるのがその冒険者か。


「成る程、君の実績は私も耳にしている期待しているぞ」

「分かりました。 では失礼します」


 頭を軽く下げた後、バルテンは私達の前から去っていった。


「……」

「団長、どうかしましたか?」


 バルテンの去った後もしばらく黙っている私を見て書記官が質問をしてくる。


「……いや、何でもない」


 リヴィル家、オルアナ王国では知らない人は居ないという有名貴族。 何故そんな貴族が厄介事も荒事も多い冒険者に……。 私は彼に大して疑問と興味を持っていた。






視点変更 レオーナ→???


 真っ白な大地には体が真っ黒で角が2本ある人々が居た。 その人たちは「われ」を見た途端襲いかかって来たが、全員「ぼく」にやられてしまった。 そして今や「われ」のしもべに成っている。 「ぼく」を倒してくれれば良かったのに……。 その後「われ」は黒い人達を連れ一番近い国に地面を歩いて向かった。 その時にとても大きなモンスターと出会ったが、「われ」を見た途端直ぐ逃げてしまった。 判断は間違って無い、「われ」が本気出せば殆どの敵はいとも簡単に消えてしまう。 その後「われ」は巨大な砦に大きな穴を開け、入って行った。 周りにいた肌色の人達も巻き添えに。 ああ、「ぼく」はどれだけの罪を重ねるのだろう。 「ぼく」は「われ」によって出来た大穴を見ながら考えていた。

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