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第43話 平和と予感

視点変更 黒猫さん→レイ


「……でネイの太ももはどうだった?」

『思っていたよりも柔らかかった』


 朝、馬車が出発してから馬車の上で黒猫さんに夜何かあったか質問する。 ちなみにネイはドワーフのおじいちゃんの居る運転席の隣に腰掛けている。


「へ~ネイの太ももかぁ……」

「ねえ、私を見ながらそういう事呟かないでよ。 怖いから」

「あ、ネイ大丈夫だよ。 私は胸派だから」

「なおさら怖いよ!」


 俺を見ながら身を震わせるネイ。 あれ?一応カバーしたつもりなんだけどな……。


「っていうかなんでそんな話で盛り上がっているのよ!」

「……ネイ、その服で惑わされるのは男だけじゃないんだよ」

「え、レイちゃん? ちょ、ちょっと待って!」

「問答無用だよ! ネイ!」

「いやいやいや! ストップ!ストップ!」

「ほっほっほ、平和じゃの~」


 馬車の上で俺がネイに飛び掛かろうとしネイが悲鳴を上げながら馬車の上で逃げる……ああ、平和だな~。







「そういえばおじいちゃん。 ライヴァン同盟まで何日くらい掛かるの?」

「そうじゃの……大体20日くらいかの……」

「に、20日……」


 俺はネイに色々な事をして馬車の上で暴れていたが、流石におじいちゃんに止められ大人しくしていた。


「まあ、ゆっくりと進むのもいいものじゃよ」

「そ~お~?」


 おじいちゃんがのんびりと言うのを聞き俺は文句を言う。


「だってスレイプニルを使えば直ぐにライヴァン同盟に着けるよ」

「ほほぅ、お嬢さん【召喚】が使えるのかすごいの~」

「ふふん、凄いだろ~」


 おじいちゃんに褒められ俺は胸を張る。 胸が強調されるとか気づいても癖でついついやってしまうのだ。


「でもそれじゃ面白みがないじゃないかの?」

「え、これっておじいちゃんの娯楽なの?」

「いやいや、冗談じゃ。 真面目に考えなくてええ」

「?」

「ただそんな速い生き物に乗ったら儂がショック死してしまうってだけじゃ」

「ああ……成る程」


 ドワーフはとても頑丈なイメージがあるけどやっぱ歳を取ると体力とか落ちちゃうんだろうな~とのんびりと考えていた。


「まあ、儂もそんな凄いモンスターには乗って見たかったんだがの……」

「あ、おじいちゃん落ち込まないで、馬車の旅だって楽しいから」

「一応、護衛ですよ。 レイさん」


 あ、それもそうだね。 旅じゃなくて護衛だね。










視点変更 レイ→レオーナ


「何だ……これは」

「……分かりません」


 私の部隊は今ヴェルズ帝国の首都に向かうため荒原を移動しており、ついさっきヴェルズ帝国の国境に辿り着いた……のだが。


「だ、団長何故砦が壊れているのでしょうか?」


 ヴェルズ帝国の国境にはオルアナ王国のような巨大な砦が有った……のだが私の部下が言ったようにその巨大な砦に大きな穴が出来ていた。 当たり前だが私たちはまだ何もしていない。


「……まるで巨大なモンスターに突進されたようだな」

「流石にこんな大きなモンスターは……平原の主よりも大きいですよ」

「……だよな」


 部下とこの穴の正体について考えていると部下の一人が声を上げた。


「あ、あの……この穴から通れば良いんじゃないでしょうか? 見張りはみんな居ないようですし……」

「そういえば、何故見張りが居ない? こんな穴が開いていたら1部隊置いても良いはずだ」


 私が不審に思っていると私の後ろに居た書記官が声を掛けてくる。


「団長、この砦の調査は私と私の部下が行いますので団長はヴェルズ帝国の首都へ向かってください」

「だがそれでは君たちはモンスターやヴェルズ帝国の兵の危険に晒されてしまう!」

「問題ありません、それに王様に報告したときに応援を要請してありますので大丈夫です。 さらにここを拠点化したいと思うのでそっちの準備もしたいと思います。 応援の事は団長に言っておいたと思いますが」

「ああ、確かそんな事も言っていたな」


 確かそのことは書記官に任せていたなと私は思い出し、書記官の有能さに溜め息をつく。


「実はお前の方が団長に相応しいんじゃないか?」

「いえ、私の実力は団長には程遠いですから」


 全く……この書記官には……。


「分かった。 お前にはには拠点作成の任務をやる。 そしてそれ以外の者は作戦を続行する」

「「了解!」」


 私が作戦を伝えると部下が全員揃って敬礼の姿勢をとる。 ヴェルズ帝国に入り、謎の大穴……さてここからはさらに警戒しなくては……。


視点変更 レオーナ→サラ


「う~ん……レイちゃん達行っちゃったね」

「そうね~」


 ハイナ教国のギルドの受付をしているアルカがポツリと呟いた。 アルカは昨日からちょくちょくこんな事を呟いている。 よほどレイちゃん達と離れたのが嫌だったのだろう。


「ね~何でサラは私に掃除をさせたのさ~」

「あなたが駄々をこねているからよ」

「……サラの意地悪」


 アルカが頬を膨らませて私の方を見てくる……一応仕事中なのだけれども注意するのも面倒くさくギルドの依頼の整理をして目を反らす。



「レイちゃん達は冒険者なんだからずっとハイルズに居るわけないでしょ」

「そりゃそうだけど……」

「それにレイちゃんならやられないでしょ。 あの子やけに強いし」

「そうだけど!」


 アルカが珍しくいつもより駄々をこねている。 普段なら結構直ぐに別の話題になるのだが……。


「アルカ? 何か心配事あるの」

「……何か胸騒ぎがするの」

「……胸騒ぎ?」

「うん、これから嫌なことが起こる気がして」


 アルカがめったに無い表情をしている……本当に真面目な事なのかもしれない。 私も真面目な顔になる。


「嫌な事……例えば?」

「うん、もしかしたらレイちゃんが平原の主に出会っちゃうとかあるかも……」

「ああ……それはヤバイね」


 レイちゃんは凄い……けれど平原の主は約300歳位の凄いモンスターらしい。 そんなモンスターには流石のレイちゃんも無事では済まないかもしれない。


「レイちゃん……大丈夫かな?」

「う~ん……どうだろうね……まあ、何事も無い事を祈るしかないね」

「そうだね……」



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