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第53話 意外と直球で言われると……

今回は短いです

そして話が進んでない……

「あ、アキ! そっちに行ったよ!」

「ああ!分かった!」


 赤いレンガの上で俺とアルナが黒い影を追う。 黒い影……黒猫さんは必死に追い掛ける俺達から飛び跳ねながら逃げていく。


「アルナ、大丈夫か?」

「う~ん、やっぱ屋根の上を走るのは難しいね。 アキみたいに盗賊じゃないと直ぐに転けちゃうよ」

「アルナは剣士だし重装備だからな。 屋根は身軽にしないと直ぐ落ちるぞ」


 「マジック・テイル」の盗賊は他の職業に比べてかなり自由な事が出来る。 家の屋根にジャンプで登れたり、綱の上をサーカスのごとく歩いたり、極めれば武器でジャグリングが出来るようになるとさえ言われている職業だ。 つまり様々な場所を逃げる黒猫さんを追うには最適な職業なのである。 それに比べてアルナの職業、剣士は盗賊と違い遊び心の少ない職業であり、真っ正面から敵と戦うの専門の職業。 つまり襲ってこない黒猫さんを追うには不向きだ。 ……というかよく剣士で屋根に登れたな。


「アルナはここで待ってろ。 俺が追って捕まえてやる」

「分かった! アキ、気をつけて」


 アルナは屋根の上から落ちそうになりながら俺に話しかけて来る。


「ああ、任せろ。 自分の問題だ、自分でやってやる」

「おお、格好いい事言ったな~。 失敗したら格好悪いよ~」

「大丈夫だ。 問題ない」


 俺はそう言い残し、黒猫さんを追う。


「アキ、それ失敗フラグじゃ……」


 アルナが不吉な事を呟いたが気にしないことにしよう。


視点変更 彰→レイ


「お?」

「レイさん、どうかしました?」


 中継地点から出発して数日後、馬車の上でのんびりと草原を眺めていたら有ることに気がついた。


「何か、草の数が減ってきた?」

「そういえば……そうかもしれませんね」


 地面を見ていて気づいたが、馬車道以外一面緑だった大地が徐々に茶色い部分が多くなっている。 俺は地理に詳しくないのだがこれは異変か何かなのだろうか。


「じゃあ、ライヴァン同盟までそろそろだね」


 俺とアリアが馬車から顔を出していると、後ろからネイの声が聞こえて来たので顔をそっちに向ける。


「ネイ、どういう事?」

「ライヴァン同盟の周辺は植物が育ちにくいのか草が全然無いんだよ。 だから草が減ってきたらライヴァン同盟が近い証拠だよ」

「へー、ネイって意外に博識?」

「ま、伊達にBランク冒険者じゃないよ」


 ネイが寝そべり、あくび混じりに答えた。 尻尾がゆーらゆーらと揺れているのが何か俺を和ませる。


「お嬢さんの言うとおりじゃな。 明日にはライヴァン同盟に入れると思うぞ」

「じゃあ、おじいちゃんとももうお別れだね」

「そうじゃの」


 ライヴァン同盟に着いたらおじいちゃんともお別れか……長かったようで短い馬車の旅だったな……。


『まだ思い出に浸るのは早い』

「そうだよ、まだモンスターが出てくるかもしれないんだから」

「了解、了解」


 俺は黒猫さんとネイの指摘に返事をしつつ、馬車の進行方向に向く。


「そういえばさ……ライヴァン同盟って何か特徴みたいなの無いの?」

「特徴?」

「うんうん」

「特徴ねぇ……」


 俺が気紛れで言った言葉にネイが考え込む。


「そうだ、火山があるよ」

「火山?」

「そう、ライヴァン同盟の近くにアルハラ島って島があってね。 その島にアルハラ火山だったかな?が有るらしいよ。 その火山からは色々な鉱石が取れるらしいけど」

「へー……あ、だからそこにライヴァン同盟が出来たのか」

「そうじゃない? 鉄や金はアルハラ島やヴェルズ帝国の近くでしか採れなかったらしいし」

「う~ん……」


 やっぱ「マジック・テイル」とは色々変わってるな……というかユグドラシルしか「マジック・テイル」で見たことが無いような気がする。 随分地形が変わったな。


「そういえば宝石も殆どはライヴァン同盟が原産ですよ」

「へぇ~、ライヴァン同盟って何か凄いところだね」

「何かって……普通に凄いところですよ。ハイナ教国が魔法大国だとしたらライヴァン同盟は資源大国ですよ。 国じゃ無いですけど」

「なる程、なる程。アリアありがとね。 こんなに教えてもらって」

「いえ、良いですよ。 レイさんは世間知らずですから」

「……うん、そうだけど」


 ……アリア、少しくらいオブラートに包んでも良いじゃん。


「あれ?レイさん落ち込んでます?」

「そりゃ……あんなに直球で言ったら……ねえ?」

『うんうん』


 俺はアリア達の言葉を聞きながら体育座りをして落ち込んでいた。


「あーあーアリアちゃんレイちゃんを泣かせちゃった~」

「え、え?」

『これは何かお詫びをしないと』

「黒猫さんまで!?」

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