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第39話 女王様と別れて

視点変更 ハイナ2世→レイ


「……ん?ハイちゃんどうしたの? 寝不足?」

「い、いえ大丈夫ですよ」


 さて、一国の女王のお城で一泊するという普通なら出来ないような経験をした次の日。 ハイちゃんが朝食に誘ってくれたので俺たちは遠慮無く頂くことにしたのだが、ハイちゃんがやや眠たそうにしているのに俺は気づいた。 俺の言葉に心配になったのかアリアがハイちゃんに話しかける。


「ハイちゃん、本当に大丈夫ですか?」

「え、ええ大丈夫です……ちょっと黒猫さんと夜まで話していただけなので」

「ああ、初めてのお泊まりで眠れなかったんだね」

「え、ええ……まあそんな所ですかね」


 俺の言葉に苦笑するハイちゃん。 うんうん、分かる分かる。 女王様だしついつい浮かれちゃうっていうのは恥ずかしいよね。 顔を真っ赤にしているハイちゃんを見て和んでいると女官が学校の手紙のような紙をハイちゃんに持ってきた。


「そ、それはそれとして……はい、紹介状です」

「紹介状……ああ「五師匠」に会えるんだっけ」

「はい、受け取ってください」

「うん、ありがとう」


 ハイちゃんが紹介状を俺に渡してきたので、俺は貰う。 その紙は皺1つなく真っ白であり、黒い綺麗な字が書かれていた。


「その紙は私の魔法が掛けられているので、強力な火の【魔法】を受けない限り燃えませんので安心してくださいね」

「へ~……凄いね~」

「レイさんは知らないんですか?」

「流石に私もそこまで万能じゃないよ」


 この世界にはまだ俺の知らない魔法があるんだな~っと俺は素直に感心していた。






 さて、その後和やかに朝食を終えた後。 俺たちは城の門にあの生真面目メイドと四人で来た。 ハイちゃんは見送りたがっていたが、お仕事があるからと秘書に連れて行かれた。 なかなかお茶目な女王様だ……一応年上だけど気にしない。 だってかわいいじゃん?


「では、お気を付けください。 ライヴァン同盟はハイナ教国からずっと東で平原を通らないといけませんからちゃんと準備した方がいいと思います」

「うん、ありがとう。 とっても真面目だね」

「はい、メイドですから」


 メイドは相変わらずピシっという音が出そうな感じで直利不動の体勢で俺たちの前に立っている。 ……う~ん、真面目なところもかわいいなぁ……。


「じゃ、私たちはしばらくハイルズの宿屋に居るからね~」

「分かりました。 何か用がありましたらそちらに出向きます」

「はい、ありがとうございました」

「楽しかったってハイちゃんに言っといてね~」

「はい」


 メイドがキリッとして承諾をする。 俺たちはそれを見て城から離れていった。






 俺たちの泊まっている宿屋に行く途中、アリアが俺に話しかけてきた。 ちなみに黒猫さんはもう猫に戻っている。


「レイさん、これからどうやってライヴァン同盟に行くんですか?」

「ん? ん~……どうやって行こう?」

『考えてないの?』


 俺がアリアからの質問に答えたところ黒猫さんから冷たい目線が飛んでくる。 実際考えていないのだからしょうがない。 やっぱ馬車とかで行くんだろうけどお金は出来るだけ節約したい(お金は一杯あるけど)。 


「またシムルグさんの出番かな……」

「それだけは勘弁下さい」


 アリアの突っ込み早いな……流石に俺の言うこともそろそろ分かってきたようだ。


「じゃあ、どうするの? 馬車をどっかで買うの?」

「そうして貰えると助かるんですけど……」

「いや、そんな所で無駄遣いしたくないんだよ」

「う……じゃ、じゃあまた誰かに乗せて貰うとか?」


 アリアはどうしてでもシムルグさんには乗りたくないようだ。 アリアも慣れてくれたと思ったんだけどな~。 しかし、誰かに乗せて貰うか、アイディアはいいけど……そんな都合良く乗せてくれる訳ないしな……。


『そういえばだけど』

「ん? 黒猫さん何?」

『ギルドに護衛の依頼とかあるんじゃない?』

「ああ、有りそうですね」


 黒猫さんの言葉にアリアが納得する。 確かにそういう依頼は有りそうだ流石黒猫さん。


「うん、じゃあギルドに行ってみようか」

「あれ? 宿屋に行ってからでもいいのでは……」

「善は急げだよ! アリア君!」

『君? アリアは女の子だよ?』


 黒猫さんらしくない指摘は放置して俺は冒険者ギルドに向かって走り出す。 もしかしたら誰かに依頼を取られちゃうかもしれないからね。











「サラさ~ん、アルカさ~んいますか~?」

「ん? ああ!レイちゃん! 会食どうだった?」


 さて、そのまま走り続けて約2分。 俺はその勢いで冒険者ギルドの扉を開けて、二人を呼ぶと直ぐにアルカさんがやってきた。 冒険者ギルドで依頼を探していた冒険者が何人か俺の姿を見てびびっていたが気にしない。


「うん! 凄いかわいかったよ!」

「何が?」

「ハイちゃんが!」

「ハイちゃん?」


 俺の言葉にアルカさんは不思議そうな表情をする。 あ、そうかハイちゃんが通じないか。


「ハイちゃんって誰?」

「え~っと……女王様に付けたニックネームだよ。 ハイナ2世だからハイちゃん!」

「へ~もうそんなに仲良くなったんだ!」


 アルカさんにキラキラと目を輝かせて俺を見てくる。 俺としては普通に友達になっただけなので何とも言えないのだが……。


「おい、聞いたか……」

「ああ、ハイナ教国の女王にニックネームだってよ」

「マジかよ、そんなに仲が良いのかよ」

「それで、あの強さ……あの女に敵は無いんじゃねーか?」


 ちなみに冒険者ギルドに他の冒険者が俺たちを見ながらコソコソと陰口を言っているが俺は無視を決め込む。 そんな会話をしていると冒険者ギルドの扉からアリアと黒猫さんがやってきた。


「だから……レイさん……足速すぎです……」

『ご主人様、もっと遅く走って』

「あ、ごめんごめん」

「そうだ、用件は何? 何か依頼でも受けるの?」


 アルカさんが自分の仕事を思い出し、俺たちに聞いてくる。 うん、ちゃんと自分の仕事を覚えてくれてよかった。 ……サラさんが居なくてもしっかりと仕事が出来るんだと思ったのは内緒にしておこう。


「そうだ、サラさんは?」

「サラは今、裏で書類仕事中だよ。 サラも呼ぶ?」

「いいや、アルカさんでも十分だし」

「レイちゃん、それどういう意味?」

「い、いやそれはどうでもいいじゃん。 それよりも馬車の護衛の依頼ってある?」


 アルカさんがやや不機嫌な顔になったので慌てて本題に入る。 こういう時は話題から早く切り上げた方がいいと俺は元の世界でよく教わったのである……主に女子達との会話で。


「ん?馬車の護衛? そういう依頼は多いから掲示板を見ればいいんじゃない?」

「うん、それもそうだねアルカさん、ありがとう!」

「いやいや、感謝されるような事は別にしてないよ~」


 俺はアルカさんにお礼を言いつつ掲示板に向かう。


 ……そういえば、馬車の護衛ってEランクで受けられるのかな?

 

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