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第55話 適度な休息は大事らしい

視点変更 レイ→彰


「黒猫さん、やっとゲットだぜ……」

「アキ……まさか寝ずに2日間ずっと追いかけるなんて……」


 アルナが俺の喜ぶ様子を見てため息をついている。 俺はアルナが言った様に2日間屋根の上を走る黒猫さんをずっと追いかけ回していた。 ……丸1日学校を休んだがそこら辺は気にしない。 俺の母さんは友達の事で心を病んだのではないかと気を使ってか話しかけて来る回数が結構減った。 おかげで平日ゲーム三昧でも何も言われない。


「ああ……さすがに疲れた。 ちょっとログアウトしてくる……」

「もう……気をつけなよ。 ゲームのし過ぎで死亡っていう事件に成ったら笑えないからね」

「……おう」


 そういえば2日間大した物を食べてないな……ペットボトルの水くらいかな?


「アキ、それは飲むじゃないの?」

「ああ、そうだな……あの水は良い物だ……」

「ちょ!アキ本当に大丈夫!?」


 アルナに心配されながらも俺は「マジック・テイル」からログアウトする。 そしてVRMMO専用のゲーム機から出るとそのままフラフラと歩きながらベッドに倒れるように寝る。 ああ、こうやって横になるのも2日ぶりか~っと薄れる意識の中思っていた。










視点変更 彰→レオーナ


「あ、団長! よくぞお戻りに!」

「団長!」

「ああ、ただいま戻った」


 ヴェルズ帝国の国境の砦に騎士団の者達が集まっていた。 テントが張ってあるので本当に拠点にしていたのだろう。 そのテントの中に騎士を指示する細い男……私の書記官が居た。 彼は私に気がつくと直ぐに近寄って来て、私に敬礼をした。


「団長、お疲れ様です。 ヴェルズ帝国首都はどうでした?」

「そこまでは行かなかった。 村に2度立ち寄ってから引き返して来た」

「何故?」

「2つの村を見たが人が2人しか居なかったからな。 はっきり言うと不気味で戻って来た」

「2人?」

「ああ、今私達の所に保護されている。 どちらも少女だ」

「その情報は必要ですか?」

「今は大して必要ないな」


 「分かりました」と大して表情を変えずに書記官は返事をする。 ヴェルズ帝国に入る前と大して変わらない書記官の様子に少し安心しつつ私達は話を続ける。


「後、モンスターも見なかったな」

「それはかなり異常では?」

「ああ、異常だった。 だから戻って来たんだろ」

「原因は?」

「保護した少女達によると黒い煙のような物が来た……という事しか分からなかった。 詳しい原因は不明だ」

「分かりました」



 書記官がコクリと首を縦に振る。 曖昧な情報ばかりだが、この書記官は納得したのか?と頭の片隅で思ったが、書記官が私の方を見て一言。


「よく分かりませんが団長は嘘をつきませんから」

「分かってないんじゃないか……」

「いえ、団長の言ったことは理解しました。 つまり団長は何もいない村から少女を2人連れて帰ってきたっという事ですよね?」

「合ってはいるんだが……こう言い方があるだろ。 言い方が」

「事実を言ったまでです」


 頭の固さも相変わらずだな……。


「……まあ、俺の方は良い。 お前の方はどうだった?」

「はい、見ての通り。 ここを拠点にしておきました。 さらに増援も来て首都に攻め込むのに十分な戦力を用意しました」

「つまりGOサインを出せば何時でも行ける訳だ」

「はい、ですが団長の言うように異常なのでしたら暫く待った方が良いかと」

「そうだな……」


 私としては帝国内で何が有ったのかよく分からないまま攻めるのはあまり良いとは思えない……がヴェルズ帝国の首都まで行かないと黒い煙の正体を分からない気がしない訳でもない。


「次の補給はいつ来る?」

「大体5日後かと」

「よし、その補給が来たら一気に首都まで攻める……そうだこの砦が壊れた理由分かったか?」

「いえ、ただ何らかの魔法によって破壊されたと思われます」


 魔法……


「ああ、分かった。 お前は進軍するまでここ調査を続行してくれ」

「了解しました」


 私は書記官の綺麗な敬礼を見ながら、巨大な穴を見る。 あれほど大きな穴を魔法で空けらるのはモンスターだろう。 人では不可能だ。 しかし魔法か……。


「やはり厄介なのは、人よりモンスターだな」


 私は溜め息をつきながら呟いた。 こんなに大きな穴を開けられるのは強力なかなりモンスターだろうと考えていた。 まさかこの後この考えを否定しようと思うとは思って居なかった。










視点変更 レオーナ→レイ


「ふむ、お嬢さん達のおかげで大平原を危うげなく通れたわい」

「いえいえそれ程でも」


 現在ハース村でおじいちゃんが俺達と別れのあいさつをしている。 おじいちゃんの目的地であったハース村は泥で作られたような独特の建物が並んでいて、俺は南アメリカの先住民の建物みたい……という独断と偏見の感想を持った。


「ほれ、銀髪のお嬢さん依頼完了書じゃ。 それをギルドに持っていっておくれ」

「あ、うん」


 俺はおじいちゃんから一枚の紙を手渡される。 依頼完了書……ああ、確かこれをギルドに渡せば報酬とかが貰えるって奴だな。


「ねえ、おじいちゃん。 この村にギルドてあるの?」

「この村にはギルドは無いぞ。 有るのは五師匠の居る村や町だけじゃ」

『前から思ってたけど……五師匠って何?』


 あ、黒猫さんが聞きたいことを聞いてくれた。


「五師匠?それはのう……ライヴァン同盟に居る優秀な職人5人が選ばれる役職の事じゃ」

「選ばれると何か良いことがあるの?」

「おお、あるぞ。 その五師匠に選ばれれば。 ライヴァン同盟の内政とか外交とかの話を五師匠が全て決めるからの」

「……つまり王様が5人になったような感じか」


 ライヴァン同盟のリーダーって感じかな? だからハイちゃんが紹介状を渡すように言ったのか……納得。


「じゃあ、五師匠が居るのって何処?」

「五師匠が居る場所は全部で5つある。 一番近いのはここからずっと南に行くとあるボイルの港町かの」


 ボイルの港町……って事は海か? そういや、「マジック・テイル」では入った事はあるが、実際に海に行った事は一度も無いな。 ……確か防具に水着が有ったし思いっきり泳いでみたいな~。 ああ、早く海に行きたい!


「よし!じゃあみんな早速南に行こ!」

「いや、レイちゃん、元気満々なのは良いけど……少し休もうよ。 もう日が暮れちゃうよ」


 ネイが沈みかけの夕日を指差しながら俺に報告してくる。 えぇ~早くバカンスしたいのに……。


「う~ん、しょうがないな……ここの宿屋に泊まるか」

「そうするとええ。 ここハース村の宿屋は料理がとても美味しいんじゃ。 わざわざ他の国の冒険者が来るくらいの」

「へえ~」


 料理か……ハイちゃんの所の料理も美味しかったけど、ここの料理も美味しいのかな。 そういうのは一度食べてみないとな。


「よし!じゃあ今日は泊まるよ。 みんな!」

「……レイちゃん決断早いな」

「レイさんは良くも悪くも真っ直ぐなんです。 ネイも実感したでしょ?」

「ええ、まあね……」

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