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第45話 「お風呂は大事だって」どこぞの古代ローマ人は言っていた

視点変更 彰→レイ


 さて、俺たちは中継地点に到着した。 中継地点は原っぱに大量のテントが張ってあり、俺は「やっぱりキャンプ場みたいだな~」っという感想を持っていた。 おじいちゃん曰わく今日はここで1日休み次の日にライヴァン同盟へ向かうらしい。


「っていうことは中継地点では自由行動なの?」

「いやいや、レイちゃん。 おじいちゃんの護衛に決まってるでしょ」

「済まないのう、お嬢ちゃん」

「いえ、おじいちゃんが謝る必要は無いですよ」

『ご主人様が変なこと言っただけ』

「黒猫さんひどっ!?」


 まあ、俺が言ったことがおかしいので反論は出来ない……なんか悔しいな。


「けど、本当にお風呂ないね……流石にそろそろ浸かりたいよ……」

「う~んその意見には賛成だけど無いからね~」

「レイさん、魔法で何とか出来ないんですか?」

『あ、アリアそういうこと言っちゃ』


 アリアが多分自然に口に出たのだろうけれども俺はしっかりと聞いた。そして一言。


「よし、温泉を作ろう」

「……すみません、黒猫さん」

『いや、いいよ。 予想通りだし』






「そういえば、おじいちゃんもテントに寝るの?」

「ん?いや、この馬車で寝るぞテントは持ってきておらんし、宿は金が掛かるしの」


 馬車を中継地点の近くで止め、馬達に枯れ草を渡しているおじいちゃんに俺は話し掛ける。 ……そういえば俺が前使った馬は地面に生えている草を勝手に食べていたけど枯れ草をあげた方が良かったのかな?等と思いつつもおじいちゃんの様子を見る。


「にしてもおじいちゃん元気だね。 私達も使ってよ」

「ほっほっほ、お嬢ちゃん達は立派に仕事をしとるじゃないか」


 おじいちゃんはそう言いながら笑っているが、俺としては大したことをしてないので何か手伝いをしないと俺のいつもは発揮しない日本人精神がかなり傷つくのだ。


「そうだ! おじいちゃんお風呂入りたくない?」

「お風呂かぁ……入りたいのぅ。 そういえばライヴァン同盟には温かい温泉がいっぱいあるぞ」


 え、温泉? マジで? 温泉には余り良い思い出は無いが入りたいといえば入りたい。


「温泉か~いいね……良し!ここにお風呂を作ろう!」

「え、お嬢ちゃん?」

「何か私達が目を離しているうちにレイちゃんがすごいこと言ってるんだけど……」

「いえ、さっきからやろうとはしてたじゃないですか」










 とりあえず俺はお風呂作りの為に【召喚 ロックキャンサー】を発動する。 ロックキャンサーは大体レベル30程度のモンスターで水属性や土属性のスキルを使う。 見た目は結構デカい石にハサミやら足やらが着いたような姿で石に擬態をして待ち伏せしてくるモンスターだ。 ロックキャンサーは召喚された途端横歩きをしながら俺の所にやってきた……なんか可愛いな。


「レイちゃん【召喚】は凄いけどこのモンスターと温泉……何があるの?」

「まあまあ見てなさい」


 ネイがロックキャンサーの体をツンツンつつきながら俺に尋ねる。 ロックキャンサーはそれに対して無反応を貫いている……猫耳と合間ってかネイが本当に猫みたいだな。


「ロックキャンサーにはね間欠泉を発生させる専用の【奥義】が有るんだよ」

「あの……レイさん。 それって大丈夫ですか?」

「大丈夫じゃない?」

『適当だね』

「まあね、事故が起きないようにはするよ」


 誰かが怪我したらドンマイで済まないもんな~。


「まあ、いいや。 やっちゃえ!ロックキャンサー!」

『やっちゃえー』


 俺と黒猫さんの応援を聞いてからロックキャンサーはハサミをスッと持ち上げる。 そして一気に地面に振り下ろした。 すると振り下ろした所に小さなクレーターが出来た。 ……だが


「……何も出てこないですね」

「おかしいな……ロックキャンサーならいけると思ったんだけど……」


 温水どころか水も出てこない。 「マジック・テイル」のロックキャンサーは間欠泉を出せなかった事は無かったんだけどな……。


「どうしたの? 調子が悪いの?」

「……」


 ロックキャンサーに聞いても何も答えない……まあ、返事は期待してなかったけど。


「う~ん、まあいっか。 ね、おじいちゃん中継地点を散歩とかしないの?」

「散歩はしないのう……。 じゃが食糧を買おうとは思っておるぞ」


 う~ん……お風呂が駄目だったのは残念だけど露天に良い物が無いか探すか。


「良し! じゃあお風呂が駄目だった代わりに私が荷物持ちをするよ!」

「なら私はアリアと一緒馬車で見張りでもしてるよ」

「え、それ確定ですか?」

「うん」

『じゃあ、私もここに残る』


 あれ? みんなこっちに残るの? まあいいけど。


「じゃあ、一旦お別れだね」

「うん、こっちはちゃんと見張りしてるからね~」

「おじいちゃんの護衛ちゃんとしてくださいね」

『頑張って』


 それぞれの返事をされ、俺はおじいちゃんと一緒に露天に向かう。


「今更じゃがお嬢ちゃんの仲間は良い子ばかりじゃの」

「そりゃそうだよ。 アリアも黒猫さんは可愛くて良い子達だし、ネイも優しくて良い人だよ」

「ほっほっほ、そうかそうか」


 おじいちゃんが俺の方を見ながら楽しそうに笑う。


「けど本当にいきなりどうしたの?おじいちゃん」

「いや、ただお嬢ちゃん達が良い子達じゃと思っただけじゃ」

「ふーん、まあいいや。 何買うの?」

「とりあえず、乾パンを買おうと思っとるんじゃが……」


 その後、おじいちゃんとのんびり会話しながらゆっくりと買い物をしていた。 ま、たまにはこういうのも良いな。










視点変更 レイ→アリア


「あれ?」

「どうしたんですか? ネイ」


 レイさんが買い物に行ってから数分。私が黒猫さんと会話をしているとネイがぽつりと言葉を発した。


「いや、そこに」

「……?」


 ネイが小さなクレーターがある方に指を向ける。 私と黒猫さんもそっちを向くとそこには一つの岩が……。


「あれ、ロックキャンサーじゃない?」

「あ、ホントですね」


 岩かと思ったがそこにいたのはさっきレイさんが召喚していたロックキャンサーでした。 まだいたんですね。


「何してるのかな?」

「さあ? ですがレイさんのモンスターですから別に大丈夫じゃないですか?」

「ま、そっか」


 気になってはいたようだが大して危険は無さそうとネイは判断したようで、ネイは馬車の荷台に飛び乗る。 私は飛び乗ったネイから視線を外しロックキャンサーの方に目を向ける。


「けど本当に何してるんでしょう?」


 ロックキャンサーはさっきから全く動いていない。 ……良く思ったら間欠泉を掘り当てようとしていた時と位置が変わっていないようなきもする。


「もしかして間欠泉を掘り当てらなかったのが意外にショックだったのでしょうか?」


 いや、流石にそれは無いなっと思いつつ私はロックキャンサーの様子を観察することにした。 ……こうして見ると意外に可愛いかもしれない。

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